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2人で家を出て街を歩く。いつもより多い羨望の眼差しを浴びる。男性女性問わずすれ違う人がチラチラと2人を見ていた。
「ねえ、いつもより見られてる気がするんだけど」
悠太が言った。男の時から見られるのは慣れているはずなのに、いつもより多く自分に刺さる視線に何処と無く羞恥を感じていた。
『お姉さんは気にならないけど……( ゜∀ ゜)ハッ!』
「どした?」
『君の胸だ:( ;´꒳`;)』
「胸?」
『おっきいのにブラしてないから』
麗奈に言われて下を見た。いつもと違って足元が見えないほどに実った胸の先端が、パーカーに小さなでっぱりを作っている。
更に歩く度に上下に細かく揺れる。
「――――――――――っ」
「ねぇ、あの子胸大きいのにブラしてないの痴女なのかな」
「えー。隣の女の子普通そうだけど」
「レズカップルだったりしてー」
「ちょっとー聞こえちゃうよー」
すれ違った2人組の女性のコソコソ話しにならない程度の話しが聞こえてきた。
――聞こえてるのよ。
「麗奈ぁ、どしたらいい?」
彼は顔を赤くして目を泳がせながら胸を腕で隠しながら聞いた。
『取り敢えずこれ着てブラ買いに行こ。すぐ行こ』
悠太は麗奈が貸してくれたパーカーを上から着た。これなら揺れはするが先端が主張することは無い。
揺れを軽減する為に大きな胸を腕で抱える。
「うー。女の子って大変なんだな」
今の一言は麗奈に向けて言ったのだが、麗奈は下を向いてもう一度悠太に視線を向けたが何も言わない。
「えぇ!なんで泣いてるの!?」
代わりに一筋の涙を流した麗奈を心配して彼が顔を近づける。
顔を近づければ体も近づくわけで、麗奈の胸のちょっと下辺りに悠太の胸が当たって彼の胸がふにゅんと柔らかく形を変える。
「…………」
麗奈は無言でポロポロと涙を流す。ガチ泣きだった。
「麗奈?何処か痛いの?」
彼が麗奈の体を触って異変が無いか確かめる。その度にふにゅんふにゅん形を変える胸。
麗奈も今なら表情を変えられそうだ。
『お姉さんはね……揺れた事ないから』
悠太の胸は今Fカップ。対する麗奈の胸はAカップ。ほぼというか揺れないのだ。
これ以上押し付けられる胸によって心にダメージを与えられないように彼女は胸の内を打ち明けた。
「麗奈。胸の大きさ気にしてたの?」
『だって、お姉さんなのに、胸無い』
彼が未だかつて見たことないくらいの凄い落ち込みようだ。
「麗奈の胸、私は好きだよ」
悠太は男の時なら絶対に言わないであろうセリフを真顔で吐いた。
『貧乳好きなの?男なのに』
「男がみんな巨乳好きって訳でも無ければ、私が言いたいのはそういう事じゃないよ?」
この2人可愛すぎんか?失礼。中の人がでてきた笑笑




