腹が減っては戦はできぬ
「お腹空いたなあ」
帰宅しても誰も居ない。もちろんごはんもない。同居人は仕事が遅くなると言っていたし、私はそもそもこんなに遅くなるつもりはなくて、何か買って帰って作ろうと思っていたから食材もない。遅くなったせいでスーパーもやってないし、疲れてコンビニに行くのも忘れていた。さて、どうしようか。
「うん?」
スマホが震える。確認すると同居人からの帰るコールだ。
「やった!!!」
急いで食料調達の依頼を出す。よし、風呂を沸かして先に済ませておこう。きっと出るころには同居人が食べ物と一緒に帰ってくるはずだ。
「ただいまー」
「おかえり!!!!」
「……未だかつて無い歓迎ぶりだ」
風呂から上がって髪を乾かしたタイミングで同居人が帰ってきた。すっ飛んでいくと、同居人は苦笑しつつも、買ってきたお弁当を差し出してくれる。
「ありがとう! すごい……おいしそう……」
「一緒に食べよう」
二人で向かい合ってごはんにする。いつもは私が作っているから、たまにそうでないごはんを食べると本当においしく感じる。それが例えコンビニ弁当であっても。
「おいしい。すんごいおいしい」
「そう? 私はいつものごはんの方がおいしいよ」
「自分で作っていない、っていうのがポイントです」
「そう?」
こればっかりは作る人でないとわからないのだ。毎日毎日自分が作ったものばかりだと飽きてくるのよ。
「「ごちそうさまでした」」
「はー、お腹いっぱい。いつでも出陣できる」
「戦に出るの?」
「腹が減っては戦はできぬって言うじゃない?」
「言うけど……」
まあ、戦はないんですけどね。それに今日は後は寝るだけだし。お腹いっぱいになったら眠くなってきた。
「戦じゃないけど、これ借りてきた」
そう差し出されたのはホラー映画だ。……見るの?
「あの、ホラー映画苦手なのだけど」
「知ってる。私一人で見ようと思ってたんだけど、出陣するかなって」
ええ。どうしよう。出陣……する????




