9章 ネーミングセンスはあきらめて下さい
急いではいるが、あまり早くいってしまうと、まだ『後戸』が完成していない可能性がある。できるだけ兵士を引き付けつつ、『後戸』に近づけないようにしないとならない。
どうやら『蟲』を突破してきたのか、兵士の数が増えてきた。王城に備え付けの警備機能を使おうとした兵士が爆発した。これは『榪』特製の「ぱっと見お前らの武装に見えるやろ残念だったな爆弾」である。『榪』の威信のためにも言っておくが、これを名付けたのは、あの『上書』だ。
これで一気に数を減らせたとはいえ、まだまだ兵士の数は多い。しょうがない。この手は使いたくなかったが…。
私は『蟲』が作り上げたネズミを放った。もちろん普通のネズミではない。『蟲』特製の「とっとこはしるよバグ太郎」という名前のネズミだ。効果としては兵士が理性に抗えないような魅惑を付けたネズミが走り、セキュリティを甘くする、というものだ。もちろん複製能力付き。名付けは『追記』さんだ。バグみたいなチート能力を持つからこう名付けたらしい。名が体を表している、というか体が名を傷つけている。
これで道は開けた。『蟲』のメンバーを拾いつつ、『後戸』に移動しなければ。
『蟲』のメンバーは集めるのが大変だ。なにせ複製を作れるから、どれが本物かわからないのだ。もっとわかりやすくしてくれよ。
しかし、兵士の数が減った今なら、複製が多い所に行けば――いた。
「『摸写』くん、聞こえてるよね?」
そういうと、『摸写』が物陰からひっそりと出てきた。
「終わりましたか?」
「うん、終わった。いそいで『後戸』に行こう」




