【短編版】俺の青春は荒れ模様です〜幼馴染とお嬢様は何かと構って来ます〜
どうも神楽天翔です。こちらは別作品の後書きで言っていた短編の1つです。こちらともう一つの短編で人気が多かった方を連載します。
連載されなかった方は総合評価が1000を超えた場合、私の余裕が出来次第連載しようと思います。
どうしてこうなった。
ゴールデンウィークにも未練が無くなってくる5月の下旬、永丘高校は4限が終わってすぐの昼休み。
2年B組にある、勉強も運動も上の中で容姿も整っているとは言い切れない俺__中山幸灯の机の前で美少女2人がどちらも弁当を2つ持って睨み合っている。傍らでは去年同じクラスで仲良くなった爽やか系イケメンの佐々木悠真がニヤニヤしている。
片や明朗快活で長くて黒い髪をポニーテールに結っている幼稚園からの幼馴染の松野陽奈。
片やゆるふわ天然で腰まである亜麻色の髪を流しているお嬢様な五十嵐彩音。
いつもなら購買に悠真と焼きそばパンを買いに行っているハズなのだが。
「五十嵐さん、なぜ弁当を2つ持っているのかしら」
「私は中山くんと昼食を共にしたいと思いまして。普段購買に行っているようでしたので作って来ましたの」
「へぇ、それは奇遇ね。あたしもそう思って作って来たのだけどさすがに2つは無理でしょうね」
「私もそう思いますわ」
あれ?俺の眼おかしくなったかな。2人の視線の間で火花が立っているように見えるんだけど。
「ははっ、おもしろいことになってんな。まだみてたいとこだが、美優と昼飯一緒にする約束だからな。んじゃ、また後でな」
「あ、悠真!」
待ってくれ、置き去りにしないでくれ。別に今日くらいはココで彼女とイチャついていいから1人にしないでくれ!
「ねぇ、幸灯」「中山くん」
「な、何かな2人とも」
睨み合っていた2人の意見がまとまったのか声をかけて来た。作り笑いを浮かべて2人の方を向く。
「五十嵐さんと話し合った結果ね、どちらを食べてもらうかは幸灯に決めてもらうことにしたの」
「ですから中山くん、私と松野さんどちらの弁当が食べたいか選んでくださいな」
この荒れた状況下で、どちらが好きというわけでもなく、学年でも人気の高い美少女2人の手作り弁当を、選ばなかった方が不機嫌になるとわかっていて、片方しか選ばないヤツがいたら見てみたい。
要するに選択肢など最初からなかった。なので俺は覚悟を決めて逝った。
「いや、両方食べるよ」
と。
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20分後、俺は机に突っ伏していた。腹がかなりキツい。なんとか2つとも食べきったが、少し吐きそうだ。2人とも喜んでいたから危機は脱したのだろう。
「机に突っ伏してどうした幸灯」
「弁当2人分食って腹がキツいんだよ」
「そりゃご愁傷様。にしても災難だったなお前」
「あぁ。ったく、なんでああなったんやら」
陽奈は幼馴染で家は隣だったが、高校になってからは俺が1人暮らし始めてからは接すること減ったし。
五十嵐さんは最近よく話すようにはなったけどこの前のゴールデンウィークに話したのが最初だったし。
「あまり接点なかったハズなのになんでだったんだホント」
「あの2人の中で何がどうなって幸灯に弁当を作ろうと思ったかがわからないんだよな」
彼女持ちで女子の扱いに長けている(勝手な憶測だけど)悠真からしても意味不明らしい。
「でも、美味しかったんだろ、弁当」
「まぁ、両方美味しかったよ」
陽奈の方は、唐揚げにエビフライ、玉子焼きに日の丸ご飯といったオーソドックスな弁当だった。
五十嵐さんの方は、回鍋肉に出汁巻き、サラダに麦ご飯とたくあんという美味しい上に栄養のありそうな弁当だった。
「学年でも人気の高い美少女2人からの美味しい手作り弁当とかよかったじゃないか」
「じゃあ悠真、俺と変わってくれ。俺だと嫉妬と怨嗟の視線で物理的に殺されそうだ」
「嫌だね。俺には坂上美優という心に決めたヤツがいるし、そんなことになったら二重でヤバい。俺だって命は惜しい」
「だったら言うなよ」
1つは視線、もう1つは美優の心情的にヤバいのだろう。美優は独占欲強めだからな。
こんなふざけあって悠真と話してる間もクラスの男子どもから、嫉妬と怨嗟に塗れた視線に晒されている。
なんで昼休みだというのに全然休めないんだよ。
別作品、『Wolgade Fradm Online 〜バイトすらできなくなったので、ゲーム始めました〜』の方もよろしくお願いします。
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