ずいぶん乱暴だ
同居人の友人がスイカを持ってきてくれたので、同居人の香とご友人……南雲さんと私と、三人で食べている。スイカは甘くておいしい。
ふと顔を上げると、香はちまちまと種をスプーンで掘り返している。そしてその隣で南雲さんは豪快にスイカにかぶりついていた。
「……種は?」
南雲さんの皿に種がない。しかし彼はもしゃもしゃとかぶりついている。これは……?
「ねえ南雲くん。食べ方が乱暴で景が引いてるよ」
「えっ」
香の指摘に南雲さんが目を丸くする。
「あの、種は?」
「……食べちゃってました。気になります?」
「いえ、どうしたのかと驚いただけなので……」
それを引くと言うのかも知れないけれど。南雲さんは困った顔でスイカを見ている。しかし彼のスイカはもう半分以上食べられていて、種は残っていない。
「気にせず食べていただいて大丈夫ですので」
「はい。すみません、雑なもので」
そして再び南雲さんはスイカにかぶりつく。先程より大人しく見えるのは気のせいだろうか。香は香で、ようやく種を取り終えたらしく、もしゃもしゃと食べ始めた。
「男の人がスイカ食べるときってこんな感じじゃない?」
もぐもぐしながら香が言う。
「うーん。気にしたことなかったなあ」
「良かったね南雲さん。景が初めて気にした男だって」
「言い方!」
南雲さんがまたも困った顔で突っ込む。でも言われてみれば元彼のスイカの食べ方とか気にしたことない。というか一緒にスイカ食べたっけ?
「景?」
「あ、ごめん。ぼーっとしてた」
「まあ食べなよ。おいしいよ」
「持ってきたの俺だっての」
そんなこんなでダラダラ過ごす夏の午後が嫌いではない。いつまでも続くものではないとわかっているけれど、それでももう少し続けたいと思うほどには心地よい。
「スイカ、おいしいねえ」
「持ってきた甲斐があります」
「お夕飯、おいしいもの作ります」
「楽しみにしてます」
そんな会話を香が穏やかな顔で聞いていた。




