求む、三連休
「うへえ」
なんとか今日の仕事を終えて荷物を片付ける。隣の席では同僚が死んだ魚のような顔でキーボードを叩いている。
「おつかれ、お先です」
「え、帰るの。うらやま」
「明日も早いからな」
「そっかー、おつかれー」
疲れ果てた体を引きずって社屋を出る。外は真っ暗で、でも暖かい風が吹いていて気持ちが良い。明日は土曜日だけど、客先に行かないといけないし、次の日曜はたぶん寝ているだけで終わるだろう。
「連休、ほしい」
せめて土日休みたい。出来れば三連休。いやいっそのこと一週間休みたい。次、まとまってそれだけ休みが取れるのはいつになるだろうか。夏を過ぎてからかな。お盆は家族持ちに休みを譲るので、特に用事のない自分が休めるのは秋になってからだろう。
「……あの人はどうするのかな」
俺には今彼女がいない。でも気になる人がいる。最近忙しすぎて会うことはおろか、連絡すらまともに取ってないけど、彼女は夏休みはどうするのだろうか。どこかに遊びにいったりとか? 海とか山とか行くのかなあ。行くなら一緒に行きたい。
「……」
こんな時間だけど、思わずメッセージを送ってしまった。そして返事は案外すぐに来た。
『例年夏休みは秋に取っているので、今年もその予定です』
マジか。じゃあどこかで一回くらい会えるだろうか。なんて誘えば良いんだ。最後に女性に誘いをかけたのが遙か昔の事なので、もはや何を言えば良いかわからない。
「えっと、こちらも夏休みは秋の予定なので、良ければどこか一緒に行きませんか。……こうかなあ。でももう少し具体性があった方がいいのか?」
それからさらにしばらく悩んで、バスツアーとかどうかと誘ってみる。
『いいですね。良さそうなのがないか、見てみます。そちらも気になるものがあれば教えてください』
これは、大成功なのでは? 飛び上がりたいのをこらえて返事をし、すぐにツアー会社のサイトを開いた。何が良いかなあ。フルーツ狩り? ハイキング? 食べ放題? 今時のツアーって本当にいろいろある。彼女とそれらに参加できる。うん、明日も乗り切れそうな気がしてきた。




