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お酒はいつ飲んでも美味しい

「あ~~~~寂しい」

「すみませんね、私だけで」

「そうじゃない! そうじゃないんだけどさあ」

 そうくだを巻く友人を苦笑いで眺める。友人、南雲くんはしょぼくれた顔でお酒を飲んでいる。

 ここは私、末吉香が友人の西浜景と同居しているマンションである。今日は南雲くんがお酒とおつまみにデザートまで持って遊びに来てくれたんだけど、残念なことに今朝になって景が仕事の呼び出しを受けて不参加となった。南雲くんはそのことで寂しいと嘆き、ご覧のとおりに飲んだくれているのである。

「まあ、その内帰ってくるよ」

「そうだろうけどさあ」

「ていうか、それだけ寂しいなら本人にそう言えば良いのに」

「それが出来たら苦労はしない」

 南雲くんは分かりやすく景のことが好きだ。景も気付いてはいるみたいだし、悪くは思っていなさそうだけど、どうするのかは知らない。そして南雲くんもそういうところでへたれなので、景に直接的に好意を伝えたりはしていない。やーい、へたれ。

「だってさあ……西浜さん……あまり、得意じゃないだろ、そういうの」

「いやあ。不得手っていうか……トラウマっていうか」

 そう、景は以前いた恋人に酷いことを言われて、割と酷い別れ方をしている。私は事後に話を聞いて、あんまりだと思ったから一人で住んでいたこのマンションに景を招いたのだ。逆に言えば、そうしたくなるほどに酷い話だったのだ。

 そのことを南雲くんは知らない。けど、察している。だから直接的な対応を取りあぐねている。馬鹿だなあ、という気持ちと、優しさなのかなあ、という気持ちと半々で、私は眺めている。

「まあ、一つ言えるのはさ」

「うん」

「このおつまみ美味しいから、もう一個ちょうだい」

「はー。ほらよ」

「そういう優しさを景にも見せたら良いと思うよ」

 南雲くんは首をかしげている。でもそういうことだと思う。景を一人の人間として尊重して、優しく出来るか。相手を思いやるってそういうことじゃない。

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