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5章 シリアスとフェチの狭間で

 私たちはひとまず宿に戻った。任務遂行中はメンバー全員が一つの宿に泊まることになっている。『追記』さんは5つの部屋を取っていた。しかし、一つの部屋が空いてしまった。もともとは『摸写』と『偽装』を同じ部屋にしようとしていたが、もったいないので分かれてもらった。さすがにこの年齢なので過ちを犯さないだろう―――まぁ、過ちを犯しても、その、なんというか、ごちそうさまですって感じだけど―――が、部屋代がもったいないということだ。いやほんと、部屋代とか私が全額負担するから一緒の部屋にしてやれよ。

 部屋でゴロゴロしていたら無線機が鳴った。どうやらマスターとの定時報告らしい。そこで私は『伏兵』のことについてと、作戦のことについて話した。『伏兵』について聞いたマスターは残念そうな声で「そうか…」とつぶやいた。

 その日の報告はそれで終わった。マスターも仲間の死は耐え難いものがあるのだろう。

 なんだか再び気分が落ち込んだ私はいったんお風呂に入ることにした。お湯を頭からかぶると凝り固まったいやな気持ちがほぐされて、流されてゆくのが分かった。力が抜けきった口元に入ってきたお湯が徐々にしょっぱくなっていった。


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