表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/69

47頁


 方向性は決まった。悠太も許してくれた。と来れば無問題だと思われた。

 が沙織と麗奈は直ぐに、次の問題に直面することになる

 、

 

 ――菜月になんて言おう。殺されるかもしれない。

 ――菜月さん、子指一本で許して貰えますかね。


 麗奈と沙織の思考だ。仮にこの場が丸く収まったとしても、ブラコンの菜月に、お宅の弟さんを妹さんにしちゃいました。

 なんて馬鹿げた釈明をしたら、ぶち殺されてしまうのではないかと、2人は震えた。

 

「今日。菜月さん何時頃お帰りになるかわかりますか?」


 だけども、保護者に説明責任を果たさねば、悠太や菜月の友として胸を張れない。沙織は覚悟を決めて聞いた。


「今が、18時だね。そろそろ家に居るんじゃないかな?ね、麗奈」


『今日はここに泊まろう』


「駄目です。責任は私が負いますので、ちゃんと打ち明けましょう」


 先延ばしにしてもいいことは無いのだ。

 今日中に戻るならまだしも、何日かかるのか、元に戻るかも分からない。

 もし今日戻らなければ、何日もここに留まる訳にはいかない。それに

「ダメだよ麗奈。お姉ちゃんが餓死しちゃう」


 この男が姉を放っておくはずがないのだ。


『でも、菜月が怒ったら:( ;´꒳`;):』


 温厚で静かな人ほど怒ると怖い。麗奈にとって菜月は、沙織とは別のベクトルで真に清廉潔白を絵に書いたような人物だ。

 時折、二面性を見せる時があるものの、温厚が大部分を占めている。

 

 弟の為ならなんだってする。甘やかしの天才。麗奈もよく甘やかしてもらう。そんな菜月が怒ったところを見たことがない。


 麗奈は菜月への恐怖心が募り、家に帰りたくなくなっていた。


「大丈夫だって、家出る前も言ったでしょ?菜月お姉ちゃんは喜ぶと思うよ」


『そ、そうかな。でも私と沙織は怒られそう』


「大丈夫。私が庇ってあげるから」


 そう言って悠太はぷにぷにの二の腕を曲げて見せた。

『頼りにしてる:( ˙꒳˙ ):』


 結局3人は、春日家に行くこととなった。

 

 ――――――


 3人が家に入ると、リビングでテレビを見る音が聞こえた。

 菜月はこの中にいるようだ。


 陣形は悠太と麗奈が隣同士で、沙織が少し後ろ、玄関ドアの外に控えている。


「ただいまー」


「遅かったわねー。どこ行ってたの?」


 悠太が玄関から声をかけると、菜月がリビングの扉を開けて姿を見せた。


「沙織さんの家に行ってたの。お腹すいた?すぐにご飯を作ろうか?」


「うん。お願いするわねー。お姉ちゃんお腹ぺこぺこ。でも、悠太と麗奈ちゃん成分も補給したいなー」


 どうやら、玄関外に位置する沙織は見えていないようだ。


「えへへ、お姉ちゃん。ぎゅー」


「あら、今日は随分素直。ぎゅー」


 ――え、菜月さん気づいてないんですか?


 沙織は、抱き合う3人を他所にそんな事を考えていた。


「あのー……こんばんは〜」


「沙織も来てたの!?ぎゅーしていい?」


「え、あ、いいですけど〜」


 沙織がそう言うと菜月は、悠太と、麗奈を抱えたまま手を広げた。

 4人で抱き合う不思議空間が、春日家の玄関に広がる。


「菜月さん。悠太くんを見て変化に気づきませんか?」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ