光化学スモッグに気をつけろ
「おとーさーん。光化学スモッグって、なに?」
「え、知らないの?」
「社会の教科書に書いてあるんだけど、良くわからない」
中学生の娘が久しぶりに話しかけてきたと思ったら、突然のジェネレーション・ギャップである。そういえば最近聞かないもんなあ。光化学スモッグってなんだっけ?
「何だっけナー。昔……俺が小学生くらいのころは、よく『光化学スモッグ注意報』って出てたんだけど」
「注意報? 大雨とか雷みたいな?」
「そうそう。光化学スモッグが発生したら、外遊びは禁止になって家や校舎に入りましょうって自治体のスピーカーからアナウンスが流れてな」
確か吸うと気持ち悪くなるとか、気分が悪くなるとか……そんな……だったような……?
「ふうん。公害?」
「どうだろう。でも、そうなのかな。……すまん、詳しくは解らないから調べて良いか?」
「お願いします」
手にしていたスマホで検索する。
「えっと……? 排気ガスが紫外線を受けてと科学反応を起こし、オゾンが発生する。で、視界が悪くなるって書いてあるな」
「オゾン?」
「O3……って中学生じゃわかんねえか。有毒な気体だな。それが発生して目とか喉がやられちまうんだと」
40年近く前はしょっちゅう注意報が出ていたはずだけど、それがなんであるかなんて知らなかった。まさか中年になって判明するとはなあ。
なんて感慨にふけっていると、娘はまだ首をかしげている。
「どうした」
「今は出てないの? 車とか排気ガス出してるよね」
「それも書いてあるぞ。大気汚染防止法ってのが制定されたって。だから車にしろ工場なんかにしろ、排気ガスの内容がより無毒というか、危険なものを減らして排出しないといけなくなってんだな」
そう説明すると娘は口をタコのように突き出している。なんだそれ。つまんだら怒られるだろうか。
「えー……なんかお父さん大人みたい」
「大人だよ!」
「そうなんだけどーーー。普段だらっとしてるのに、そういうのちゃんと説明できるの……解せぬ……」
えーなんだそれ。しかしつまり見直したってことか? 娘は一応礼らしきものを述べて去って行った。これでお父さんの名誉が保たれていると良いなあ。




