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またカラだ、この枝豆

「入ってない」

 向かいの席で枝豆を食べていた友人の景が、しょんぼりした顔で皮をカラ入れに捨てた。それから違う枝豆を取って、中身を出して食べて、皮を捨てる。

 それらの一連の作業をしばらく見ていて、私は気付いてしまった。

「ねえ、景さ」

「うん?」

「枝豆の皮、たまにカラ入れじゃなくて、元のお皿に放り込んでるよ」

「なんですって」

 景は衝撃そのもの、みたいな顔をした。でも残念ながら事実だ。

 テレビを見ながら枝豆を取って、食べて、皮を捨てるけど、手元が狂ってお皿へ……ということが、しょっちゅうじゃないけど、たまにある。だから時々、空っぽの皮を拾ってしまうのだ。

「うーん、しょっく。私、そんなに抜けてたかなあ」

「疲れてるんじゃない」

「そうかも」

 かも、というか、正にそうだと思う。最近の景は仕事が忙しくて、あまり家にいない。私が頑張ってごはんを作る……事は出来ないので、買ってくることが増えている。本当は景のごはんの方が断然おいしいけど、仕事が大変な友人にワガママは言えないのだ。

「昼寝しなよ。ごはんは買ってきておくから」

「えー、せっかく休みなのに」

「だからこそ、でしょうが」

 そしてぶーぶー文句を言う友人を、彼女の部屋に放り込んだ。ベッドに倒れ込む音が聞こえたから、たぶんちゃんと寝たのだろう。


 リビングに戻って枝豆の続きを食べる。ついでに皮を皿から取り除く。結構入っていた。これを食べたら夕ごはんを買いに行こう。ついでにデザートも。景が喜びそうなデザートはなんだろうか。

「……電話? はい、もしもし。あ、南雲くん。いいところに」

 私の友人であり、景の友達以上、恋人未満の南雲くんから電話が来た。良いタイミングだ。デザート、買ってきてもらおう。ついでに家でごはんも作ってもらおう。起きてきた景に、ちょっとしたサプライズだ。喜ぶかは、わからないけど。

「ねえねえ、お見舞い来てよ」

 そう言えば、きっと南雲くんは飛んでくる。

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