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どこなんだっけ「スイカの名産地」って

「きれいなあの子の晴れ姿~」

 懐かしい歌を聴いた。客先から自社へ戻る途中の住宅街。ちょうど小学校の下校時間と重なったらしく、ランドセルを背負った子供がたくさん歩いている。その歌は、子供達の中から聞こえた。

 綺麗なあの子の晴れ姿。スイカの名産地。

 私にとっての「綺麗なあの子」は今何をしているだろうか。地元はスイカの名産地ではない、都市部のベッドタウンだけど、綺麗なあの子はそこで幸せな家庭を築いているはずだ。

 まだ日差しがきつい残暑の中を会社に向かって急ぐ。最後は早足で駆け込んだオフィスビルの中はエアコンが効いていてとても涼しかった。

「はー、暑い」

「お疲れ様。課長が、冷蔵庫に入ってるアイスを一人一つ食べて良いって言ってたよ」

「やった。ありがと」

 隣の席の同僚に挨拶をして給湯室に向かう。しかし冷蔵庫を開けるとアイスはなかった。しょんぼりしつつ手ぶらで戻ると、私の後ろの席の女の子がアイスキャンデーをかじっている。そしてよく見ると既に食べ終えたアイスキャンデーの棒が、彼女の机の上に置いてあった。

「ねえ、それ」

「? 課長が買ってきてくれたんですよ?」

「いや、そうだけど。もしかして二本目?」

「そうですよ? 最後一個余ってたんで」

「ちょっと! 一人一つって言ったでしょ!?」

 私たちの話を聞いて同僚が口を挟んだ。叱られた女の子は逆ギレをしている。まあ、そういう日なんだな。がっかりしつつも『アイスキャンデーだしなあ』という気持ちで諦める。

「あれ」

 仕事を再開する前にスマホを見ると着信履歴があった。会社に戻る直前のタイムスタンプだから、早足で気付かなかったらしい。しかし、気になるのは発信元だった。

「どうしたんだろ」

  それは、帰社中に思い出した『綺麗なあの子』の名前だった。でも彼女はいつも、いきなり電話はしてこない。メッセージでアポイントメントを取ってから、電話を寄越す。いきなりの電話だなんて、一体何が……?

 何故か心臓の音が大きくなった。嫌な予感と共にリダイヤルボタンを押す。

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