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スタート地点は、野郎共の獄地と化していた。これから何を行うかと思えば、それは強歩大会という実に純白な名の下に行われる学校行事。競い合うとはこういうことなのか。意気揚々と逆立つ毛並みが、前方の人間を見ずとも雰囲気で理解できた。
体育教師の打った号砲と共に、わらわらと周囲の生徒は流れ出した。先頭に立っていた者は勢い良く檻を飛び出し、競走馬のように自分自身に鞭を振って飛び出したことだろう。
テレビの天気予報で見る渋谷のスクランブル交差点の光景が思い出された。この道は一方通行にせよ、それと大差ないくらいに道幅を人が覆いつくす。たまらず道の端に私は抜け出してしまった。
さて、これからどうしようものか。歩いていても後ろの生徒の邪魔になるだけだったせいもあって、今は小走りの状態だった。前方の人間は私と同じくらいの速度なので、頭の揺れの大きさは変わらないし、距離も一定。その前々方を行く生徒は、だんだんと輪郭を小さくしていく。
おそらく梓は歩いているだろう。一時間前にスタートした女子生徒は、今の私とどれくらいの差があるだろうか。私がこれから先も走り続けているのなら、近づくことに変わりはない。




