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コスモスがそよ風に揺れている

 ふわり、ふわりと穏やかな風に吹かれながら森を行く。行き先は最深部にある魔女の家だ。森の奥に住む魔女だなんて童話に出てくる魔女のようで、実際に彼女はそういう昔ながらの魔女だった。

 コスモスが揺れる道を歩きながら彼女のことを考える。今日は、話ができるだろうか? 彼女は私を嫌っているので、なかなか会話ができない。まだ挨拶すら碌にできないでいる。でも、私は彼女と話してみたかった。

 私が住む都市部は科学の発展によって成り立っている。……と、酋長らは言っている。でも、実際がどうかと言えば魔女を追い出したせいで生活のレベルは格段に悪くなった。今まで当たり前にあったサービスはなくなり、そこかしこで不便を強いられている。

 科学によって街を発展させたいという思い自体は別に悪くない。悪いのはそのために魔女を追い出してしまったことだ。彼女らの恩恵で発展していた街はそれで衰退した。

 だから私は魔女の知恵を借りるべく、こうして幾度となく森に足を運んでいる。しかし、そもそも会話すらままならないのが現状だ。

『私の家族も友人もみな魔女狩りで死んだ。彼らも私も街に焼べられて死ぬのはごめんだね』

 そう言われてしまうと反論のしようがなかった。私に関わったことで彼女の存在が街に知られ、それはイコール魔女狩りの火で焼かれることを指しているのだ。

 もちろん私だって彼女を焼き殺すつもりはない。けど、それを彼女に信じてもらうための証拠など何もない。じゃあ、どうしたら。

 良い方法など何も思いつかず、ただひたすらに通い詰めては拒絶されていた。まだ彼女の名前すら聞けていない。

「また来たのか」

「あなたと話すためなら何度でも」

 今日は家の前の小さな畑に彼女はいた。汗をかきながら肥料をまいている。ふと気になったことがあった。

「その肥料はどこから仕入れたのですか?」

「自作だ」

 それを聞いて思い知る。やはり、私と彼女では知識のレベルが違う。欲しい。彼女が。彼女の知識が。溢れかえる欲を顔に出さないように苦労する。

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