粒あんより、こしあん
「おいしい……おいしい……」
「それはなんでしょうか」
「おはぎです」
首をかしげる先輩におはぎについて説明する。私の地元で夏の終わりから秋の初めに食べるおやつだと。おやつ、だと思う。たぶん。
ここは私の住まう寮で、同居人はすでにたらふくおはぎを食べて遊びに行っている。今は勉強を教えに来てくれた先輩と二人きりだ。
「先輩も召し上がるのでしたら、お持ちしますよ」
「いただきます」
ということで冷蔵庫からいくつか出して持って行く。ちなみにこのおはぎは、他の先輩に作ってもらったものだ。
「ほう……作ってもらった……?」
「はい。お茶会のメニューの相談を受けたので私がレシピをお伝えして作ってもらって……余りをこうしていただいたのです」
先輩はおはぎを頬張ったまま、何故だか黙り込んでしまう。何か気に障っただろうか。それともおはぎがおいしすぎて感無量?
「……作り方、僕にも教えてもらえますか」
「もちろんです」
そして作り方を説明する。先輩は熱心にメモを取り、質問をいくつかしていた。真面目だなあ。そういう姿を見ていると応援したくなるもので。
「次の休みに、一緒に作りましょうか」
「?」
「おはぎです。先輩が試作なさるなら私もご一緒させていただこうかと。勉強を教えていただいているお礼も兼ねて」
「是非! 是非そうしましょう!! ……あ、はい。構いません。材料はこちらで用意しておきますので」
かわいいかよ。前のめりで食いついてきたのに、はっとして下がるところ、めっちゃかわいかったです。うん、楽しみだな。先輩とお菓子作り。まあ、私はそんなに褒められた腕ではないけど、邪魔にならない程度には役立てると思う。
「もしカフェでの新メニューにとお考えでしたら、お茶もお持ちしますよ」
「ほう」
そうして気付いたら二人でお茶や料理の話で盛り上がってしまった。……勉強は余り進まず。まあ、いいんだ。先輩がかわいいから。




