風邪の予感
外からは雨が降る音がしている。木製の階段をギシギシと鳴らしながらリビングに向かう。
「おっはー圭祐」
響斗がいつも通り家にいる。
「今日の天気は夜まで雨でしょう。。降水確率は90%。風向きは...」
あー、彼女には悪いが今日の鬼ごっこは無理そうだな。レンジで解凍されたミートボールを食いながら思った。
やべっ、トイレトイレ〜
トイレまでの長い道のりを早足で進む。我慢してるので足がおかしくなってきた。
トタタタタッ、ボフッ
「圭祐く〜ん、おはよ〜」
「ごめん悪い、トイレ行ってからで良いか?」
「あっ、ごめん」
彼女は笑いながらついてきている。何故ついてくる。待ってれば良いものを。
ジャーッ
トイレを済ませて手を洗っていると後ろから声をかけられた。
「外にいるのって彼女か?可愛いなぁ〜。お前にも出来るんだな」
「いや彼女じゃないけど」
嘘つけ〜と言いながらそいつはトイレを出て行った。俺も後に続く。
左を向くと彼女がニコニコしながら立っていた。
「待ってたよ〜」「今日楽しみだね〜、鬼ごっこ」
「今日一日中雨みたいなんだけど」
彼女は沈黙した。
「やる」
えっ?
「だから今日は...」
「楽しみだなぁ〜鬼ごっこ」
聞く気ないな。
「じゃ、放課後〜」
彼女は浮かれながら走っていった。
風邪ひかないといいな。響斗もごめんな。
心の中で謝罪をして俺も教室に向かう。
そういえばそろそろクラス替えだな。この学校は普通では珍しい3年生のクラス替えがある。しかも新学期からではない。何故こんな面倒な事をするのか俺は理解できない。3年生でクラス替えなんて無意味だと先生まで言うほどだ。けど伝統なので仕方ないらしい。