表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
180/460

線香花火は最後に終わらせよう。寂しくなるから。

 パチパチ、シューシュー。手持ち花火が足下を照らす。隣には同級生の友人。反対の隣には好きな先輩。いつも通り押しに押して確保した隣のポジションだけど、うまく話せないでいる。友人は、私から見て正面にいる先輩と穏やかに話していた。

 友人がうらやましいと思うことがたまにある。彼女と先輩は相思相愛で、彼女が素直になればいつだって付き合うことができるのだ。私とは違って。私の好きな先輩は、私のことが怖いという。否定は出来ない。背も高いし、気も強い。かわいげなんてどこにもない。

「おい、花火消えてるぞ」

「あ、ほんとだ」

 ぼんやりと薄暗い考えにふけっていたら、花火は消えていた。慌ててバケツに放り込んで次を選ぼうとする。と、隣から花火が差し出された。

「これ、出し過ぎたからやるよ」

「ありがとうございます」

 先輩から私に話しかけてくるだなんて珍しい。調子が悪いのだろうか? なんて思ってしまうくらいに、私は先輩から相手にされていない。まあ、しょうがないんだけど。先輩にだって選ぶ権利はあるのだ。

「ほら、花火こっち向けろ」

「はい」

 先に火を付けていた先輩の花火に、私の物を近づける。すぐに火が付いて、シューシューと光が散る。

 ……あーあー。私も先輩に火、付けられちゃったなあ。そう思うけど、そこから先が続かない。私の火も、花火くらい簡単に散ってしまえば楽なのに。もうちょっと、相手をしてくれそうな人を好きになれれば良かったのに。

「なんか、お前が静かだと気持ち悪いな」

「そうですか」

「調子狂う」

 やめてよ。そういう、気を持たせるようなこと言うの。私は先輩の方を見ないようにする。見たら多分泣く。

「来週、妹の誕生日なんだよ」

 なんですか、いきなり。こちらが答える前に先輩は続ける。

「親からケーキ買って来いって言われて金渡されたけど、何買えば良いかわからんから付き合ってくれ」

「え」

「……ついでに、お前の誕生日プレゼントも考えるから」

「よ、喜んで!」

「居酒屋かよ」

 そう笑う先輩に、やっぱり火は消せないと思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ