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水もしたたるいい女って誰

「あー寒い」

「大丈夫? はい、タオル」

 震えながら返ってきた許嫁である彼女にタオルを渡す。予報では終日曇りのはずだったのに、夕方になっていきなり降ってきて、しかも結構な豪雨だった。駅から家に向かう途中だった彼女はびしょ濡れの濡れ鼠となり、帰ってきた。

「寒い」

「風呂沸いてるから入ってきな」

「ありあと」

 時期的にそんなに寒くはないものの、薄着だったしびしょ濡れだしで彼女はブルブル震えながら浴室へ消えていった。


 30分ほど経ってから、彼女は元気いっぱいになってリビングにやってきた。

「おかげさまで! 回復しました!!」

「それは何より」

 そう言いながら、温めたココアを提供する。

「ありがとう! それより、帰ってきたときの私は水がしたたってたね?」

「したたるって言うか、濡れそぼってたって言うか」

「水もしたたるいい女! だった?」

「濡れ鼠だったよ」

「そんなあ」

 彼女はやや残念そうな顔をする。だってなあ。顔真っ青だったし、唇も紫になってたし。

「今の方がいい女だと思うよ」

 そう言うと彼女の顔がぱっと明るくなる。もちろんお世辞なんだけど、半分は本音だ。だって絶対に今の明るくてほんのりほっぺたが赤く、唇だってちゃんとピンクで、なにより震えることなく元気にニコニコしている方がいいだろ。

「上手いこと言うなあ。そういうとこ良いと思うよお」

「ありがとう。褒めても何も出ないよ」

「あ」

「うん?」

「夕ごはんの食材買ってくるの忘れた」

 やっちゃったー! と彼女は騒いでいるけど、どうせ覚えていたって濡れ鼠でスーパーなんか寄ったら風邪を引いてしまう。だから別にかまわない。

「郵便受けにこれ、入ってたよ」

「ピザだ。あ、割引券」

「そういうことだから夕ごはんはピザにしよう」

「賛成!」

 僕のかわいい許嫁は、真剣にピザのチラシとにらめっこを始めた。うん、やっぱりしたたっていない方が良いと思う。

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