表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/460

ありがとう、クールビズ

「ふいー、あっちぃ」

 客先での打ち合わせを終えて自社に戻る。ネクタイを外してジャケットを椅子の背に放る。自社内であればクールビズということで大分楽な格好が出来るからありがたい。

「あ、先輩お帰りなさい」

「おう、ただいま」

「……ネクタイ、外してしまったんですね。残念です」

 同じ部署の後輩女子はネクタイ好きである。きりっと締まっているのがいいらしい。しかしこいつのきっつい性格を考えるといつか引っ張られそうで怖い。怖いから言わないけど。

「暑いんだよ、あれ。ネクタイしないからわからないだろうけど」

「高校のときはしてましたよ。ブレザーでしたから。私はネクタイ過激派なので季節を問わず、着用してました」

「夏は暑いだろ」

「暑いです。でも、そういう問題じゃないんですよ」

 どういう問題なんだよ。その後もネクタイをしてくれと言う後輩を無視して席に着き、パソコンを開く。

「あ、それいいですね」

「は?」

「腕まくりですよ。好きな女子、多いと思いますよ」

 ……よくわからんな。後輩曰く、長袖のシャツの袖をまくっているのが良いそうだ。

「こう、男性の腕の太い感じとか、血管が浮いてるのとかに男らしさを感じるんですね」

「他にも腕まくってるやついるだろ。あいつとか」

 そう言って少し離れた席の後輩男子を指さすと、後輩女子は微妙な顔をした。

「あれは、ちょっと違いますね」

「なにが」

「まくりすぎです」

 曰く、肘下くらいまでが良いのであって、肩近くまでまくってしまうのは“なんか違う”のだそうだ。女子の好み、細けえなあ……。

「いやだって、あそこまでまくるなら半袖で良いじゃないですか」

「まあ、そうだな」

「でもあの人は『半袖はおじさん臭いから嫌』だそうです」

「へえ」

 そろそろ半袖のシャツを出そうと思ってるんだけどな。いいじゃないか、半袖。楽ちんだし。肩周りが動かしやすいし……。

「まあ、なんにせよ、好みの問題なんですよ。私はネクタイと肘までの袖まくりを押しているのです」

「そうか」

 よくわからないが、こいつの好みに対する細かさはわかった。頑張って合致する男を捜してほしい。

「そういうわけで」

「おう」

「ネクタイしてください」

「ネクタイしてるやつ探せよ」

「いないんですよ!!!!!」

 知らねえよ!!!! 仕事しろよ!!!!! 横でわめく後輩女子がうるさくて、俺がネクタイをしてしまうまであと1時間ほどだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ