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2.怒り狂う婚約者

マリオンは紐をまた引っ張ってルチアを呼んだ。


「まだダイヤの指輪は見つかっておりません。他に何か御用でしょうか?」

「そ、それはいいの!勘違いだったから!それよりカールは?!カールは大丈夫なの?!」

「勘違いでございますか。承知いたしました。兄のことですが――まだ意識を取り戻していません」

「カールにすぐに会わせて!」


兄が意識不明だというのにルチアの冷静さは異様だ――マリオンが使用人の意識不明の病状に取り乱したというのに――


その時、寝室の扉が乱暴にノックされ、すぐに見目麗しい若い男性が入って来た。絹糸のように美しい金髪を乱して息も少し荒い。


「カールの見舞いは後だ!お前は意識を取り戻したばかりなんだから!」


さっきのマリオンの大声は扉の前でも男性に聞こえたようだった。


「いえ、すぐに見舞いに行くわ!それより…貴方、誰ですか?」


男性の顔が目に見えて青ざめ、その後すぐに怒りで真っ赤になった。


「カールは覚えているのに私の顔も名前も覚えてないのか!おかしいじゃないか!」

「クラウス様、()()()()()はまだ目覚められたばかりです。記憶に混乱があるのでしょう」

「えっ、この人が私の婚約者…?!」

「うるさい!使用人のくせに!黙ってろ!」


クラウスはマリオンの負傷していないほうの右肩を掴んで揺すった。ルチアが慌てて止めようとしたが、使用人が抵抗できるわけもなく、後ろに突き飛ばされた。


「おい!思い出せ!思い出せよ!」

「いやぁ!止めてー!」


マリオンはズキズキと頭が痛くなって叫んだ。


すぐに何人か寝室になだれ込んで来てクラウスを止めた。マリオンの両親、公爵家の主治医とその助手、それにカール以外のマリオンの専属護衛騎士だ。


「クラウス君!乱暴は止めたまえ!マリオンは負傷している上に目覚めたばかりなんだぞ。そんな乱暴をしたら、君はマリオンに恐怖を与えるだけだ」

「申し訳ありません…彼女がカールのことを覚えていたのに私のことを分からないなんて言うもんですからっ…」

「意識が戻ったばかりで記憶が混乱してるんでしょう。そうですよね、先生?」

「その可能性は十分ありますが、落ち着いてから記憶の件は問診しましょう。今は肩と足首の具合を診ます」


主治医はテキパキと助手に指示を出しながら患部に軟膏を塗って包帯を替えさせた。


「先生、カールの具合はどうですか?」

「彼はまだ目が覚めませんが、命の危険はありません。だからお嬢様はまず安静になさって下さい。そうでないと彼が命懸けでお嬢様を助けた甲斐がありませんよ」


マリオンはやっと納得して目を瞑った。だから壁際でルチアが拳を固く握りしめていたのには気付かなかった。

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