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「唯は私に協力して欲しいのかな?怒らせたいのかな?どっちかな?」
涼夏は苛立ち紛れに返した。
理解力は少し乏しいものの人の感情の変化や心理を突くのが得意な彼女は馬鹿にされたことくらいはわかる。
『……ごめんなさい。えっと今日ね。やけにそわそわしてる麗奈さんにあったのだけれど。なんて言ったらいいのかしら早く帰りたいような感じを出していて』
「ふむふむ?」
『私も彼と約束があったから一緒に向かおうとしたのだけれど、それを告げたら今日は悠太くんが男の娘の日。生理って言われて追い返されたのよ』
「え、男の娘の日なんてあるの!?」
『ないわよ。嘘八百よ。あれの先から血が出るとか。性欲が強くなるってデタラメ並べ立てて騙されたわ』
家に帰ってから速攻で検索する唯の姿が容易に想像出来て、涼夏の口元が、にぃと上がった。
「そんな嘘に騙されるなんて、唯もまだまだ甘々ですなぁ〜」
自分の事は棚に上げてこの発言である。
『ぐっ……でも不味いわね。家に居ないとなるとどこかに連れ出してしてる可能性もありうるわね』
「してるって何をー?」
『貴方も高校生ならそれくらいわかるでしょう?保健体育で習わなかったかしら?』
「保健体育はね。寝る為にあるの。何言ってるか分からないもん」
電話口からはぁー、とため息をつく音が聞こえた。唯が呆れ顔をしているのが容易に想像つく。
『この分だとどうしたら子供ができるとかも知らなそうね』
「失礼なっ。私でもそれくらい知ってるよ!ちゅ、ちゅぅしたらできるんだよね?」
『あのね。私もそういう話題に詳しいわけではないのだけど、流石にキスで子供が出来ないことくらい小学生の頃に学んだわよ』
「え!そうなの!?」
『いい?涼夏。子供っていうのは…………男女が愛し合った結果できるの』
「じゃあキスでもできるんだね!」
唯が言葉で表現するのを躊躇し、簡略化して伝えた為にまた勘違いを始めた涼夏は納得したと大きく頷いた。
「って事は悠くんが妊娠させられちゃうの!?」
『ぶふっ!なんでそうなるのよ!』
「どっちかって言うと悠くんのがヒロイン色強くない?」
『え、ええ。でも、残念ながら妊娠をするのは女性であって男性は妊娠出来ないわよ。涼夏は子供がどこから出て来るのか知ってるのかしら?』
「それは知ってるよ!あ、あそこからでしょ?て事は悠くんが妊娠したらあれの先っぽから産まれてくるの……?うわぐろ!うえー」
と言いながら彼女は渋い顔をしながら子供っぽく舌をだした。
『有り得もしない事を想像して吐き気を催してるんじゃないの』




