焼き芋、いしや~きいも
「めっちゃおいしい」
「だろー」
そう言ってハトコであり、婚約者である彼が笑顔で焼き芋を頬張る。そして「お、ホントだ。うまい」と、もっとニコニコした。
事の始まりは私の実家から大量のサツマイモを送ってきたことだ。
「こんなにたくさんどうしよう?」
「焼き芋にしたら冷凍できるんじゃん?」
そして彼は半分ほどをせっせとオーブンレンジで焼き芋にした。残りは新聞紙でくるんで箱に入れる。最初に焼けた分を食べてみたら、とてもおいしかった。焼き芋ってこんなに簡単にできるんだなあ……と感心しきりである。
「もう柔らかくなってるからさ、このままサラダにしたり温め直してアイスとか乗せてもうまいよ」
「わ、いいね。明日の学校帰りに買ってこよう」
「あ、あと醤油と砂糖でみたらしのタレ作ってかけても最高」
「……やっぱりアイスは今買ってこよう。そんで、夕ごはんは焼き芋パーティしよう」
「まじで」
「まじです」
私と彼は同い年の大学生であり、同じ学校に通っている。つまりお互いの取得科目は把握しているわけで。
「だってそっちさ、明日は帰りが遅いでしょう? でも二人とも朝は遅い。つまりやるなら今夜」
「何が『つまり』だよ」
そう笑いながらも彼は財布をジーンズのポケットに入れている。アイスを買いに行くのに付き合ってくれるということだ。
「善は急げ、思い立ったら吉日。そういうことだ。急ごう」
「急がなくたってアイスも焼き芋も逃げねえだろ」
なんて言いながら二人で同居する家を出た。秋だけど、昼間はまだ結構暑い。やっぱりアイスが必要だな。汗をかきながら、それでも手をつないでコンビニに走る。




