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麗奈の頭の中はお花畑だ。彼の依存度から言って、万が一悠太が真実を知っても彼に嫌われる心配はない。麗奈は楽天的に考えている。


『お昼寝してたら女の子になっちゃったなんて……』


正確には昼寝をしていた悠太に、麗奈が怪しい媚薬を飲ませたらと付け加えなければいけないのだが、麗奈は悠太に記憶が無いと判断したのだろう。大事な部分を伏せた。


「麗奈ぁ……どうしよう」

『なっちゃった物は仕方ないよ、数日したら治るかもしれないし』


男性から女性になってすぐ前を向けとはあまりにも酷な話だ。

「麗奈は俺が女でもいいのかよ」

『どういうこと?(;´・ω・)』

「俺……麗奈のこと好きだったのに、これじゃ結婚出来ねえ」


悠太が口にしたのは数ヶ月支えてくれ、彼も密かに思いを寄せていた同居人への突然の告白だった。

悠太も何故『好き』と言う言葉を口にしてしまったのか分からず、急に性転換してしまいポロリと口から出てしまったのだろう。


麗奈もオレンジがかった黄色い瞳に動揺の色が見えている。麗奈も悠太との仲の良さは自覚しているが、好意を寄せてくれているとは思っていなかった。

だが、これは競争率の高い悠太を手中に収めるチャンスだね。

麗奈は息を飲んだ。彼女の瞳に迷いはない。

麗奈はしゃがみ込み、彼の小さな体を抱きしめると

『悠太。これは……百合百合しなさいって神様のお告げかも知れないよ』と悪びれることなくしれっと告げた。


悠太の性癖は理解している。それは百合を眺めること。

決して自分は混ざろうとはせず、眺めているだけ。

麗奈は、彼の幼馴染で隣に住んでいる涼夏が仲睦まじく抱き合ってたり、悠太の姉、菜月とくっついていると、彼が暖かい目で見守りつつも内心では自分の欲を満たしているのを知っていた。

だから百合と言う単語を使えば、百合スキーな悠太は簡単に騙せる。麗奈はそう踏んだのだろう。

「百合……」


悠太の心は麗奈の甘い囁きに揺れていた。彼は既に女としての自分を受け入れつつある。彼の中で百合は正義だから。

女性同士だから付き合えないなんて考えは古い。自分の考えを思い出し、彼は、麗奈の体を抱き返した。


けれど、次の麗奈の発言で悠太は現実に引き戻される。


『そう。さっきみたいに君がお姉さんの胸に耳を当てて心音を聞いても百合。唇に指を当てても百合』


「心音聞いてた時ってお前寝てたよな」

蛇が尻尾を表す。起きてないと知りえない悠太の行動を麗奈が知っている。

――そう言えば熱が出たとき、麗奈に何か飲まされたような……。

記憶を取り戻した悠太は、そっと麗奈から離れると目付きをキツくして麗奈を睨んだ。


「お前寝てる俺を起こしてなにか飲ませたよな……何を飲ませた?」


麗奈の目が見開かれたのを見て悠太は確信する。

――こいつが犯人だ。

『お、お姉さんは君が喉乾いてると思って水を飲ませただけだよ(;´・ω・)どうしたの?混乱してるの?』


「水と一緒に何を飲ませた?今なら怒らないから言ってみろ」

『何も:(;゛゜'ω゜'):』


麗奈が使った顔文字が嘘を物語っている。

「俺……お前のこと信じてたのに……」


心の底からショックを受けた表情を作り、言った。

麗奈の罪悪感を擽る作戦だ。


『……お薬を飲ませました』

「なんの?」

更に悠太は詰め寄る。

『媚薬』

もう言い逃れは出来ない。麗奈は思ったのだろう、自らの罪を自白した。

スマホの画面に表示された文字を見て悠太は自分の目を疑い

「媚薬!?」

驚きの声を上げた。


――媚薬ってあの媚薬だよな……。

そんなものを何故麗奈が自分に使おうと思ったのか。もしかして麗奈も自分に好意を持ってくれているのかも、と悠太は思ったが、今は語るべき論点はそこではない。


「……俺はなんで媚薬で女になってんだ?」

『それは分からない(;´・ω・)』


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