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「罰ってのは本人が嫌がる事じゃないと罰って言わないよな」
しばしの静寂の後、口を開いた悠太の表情は意地悪く、笑っていた。
幼げな見た目から、普段は、大人であろうと背伸びをしている。
そんな彼が見た目にびったりな様に、麗奈は胸を高鳴らせた。
私は悠太が女の子でも同じように愛せる。なんて場面には似つかわしく無いことも考えている。
「1週間。トイレに着いてくんな。後一緒に風呂入れる!とか思ってそうだからそれも禁止だ」
生きがいの全てを奪われた気がした。
可愛い顔をした悠太の恥ずかしがる顔を見るのが、麗奈に取って日課だった。
その1つの方法が彼のトイレについて行く。これは彼が入院した時に、体を動かせない彼の排泄を世話した麗奈が開花させたひとつの性癖だ。
『それだけは勘弁して欲しい』
普段の顔文字も捨てて、文章を打ち込み彼にみせた。
それでも彼は首を横に振る。
「駄目だ。俺はお前を甘やかしすぎたんだ。だからお前は俺に薬を盛った。そもそも人のトイレに着いてくるなんて、異状性癖はそろそろ治して置かなきゃいけない」
『ぐぬぬ』
「だから、1週間は我慢してくれ。あわよくば治ってくれ」
麗奈の肩に手を置いた彼は心底切実そうに言った。
彼に向けてこくりと頷いた。だが、当の麗奈には一切治す気などない。
「んじゃ、俺はトイレに行ってくるから、着いてくるなよ?」
いいか?と聞き分けのない子供に言いつけるように念を押して、悠太はリビングを出ていった。
この時点で麗奈は分かっていたのだ。
「麗奈ぁ!!!」
トイレの方から響いた声に、彼女は心の中でニヤリと笑みを浮かべた。
それから立ち上がり、軽い足取りでトイレへと向かって行く。
急な仕様変更で、トイレのやり方が分からない同居人の元へ。