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長袖の日

「寒いなあ」

 朝起きたら寒かった。昨晩はそこそこ暑かったから半袖で寝たけど、まだ早かっただろうか。でももう衣替え終わってるし。

 とりあえず制服は半袖を着て、上からカーディガンを羽織って家を出る。空は曇っていて、今にも雨が降りそうだ。そういえば昨晩母さんが

『明日は傘を忘れないように』

 って言ってたなあ。なんでそれを学校目前で思い出すんだろう。置き傘、あったかな。そんなことを考えながら昇降口で上履きに履き替えて廊下に上がると、横から出てきた人にぶつかってしまった。


「うわ、すみません」

「いや、こちらこそすまない。……藤丸か」

「あ、渡辺先輩」

  ぶつかった相手は袴姿の渡辺先輩だった。剣道部の朝練を終えたところなのだろう。

「おはようございます、渡辺先輩」

「おはよう、藤丸。なにか考え事でもしていたのか?」

「あー、えっと……」

 先輩と並んで歩きながら傘を忘れたことを話す。すると彼は「ふむ」と相づちを打つ。

「帰りに何か用事はあるか?」

「いえ、ないです」

「じゃあ、もし帰りに雨が降っていたら俺の傘で良ければ入れてやろう。今日の放課後はそんなに遅くならないはずだ。図書室で待っていると良い」

「いいんですか! ありがとうございます!」

 すごい、めっちゃいい人だ。良かったなあ。これで濡れなくて済む。

「そんなに嬉しいか」

「はい! めっちゃ嬉しいです!」

 そう答えると渡辺先輩は何故か少し気まずそうな顔をした。なにかまずいことでも言ってしまっただろうか。

「渡辺先輩?」

「いや、なんでもない。では放課後に」


 先輩はいつもの無表情に戻って、踵を返して行ってしまった。なんだろう? 気になるけど、私も自分の教室に急がなくては。

 教室に着くとクラスメイトに渡辺先輩と何を話していたのか聞かれる。教えずにいたらからかわれた。そんなんじゃないけど……先輩はどうなのかなあ。ぶつかったときの先輩の温度を思い出して、少し熱くなった。

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