実験は盛大に
ー青き竜ー
頭には鹿を思わせる角が二本空に向かい伸びている。首は長く表皮は青い鋼のような鱗で覆われ、太陽の光を受け鈍く輝く。羽は青黒く、金の鬣が風を受けて揺らめく。額に懐くは『竜玉』。それは魔力の豊富に詰まった宝玉ーー第二の心臓、命の源だ。
何百年か前にはシスティナ国東部の山岳地帯、ライザタニアとの国境付近の南北に連なる大峡谷に住んでいた『青き竜』だが、南部から餌を求めてやって来た『赤き竜』と生存競争の末に住処を追われ、北部の大山へその居を移した。その青き竜が数匹、どういう訳か赤き竜の住まう大峡谷へと飛来し、再び縄張り争いをしている、という報告が国に寄せられた。
竜たちの争いに恐怖の日々を送っていた周辺地域に住まう民たち。遂には村や町を捨て、他に移住する決意する者も後を絶たなくなった。
町の護衛団や雇われの傭兵たちが竜たち追い返そうにも、通常の状態より数段と凶暴さが増しているようで、未だに何の手立ても立てられていなかった。争いが長引けば、飢えた竜たちが内陸へと餌を求めてやってくる可能性とて浮上していた。
そこでシスティナ国の官僚たちは協議の結果、討伐隊を送ることを決定した。
当初ば宮廷魔導士団にその命がなされる予定だったが、先の騒動で大半が投獄され、未だその運営自体がままならない状態だった為、これを断念。急遽、第1から第13まである騎士団の中から第4騎士団の派遣が決定された。
第4騎士団は屈強な肉体と不屈の精神を持つ魔導士対策部隊。魔術での攻撃にも対処できる力を持つ彼らが選ばれたのには、国の本気が伺えるだろう。
だが、そんな彼らをしても強烈な吐息を吐く凶暴な竜たちを前に苦戦を強いられていた。空を駆ける竜に対して地を這うことしか出来ぬ人間には、限られた戦法しか取れない事が苦戦の理由の一つであった。
「我々が青き竜を引きつけます!その隙をつき、魔女殿には竜の脇腹に炎の魔術を叩きつけて頂きたいッ!」
第4騎士団団長コーネリアの力強い言葉にアーリアはコクリと頷くしかなかった。
今、アーリアは騎士団の一員と共に岩山の脇にある洞窟の中に身を隠しながら、青き竜討伐計画を立てていた。
アーリアは師匠の『青き竜を狩ってその竜玉貰っといで』の一言で今日、青き竜討伐隊に加えられてしまっていた。本来ならば師匠宛に国から寄せられた討伐補助依頼なのだが、師匠は弟子にその依頼書を譲渡した。そして、師匠によって自身の身代わりとしてこの地に問答無用で送り込まれてしまったのだ。
アーリアはあの夜を思い出すとキリキリと痛むお腹の真ん中を摩った。アーリアはあの師匠に対し素直に『行かせて頂きます』と言えず、無謀にも少しゴネてしまったのだ。すると師匠より『タダ飯食いが何か文句でもあるの?』と言い返されてしまい、ぐうの音も出なかったのだ。仰る通り。『働かざる者食うべからず』とは良く言ったものだ。
ーああ、帰りたいー
そのようにして師匠からの命令を嫌々ながら承諾したアーリアだったが、ここに来て以来、体育会系の皆様の雰囲気に完全に呑まれていた。『むさ苦しい』、『暑苦しい』と兄弟子から聞かされていたが、正にその通りかもしれない。アーリアは自身の周りを囲む騎士たちの気配に鳥肌を立てた。
大人が悠に二十人は入れる洞窟には筋肉隆々の騎士たちで溢れている。討伐の命が下ってから既に5日と聞くが、彼らに何ら精神的疲労感は見えなかった。
大峡谷地帯には水晶を始め鉱石が取れる洞窟が点在している。その一つが討伐隊の本拠地となっていたのだが、元よりここには生活できるだけの環境は整っていない。運び込まれているのはせいぜい食料と水、簡単な調理器具のみだ。そのような場所で竜と対峙しながら生活するなど、肉体的疲労は元より精神的疲労も蓄積されそうに思うのだが……騎士たちはアーリアの見る限り元気いっぱいだ。
「『赤き竜』は別働隊が引きつけております。この隙に『青き竜』を討伐できれば良いのですが……」
「なぁに、取り敢えずやってみるまでよ!」
「魔女殿もおられる!空飛ぶ蜥蜴など、恐るるに足らず!」
「そうだ!魔女殿に我ら第4騎士団の勇ましさをお見せするのだ!」
「「「おおーー‼︎」」」
大きな歓声も上がり、騎士たちの気合いは十分だ。しかし、アーリアとその背後に黙って突っ立っているリュゼだけが、その気合いの波に取り残されていた。
「……。あの〜すみません。『青き竜』を討伐した後に竜の額に付いている宝玉を頂きたいのですが、構いませんか?」
アーリアがおずおずと手を挙げて質問すると、コーネリア団長が顎に手を当て、少しの間、考えてから答えてくれた。
「我々は『青き竜を討伐せよ』との命を受けているのみ。その後のことは特に聞いておりませんから、お好きになさってくださって結構かと思われます」
「ありがとうございます!」
コーネリア団長はそれだけ答えると、他の騎士たちと共に討伐の準備に取り掛かっていった。
アーリアはほくほくした顔で背後を振り返るとリュゼの袖を引っ張った。
「リュゼは予定通りアレを掘り出して来てね!」
「オッケー!子猫ちゃんは討伐頑張って!ーーあ、でも、くれぐれも無理しちゃダメだよ?危ないと思ったらすぐ逃げるコト!」
「分かった。それと、竜討伐が終わったら『竜玉』を採りたいからリュゼにも手伝ってもらえるかな?」
「勿論だよ。お師匠さんからのお願いだからね〜〜」
アーリアとリュゼはお互いを見つめ合うと固く頷き合う。今、二人の気持ちは同じだ。長い物に巻かれるのは世の常なのだ。怖いものは怖い。敵に回したくない人物に逆らってはいけない。
「ーーアーリア殿、こちらへ!」
団長に呼ばれたアーリアはリュゼに手を振ると、お互いの役目を果たしに向かうのだった。
※※※※※※※※※※
天空を舞う青き翼。大きな影が地上に地図を描く。風が逆巻いて空へと舞い上がる。
騎士たちは岩山に登り、それぞれの配置から青き竜に向かい錘のついた鎖を投げつけた。その鎖の内、数本が竜の脚や尾に絡みつく。
「今です、アーリア殿!」
「《爆ぜる炎》」
ードォォオンー
アーリアは予め編んでいた術を解き放った。アーリアの眼前に展開された魔術方陣から炎が巻き上がり、それが青き竜の身体に触れると爆発した。
「「おおおおお〜〜」」
騎士たちの歓声が起こる。爆音は大袈裟な程挙がるが威力の程度はそこそこな術なので、アーリアとしてはこのように反応される方が恥ずかしかった。
アーリアは魔術の段階を一つずつ上げて『魔術の実験』として様々な術を試すつもりでいたのだ。実験の対象は勿論『青き竜』である。
ーギィァァァアアー
一度は羽ばたきを止め地上へ落下し始めた青き竜の一匹が、空中でバタバタともがき始めた。そしてその口から炎を吐き出した。
「ッーー⁉︎ うわぁ!」
「まだ死んでないぞ!」
騎士たちが鎖分銅をの端を放り出して、竜への足止めから回避に移った。
アーリアは他の騎士たちよりも安全な配置を割り振られていた。魔導士は技術職。騎士のような機動性はない。体力より魔力勝負。だからこその措置だろう。
そして、そこから状況に合わせて魔術を打てということだろうとアーリアは理解していた。
「《銀の鎖》」
アーリアの解き放った魔術の鎖は『青き竜』の身体を縛り、空中にその存在を留めた。その巨体の奥からは仲間を助ける為なのか、それとも攻撃する人間が気にくわないのか、若しくは餌として見られたのか、その理由は分からないが、青き竜の群れが姿を見せた。
「すみません!そこの騎士様たち、危ないのでこちら側に避難して頂けませんか〜〜⁉︎ 」
アーリアは珍しく大声を出して、己の対角線上にいる騎士たちに勝手な指示を出した。コーネリア団長はそれに否を唱える事はせず、騎士たちの誘導に一役買ってくれた。
アーリアは騎士たちが退避したのを見計らい『魔術の実験』を開始した。
「ー炎の華は紅く燃ゆるー《紅蓮》」
魔術方陣より辺りを覆うほどの炎が生まれ、青き竜の真正面から襲いかかる。炎は生き物のように畝り、その巨体を包み込んだ。すると、唸る咆哮を搔き消す爆音が岩と砂の大地を揺るがした。耳を劈く悲鳴が上がり、足下に広がる谷底に向かって大きな塊がボトリボトリと落下していく。
「ー天の御柱に寄添いし紅き華ー《雷炎》」
ピカッと上空に生じた雷が火花を発しながら、青き竜の一体の脳天から突き刺さる。竜は悲鳴も上げられぬまま地面とのキスを余儀なくされた。
「あれ……?火が弱点でしたっけ?」
アーリアが振り向いた先にはアーリアを守る役割の騎士二人と、避難してきた騎士数名の姿があった。その騎士たちは妙な顔つきでアーリアを見てくる。
「ハイ。そのように聞いております!」
騎士の内の一人が直立姿勢のまま、アーリアの問いに答えてくれた。アーリアと十歳近く年上の騎士だ。
アーリアは体育会系のご職業の皆さんの礼儀正しさにホトホト感心した。ここにいる騎士たちは明らかにアーリアより年上ばかりなのに、年下で、しかも魔女であるアーリアに対してもその礼儀を崩さない。
「ありがとうございます。火、炎、焔、焱……」
アーリアは頭の中に仕舞ってある魔術の呪文から、火属性のものを選びだす。呪文の詠唱は必要ないと分かった今も、言葉が話せてしまうとついつい声に頼り呪文を唱えてしまうのだ。『声』が封じられていた時の反動だろうか。声を出せるのが嬉しいという気持ちもあった。
だが、『今はその方が安全かもしれない』ともアーリアは考えた。自分一人なら良いが周囲には騎士たちもいる。無言で魔術を放って巻き込まれでもしたら大変だ。
青き竜は残すところあと二匹。獰猛な牙を光らせ人間たちをーーいや、一人の少女を威嚇してくる。先ほどからの攻撃で完全に少女を敵と認識したのだろう。しかし、魔術の使える今のアーリアには何の恐れもなかった。
アーリアは青き竜までの距離を目測すると、白い腕を振り上げた。脳内に術の構成とイメージはできている。あとは魔力を込めて術を発動させるのみーー
「ー詠う飛燕 大輪の牡丹ー《大炎舞》」
重なる合う二つの大きな魔術方陣から赤き咲き乱れる焱の華が咲き乱れ、その花弁が舞い散ると上空の空気と共に青き竜の身体を焼いた。爆音と共に捲き上る風が熱を帯びる。二匹の青き竜はその翼をもがれ、けたたましい咆哮を上げながら重なるように落下していく。これで対象が沈黙しないならば、あと数発、魔術を打ち込めばいいだろう。そう思いながら油断なく魔力を巡らせていたアーリアは、熱のこもる大気に思わず顔を背けた。結界の仕込んだマントを着ているので肌が焼ける事はない。多少暑く感じるだけだ。だが、騎士たちはそうはいくまい。そう思い、アーリアは無言で結界魔術を自分の周囲に張り巡らせたのだった。
※※※
アーリアが青き竜討伐を終えた時、『赤き竜がこの地に戻って来るまでの間、一先ずの安心を確保できたのではないか……』ナドと呑気な事を考えていると、芳ばしい香と共に眼下にある竜が未だ魔術の炎に炙られ続けている事に気がついた。そして、「アッ!」と声を上げると、慌てて消火の為の呪文を唱えた。巨体と共に『竜玉』も炎に炙られて回収できなくなる可能性が脳内に過ぎったのだ。
「ー天の頂 腕の泉ー《翠泉》」
燃え上がる『青き竜』の真上から滝のような水が大量に降り注ぐ。ジュッと蒸気が立ち上り、周囲は蒸し風呂のような熱気に包まれる。だが、それもすぐに収まり、完全に鎮火したその後には青き竜の屍が積み重なる、大層グロテスクな光景が残るのみだった。
消火活動を終了後、騎士たちはそのあまりの惨状に唖然としていた。それを気にも留めずアーリアは平然とした顔で「どうやってあの竜から『竜玉』を採ろうか?」とナドとぶつぶつ考えを廻らせていると、その肩をポンっと背後から叩かれた。
「これはハデにやったね〜〜?」
「リュゼ!どう?うまく採れた?」
「バッチリ!これがあの『月の涙』ねぇ?」
リュゼは麻袋の中から透明な水晶の原石を一つ取り出して、陽に透かして中をのぞいた。
「魔道具にもなるし、そのまま売っても結構な高値になるんだよ」
「そりゃあいい商売になるじゃん!」
「でしょ?」
アーリアが竜討伐をしている間、リュゼには水晶採掘をお願いしていたのだ。どうせ大峡谷に来たのだから、副業として採掘して帰ってもバチは当たらないだろう。師匠に頼まれた『竜玉』は、苦労して採って帰ってもアーリアの物にならないのだ。国から報奨金は出るそうだがそれも雀の涙ほどだという。殆どタダ働きーー地域清掃ボランティア活動のようなもの。
ー何が『狩るついでに竜玉貰っといで』、よ⁉︎ 全部お師様が没収するクセに!ー
そう思うと遣る瀬無く、アーリアは竜討伐を『魔術の実験』に充てる事にしたのだ。普段使うことの出来ない大規模な魔術による威力実験に竜の巨体を用いる事にしたのは、なかなか良いアイデアではないだろうか。一石三鳥というやつである。
「で、どーするのさ?アレを」
「うーん……やっぱり降りて行ってノミと杭と金槌で採るしかないよね?」
グロテスクな状態に成り果てた青き竜を見下ろしながらアーリアは深々と溜息を吐いた。自分で引き起こした惨状であるにも関わらず、ううっと息を詰まらせる。
「自分でしたくせに、なーに後悔してんのさ?」
「だ、だ、だって!あれくらいしないと竜のなんて殺せないでしょ?」
「まぁ、そーだろうけどねぇ〜……」
殺さなくて済むならその方が有り難かったが、飢えて怒り狂った竜たちが縄張り争いの末に領民を襲う等という事態は、絶対に避けねばならなかった。それに加え、騎士たちの助力があるとはいえ、チマチマやっていては負傷者は愚か死者すらも出てしまうかもしれない。
アーリアは自分の判断が正しかったと確信していたので、竜討伐についての後悔はそれ程なかった。
「ほーら行くよ?竜玉、採って来なきゃ!」
「う……ハイ」
リュゼに手を差し伸べられ、アーリアはその手に自分の手を重ねた。
「子猫ちゃんさ、一人でこの崖降りれる?」
「《浮遊》と《重力軽減》を使うから大丈……」
「はーい、失礼しますね〜」
「いや、その……自分で降りれるから……」
アーリアはリュゼは抱え上げられて、慌てて声を上げた。だが、リュゼはその声を無視し、足元を蹴って宙に身を躍らせた。すると、程なくして二人は緩やかな浮遊感に包まれた。
「この間《浮遊》の練習するからって二階から飛び降りて右足骨折したの、もう忘れたの?」
「あれはっ……」
「ほんっと子猫ちゃんって運動神経ないよね〜〜」
「うぅっ……」
「大丈夫大丈夫!人には誰しも得手不得手があるから」
「ううぅっ……笑いながら言われても慰められた気がしないんだけど……」
《浮遊》と《重力軽減》は、術をかけるタイミングと運動神経がモノを言う。実にそのタイミングが難しい。運動神経が死んでいるアーリアにとっては至難の業だったのだ。
アーリアはリュゼの首に抱きつきながら、泣き言を言っている間に渓谷の底へと着いたのだった。
※※※
アーリアとリュゼの二人が何とか『竜玉』を回収し終えた時、渓谷の底には何人かの騎士たちの姿があった。騎士たちは竜の『角』を回収する為に降りてきていたのだ。角は討伐した事を表す証拠だ。持ち帰り王宮に提出しなければならない証拠の品であった。
「この度の竜討伐にご協力頂き、ありがとうございました!いや〜このような可憐なお嬢さんが、あのような魔術を使われるとは驚きでした!」
騎士たちが大きな鋸で角を切り落とす作業の様子を見ていると、コーネリア団長がアーリアの側へやって来た。
「いえ、こちらこそありがとうございました。おかげで竜玉も回収できました。……私が出しゃばったせいで皆さんの連携を崩してしまったようで、申し訳なかったです」
「いやいや、構いませんよ!気力で補ってはいたものの、連日の討伐には騎士たちにも疲れが溜まっていましたからね。この数日、竜たちは凶暴さを増すばかりで、どうしようもなくなっていたのは確かなのです。貴女のご助力には感謝しか御座いませんよ」
「そう言って頂ければ幸いです。……ところでコーネリア様、竜たちが凶暴さを増したって仰いましたが、これまでなら追い払うことも可能でしたよね?」
アーリアの疑問に団長は渋い顔をさらに曇らせて、討伐された青き竜の屍を見た。
「そうなのです。これまでも度々『赤き竜』や『青き竜』によるトラブルは起きておりました。その都度、討伐よりも先ず追い払う事を優先してきたのですが、今回はそう上手くいかなかったのです」
団長は懐から竜を模した小さな笛を取り出した。アーリアはそれを一目で魔道具だと判断した。
「これは『竜笛』と言って、竜の行動を操る事のできる魔道具です。これを吹けば、竜たちは笛の音を嫌がって立ち所に退散するのですが……どういう理由か、全く効かなかったのですよ」
アーリアも似たような魔道具を持っていた。だからこそ、今回は何故、魔道具使って追い払わないのかと疑問に思っていたのだ。
「これは北の帝国エステルでも良く用いられる魔道具なのです。青き竜の多くはシスティナとエステルとを跨る大山に生息しておりますからね。エステルは精霊信仰の根強い地。竜を妖精の一種と崇め、討伐する事を厭う傾向にあります」
コーネリア団長の母親は帝国の出身だそうで、システィナへと嫁いだ後も精霊を信仰しているそうだ。その為、団長は帝国や帝国に纏わる話には詳しかった。
北の帝国エステルは精霊信仰の根強い国。精霊を神の使いとして崇めている。当然、精霊が具現化したとも言われている竜族やエルフ族なども、精霊を崇める者たちにとっては特別な存在らしい。
そのように信仰厚き者たちには、精霊に連なる妖精族『竜』を無闇に殺す事は出来ない。だからといって人間に危害を加えられてもたまらない。その為に『竜笛』のような魔道具が用いられているそうだ。
コーネリア団長の話を聞いたアーリアの中にはポツリポツリと疑問が生まれていた。
精霊信仰のある帝国から妖精の一種である青き竜がシスティナ側へと降りて来たのには、何らかの理由があるのだろうか。北の帝国エステルと我が国システィナを跨ぐ大山ーーその地で一体何が起きているのだろうかと……。
お読みくださりありがとうございます!
ブックマーク登録等、ありがとうございます!励みになります!!
アーリアは地味にできる子でした。
アーリアは冒険者じゃないので、攻撃魔術なんて普段の生活には使いません。魔宝具を造る為だけに魔術レベルを上げた模様です。師匠はそんな彼女を心配して実践経験を積ませたがっています。




