サマーニットっていつ着るの
「この服、どう思う?」
ある夏の日、私は同棲している従兄弟……婚約者でもある彼に聞いてみた。彼は上から下まで私を眺めてから口を開く。
「とても良く似合っているけど……それで外出はちょっと」
と、何やら眉をひそめた。何か、おかしかっただろうか。
私が今着ているのは、いわゆるサマーニットでノンスリーブにV字ネック、ウェスト丈はやや短め。ボトムには細身の七分丈のジーンズ風レギンスを合わせている。
「どこか、おかしいかな」
「そんなことはないよ。とても似合っている。君のスタイルの良さが際立っていて、いつもよりずっと綺麗に見える」
「じゃあ」
なんで、と言うと、何故か彼は顔を背けた。
「だって、綺麗だからさ、見せたくないし」
「?」
ちょっと良くわからない。どういうことだ。
「だから、君がいつもよりずっと綺麗にしてるから、それを他の人に見せたくない。他の男に好かれても嫌だし」
つ、つまり、あれかな、嫉妬? 独占欲的な? 彼が?
「あの」
「ごめん、つまらないことを言って。でも俺はそう思うよ」
「つまらなくないよ。うん、君がそう言うなら止めよう。着替えてくる」
「え」
それからすぐに着替えて、ゆるめのTシャツにフレアのロングスカートに替えた。
「どうかな」
「えっと、かわいいです」
「なら良かった」
「でも、良かったの。って、俺が言うのも変なんだけど」
何故かオドオドする彼に笑って見せた。
「いいんだよ。さっきの服は着る機会が無くて忘れていたのを、思い出したから着てみただけだから。君が嫌がってるのを無視してまで着るものじゃない」
そう言うと、彼はやっぱり困った様に頷く。
「でも、そうだなあ。せっかくだから次の休みに一緒に出かけるときに着てもいい? 綺麗な彼女連れてますって自慢して歩いて」
「……うん」
やっぱり困った顔のままだけど。それでもさっきとは違って、ほんのり嬉しそうなのが私には解るのだ。だから、それでいい。




