さあ、狩りに行こう
「うう、選べない……」
「何を悩んでいるのですか」
「選べないんです~」
私が今迷っているのは、先輩が経営するカフェの新作である。季節のフルーツをふんだんに盛り込んだメニューは、どれもおいしそうで選べずにいた。
「どれも、とてもおいしそうで……」
「毎日一つずつ食べれば良いのでは?」
「そう……ですね……」
では、まず何を食べるか……また悩み出した私を見て先輩は何かを考えている。
「良いことを思いつきました。少々お待ちください」
「?」
言われたとおりにメニューをめくりながら待っている。しばらくして先輩が戻ってくると手にはプレートを持っていた。
「こちらでいかがでしょう?」
「わあ! かわいい! おいしそう!!」
目の前に置かれたプレートには、悩んでいたメニューが全て少しずつ乗っていた。すごい! これなら全部試せる!!
「いただきます!! ~~~~~おいしい~~~~。先輩……天才ですね!」
「そうでしょう、そうでしょう。これなら一通り試せますし、多少コストはかかりますが宣伝費用と考えれば高くない。あ、あとで友達にも紹介しておいてくださいね」
「はい! もちろんです! ……写真撮るの忘れてました……」
「大丈夫ですよ」
先輩がスマホを操作すると、すぐに私のスマホが震えた。送られてきたのは先程のプレートの写真……それもめっちゃおしゃれなやつ。うーん、さすが。私が撮ってもこんな風にはならない。
「すごいですねえ。さすがです。あ、そうだ。先輩、一緒に一枚良いですか?」
先輩の返事を待たずに席を移動し、隣に寄り添って写真を撮る。
「うんうん。良い感じですね」
「ちょ、ちょっと待って下さい。それ、どうするんですか」
「SNSで『ラブラブでーす』って報告?」
「ダメです!!!!」
ダメかー。残念だなあ。公式カップルへの道のりが長い……。
「それに僕が変な顔になっているじゃないですか! 撮り直しますよ」
「ええ」
私のスマホと先輩のスマホで何回か撮り直す。ようやく満足のいく写真が撮れたようで、先輩はニコニコしてスマホを見ている。
「それ、SNSに上げるんですか」
「馬鹿言わないでください。あなたのこんなかわいい写真を外部に発信するわけないでしょう」
「ええ」
先輩はかわいいけど、少し過保護だよね。




