さよなら、太陽
「と、いうことをエロワに言われたんだけど」
「エロワ王子がそんなことを?」
夜、夕ごはんを食べながらアデールにエロワとの会話を伝えた。地方に派遣する教師に地方レベルを教えるついでに勉強を教われと言われた、という話である。
「うーん、まあ悪くはなさそうだけど」
「え、悪くないの」
「うん。本職の教員の人とかはまあ、いいのだけど王子も言っていたと思うけど、新たに採用して育成していく人たちもいるのよね。そういう人たちの……言い方は悪いけど練習になってもらうというのは有りよ」
「なるほど」
「でもこの話の担当は私ではないのよ。教育やら人員育成やらはガスパルの担当だから、明日話をしてみましょうか」
マジか。本当に話が進んじゃうんだ。なんつーか、展開が早くてびっくりしちゃうなあ。と、同時に、環境の大切さに気づかされる。あたし、ヴェロニクは今かなり恵まれた環境にいるぞ、と。もちろん父さんと暮らしていた田舎だって大好きだった。でも学習環境は良くなかった。地方と都会。その格差に愕然とする。そして、それを是正しようとしている人がいる。その助けになれるのはいいことではないか。あたしみたいな、学のない田舎者を減らすために、あたしにできることがあるのなら。
「うん。お願い。明日はルーのとこが終わったら、すぐに塔に行くよ」
「じゃあ朝の内に話をしておくわね」
「ありがとう、アデール」
「どういたしまして」
そしてごはんの続きを食べながら話を聞く。そもそもは内務省から言い出した話であること。そこから人員の育成や教育ということなら技術省も一緒にやっていくことになったこと。つまり発端が内務省なら次官であるルーがこの話を知らないわけがない。明日ルーにも聞いてみよう。
「ごめんなさいね、あなたの学習について疎かにしていたわ」
「謝らないで。あたしもそのあたりの話は避けてたし。やっぱオベンキョウって言われちゃうと面倒だし」
「ふふ、あなたなら大丈夫。きっとおもしろいわ」
「そうかな」
「ええ、母である私が保証します」
そう言って微笑むアデールは、木漏れ日の中で笑ってた母さんと同じ顔だった。




