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魔宝石物語  作者: かうる
魔女と狂気の王子(下)
371/500

神殿侵入2

side:Sistina

 ※(リンク視点) 


 東都の伯爵家を後にした後、俺たちはまっすぐ王都へ向かった。

 伯爵のツテを伝って王都入りを果たすと、これまた伯爵のツテを伝って貴族相手に輸入品の売り込みに勤しんだ。

 海外製品、それも手に入り易い帝国産よりも、近くて遠いシスティナや南国ドーアの商品の方が人気が高くて、貴族のご婦人たちにはやっぱり宝石類がよく売れた。

 まぁなんて言うかさ、アレは色仕掛けの類だよな。

 異国の美形イケメンたちが手ずから選んでくれるもんだから、ご婦人たちはキャーキャー言いながらアレやコレやと競うように買ってくれるんだ。俺は商売なんてやった事はないけど、あれこそ入れ食いーーあ、違った、ボロ儲けって言うんじゃないかな?


「やっぱ、容姿カオが良いのって得だよなぁ」


 リュゼの兄ちゃんは口も達者なもんだから、ご婦人たちはすぐその気にさせられて、コロッといっちまうんだ。ナイルの兄ちゃんは無口だけど所作はサスガ騎士様!って感じだし、たまに見せる笑みに女たちはポウッとなっちまう。

 御茶菓子を摘みながら談話室サロンでの商売。甘ったるい花の香りが漂う空間での仕事。そんな感じの緩やかな集まりなのに、二人は商売しながらご婦人たちからちゃっかり国内の情報を聞き出しているんだから、スゴイとしか言い様がない。


「兄ちゃんたち、顔で食ってけるんじゃないの?」


 ついそんな事を言ったら、二人揃って微妙ビミョーな顔をした。褒めたつもりなのになんでだろう?


 基本的に女の人はみんなお喋りで、噂話には敏感なんだって。ナイルの兄ちゃん曰く『情報収集は貴族に生まれた女性の義務であり嗜み』だってさ。『貴族社会で生き残れるかは、情報収集能力の有無で決まる』とかなんとか。貴族令嬢って着飾ってお菓子を食べてるだけかと思ったけど、どうやら違うみたいだな。

 んで、兄ちゃんたちはそんな貴族のご婦人たちからの情報を集めてる訳だけど、特に王都入りしてからも情報収集に余念はなかったように思う。何せ、王都は『狂気の王子』っていうおっかね〜ウワサ満載の王子サマの根城があるんだ。しかも、その根城にはあの人が囚われている。僕たちの探し人が。


「潜入調査ぁ?」

「そ」


 それは王都へ向けて発つ二週間ほど前の話だった。

 兄ちゃんたちが滞在先にと定めた高級宿の一室に呼ばれたのは。


「俺が⁉︎ どこに⁉︎」

「神殿だよ」

「神殿⁉︎」

「そ」

「何しに……って、ソコに、いるの?」


 マヌケ顔で素っ頓狂な声を上げる俺に、リュゼの兄ちゃんは苦笑いしただけで俺の質問にハイともイイエとも言わない。だけど、兄ちゃんの表情を見ていればそれが本心からの笑みじゃないって事がわかって、俺はグッと唾と一緒に息を飲み込んだ。


「東の殿下からのご命令だ」

「『神殿へ侵入し、内部調査せよ』だってさ」


 『東の殿下からのご命令』ってコトバに、俺は会った事のないキラキラ殿下を思い浮かべた。

 ついこの間まで滞在していた伯爵家の統べる東都。そこに陣取っている王子様の片割れだ。第一王子殿下はそこで仲間を集め、王都の第二王子殿下と戦おうとなさっておいでなんだとさ。


 実の所、俺はキラキラ殿下に対してあまり良い印象がない。


 二人は正真正銘の兄弟。兄弟で国を東西に分けて争っている。目的は王座。この国の覇権をかけている。所謂内戦ってやつだ。

 兄王子は弟王子との戦いに勝つ為だけに俺たち『システィナの工作員』まで引き入れた。俺たちが敵国の工作員である事を知った上で、しかも、俺たちの目的を逆手に取って、俺たちを利用しようって言うんだ。そんな状況、面白い訳がないだろう?


 ーめちゃくちゃ性格悪りぃよな!ー


 見た目だけなら麗しの王子サマらしいけど、性格は最悪だ。俺たちはライザタニアの内乱になんて全く興味がないのに、自分が勝利を得る為に敵国の人間すら利用しようって言うんだからさ!


「リンク、初任務だ。『信者に扮して神殿へ潜入し、内部調査を行え』」

「オレの初任務……?」


 ナイルの兄ちゃんの真っ黒い目が、俺の目を真っ直ぐと覗き込んでくる。


「お前ならば適任だ。お前の身にはライザタニアの血が流れている。その顔立ちから他国民だとバレる恐れが少ない。加えてライザタニア語も堪能だ」

「う、うん……」

「お前はただの使用人ではない。我々と使命を同じくした同志。そうだな?」

「う……はい」

「宜しい。我々は明日にも東都ここを発ち、商人を偽装したまま王都入りを果たす。王都にはシュティームル伯爵麾下の貴族がいる。その屋敷を拠点に王都を調査ーー情勢把握に努める。その後、神殿内へと侵入する」


 ナイルの兄ちゃんの言葉、作戦内容を一言一句聞き流すまいと瞬きもせずに耳を傾けた。


「リンク、お前に課せられた任務は重要だ。だが、危険がない訳ではない。ーーやれるか?お前には任務から降りる権利が……」

「やれます!俺にやらせてください!」


 俺はナイルの兄ちゃんの言葉を最後まで聞かずに声を上げた。俺みたいな子どもを『一人の男』として、そして『仲間』として大事な任務を任せてくれようとする兄ちゃんたちの気持ちに応えたかった。


「俺は子どもだ。だから、侵入しても怪しまれ難いと思う!」

「そうか。ならばリンク、お前に任せよう」


 そう言って、ナイルの兄ちゃんは俺の肩にトンと手を置いた。すると、もう片方の肩に手を置いたリュゼの兄ちゃんは「リンクなら、そう言ってくれると思ったよ」と、いつもの笑みを見せてくれた。

 これは子どもだからこそ有効な。なら、これは俺に適役なんだ。それに、神殿に巧く侵入できればあの魔女ひとにまた一歩近づく事ができる。


「任せてよ!」


 俺はまだ見ぬあの魔女ひとの顔を思い浮かべながら興奮気味に鼻を鳴らした。



 ーーーーーーーーーー

※(バイゼン視点)



「いいの?彼に任せちゃっても」

「ええ」

「危険がない訳じゃないんだよ?」


 問うてきたのはこの旅の同行者。我々移民親子の雇い主ーーその同業者であり、本国では騎士の地位にある青年だ。

 青年の口調は軽いが、言葉の中身まで軽い訳ではない事を私は知っている。騎士にしては身軽な雰囲気に思える言動の裏には、繊細な顔が隠れている事も。


「ええ。それでも、これは倅の選んだ道です」

「そう?ーーまぁ、もともと僕から言える事なんて、ないんだけどね」


 我が愚息を心配しての言葉に心が温かくなる。

 たかだか平民の使用人相手にするには、彼らの言葉は温か過ぎる。そう思って、思わず苦笑が漏れた。


「あれの決めた事です。私に否を唱える権利はない」


 私が愚息を『一人の男』として認めた時から、あれの道を左右する権利は私にはない。保護者としてあった手綱はもう手元にないのだ。

 元来、この旅の同行者として選ばれた時にはもう、我々親子に自己判断の余地ーー更に言えば、自己の生命いのちを優先する選択肢はなかった。

 何より第一とすべきは『魔女の奪還』であり、その為に騎士二人の命令に従うのは絶対なのだ。例えその命令が自己の生命を左右するものであったもしても、逆らう事は許されない。我々親子に課せられた使命は、それ程に重いもの。

 にも関わらず我々親子はこの仕事を受けた。

 騎士という上位者からの命令で仕方なく受けたのではない。自ら選んでここまで来たのだ。


「我々は恩を受けました。それもとても返せるものではない大きな恩を」


 私はライザタニアからの移民。もとよりシスティナの民ではない異国身に対して、システィナという国は寛大ではなかった。

 ライザタニアの暮らしより幾分かマシだろうと、タカを括っていた私に突きつけられた現実。

 食うものも食えず泥水を啜る日々。時には残飯を荒らし、人を脅して得た金で日を繋いだ。犯罪まがいの行為をした事もある。人とはどこまで堕ちるのか、自分でも訳が分からなくなった。そんな頃だ。アイツと出会ったのは。


『アナタ、そんなに良い肉体カラダを持っているんだから、真面目に働きなさいよ!』


 ちょっと脅してやろうと声をかけた少女。

 下町の、どこにでもいそうな栗毛の少女は、赤目をキッと釣り上げてこちらを見ていた。システィナ人らしい気の強そうな少女の言い分に、「オレの事なんて何も知らねぇくせに!」と苛立ちを覚えた。


『移民?なにそれ、言い訳のつもり?』

『知ったような口をっ……』

『知らないわよ。それより答えなさいよ。私はいつまでそれを言い訳にして生きていくつもりなのって聞いたの』


 この国での移民の扱いも知らない小娘が何を偉そうに! そう怒鳴ろうとしたが、そこでハッと口を閉じたのは、自分にも自覚があったからだろう。奴隷落ちよりはマシだと母国ライザタニアを捨てておきながら、システィナが思い描いたような場所でなかったからと文句をつけ、自暴自棄になっていたのだ。『移民だから』と理由をつけて。そうして破落戸ならずものにまで身を堕とした。

 そんな私に彼女の言葉は衝撃を与えた。頬に強烈なビンタを受けた時のような衝撃を、受けた。


 その後、私は方々を回って仕事を探した。移民相手に冷たい対応を見せるシスティナ人だが、真摯に頭を下げれば真面目に相手にしてくれる者もいた。それが現在まで付き合いのある大工のおやっさんだ。「どんな仕事でも構わない」と地面に頭を擦り付けて頼み込んで、「男がそんなみっともねぇ格好すんじゃねぇ!」と叱られたのを今でも覚えている。

 そうして始めた仕事。おやっさんの口利きで始めた仕事は肉体労働ばかりで、働きの割に給料は良くなかったが、それでも、それまでの生き方よりずっと人間らしいと思えるものだった。

 その内、たまに浴びせられる暴言にも何も思わなくなり、どんなに生活が辛くても頑張れた。それはやはり彼女の存在が大きかったと思う。


『あら?随分とマシな顔になったじゃない』


 あの時の少女は顔を合わす度に声をかけてくれた。

 こんな移民の、それも決してガラの良いとは言えない私を、彼女は差別する事なく、そこらにいる普通の人間と同じように扱ってくれた。

 彼女の笑顔を正面から見る、それを糧に生きる。

 なんて事のない目標は、私の生きる全てだった。

 彼女に見限られないように、いや、認められたくてマトモな人間になったとも言える。それほどに彼女は私の特別だった。


 ーそう、彼にとっての魔女様の様にー


 興奮する愚息リンクの肩を叩き、細々とアドバイスを口にする騎士ナイル殿。そんな愚息と騎士殿をその琥珀の目で眺めるは騎士リュゼ殿。お二人はシスティナの東の国境を守る『東の塔の騎士団』に属する騎士だ。

 拐われたあるじを探し求め、敵地まで乗り込んできた彼らにとって探し人ーー『東の塔の魔女』様は特別な存在。それをこの旅で痛いほど理解させられた。

 特にリュゼ殿にとって魔女様は何者にも変え難い存在、自らの生命を投げうってでも守りたい存在なのだろう。にも関わらず、大切な魔女様を守りきれず、傷つけられ、拐われた事を、彼はずっと悔いている。自身の弱さを、判断の甘さを、ずっとーー……


『泣かないで。私は大丈夫よ……』


 己が死を目前にした彼女は、己の心配よりも私と、そして私たちの子どもの心配をした。身体を蝕む痛みよりも、残されるであろう私たちを。


『彼女は自分の事なんてちっとも顧みないんだ。こっちの心配なんて、まるで通じないんだよ?』


 彼が漏らした弱音。魔女様を『彼女』と呼ぶ彼の顔は、あの日、彼女を喪った私の顔と重なった。


『私の大好きなあなた。リンクをお願いね?』


 一生涯守ると誓った彼女。妻となった彼女を、私はひとりで死なせてしまった。けれど、たったひとりで苦しみを背負って死んだ彼女の後を追う事は、出来なかった。私には彼女の宝物を守る使命があったからだ。


 なのに私は、彼女の宝物をーーリンクを守ってやれなかった。


 およそ三年前、東の国境を襲撃し、アルカードにまで攻め込んで来たライザタニア。ライザタニア軍の攻撃により疲弊するアルカード領民の不満の矛先は、我々移民に向いた。暴動は、起こるべくして起きたのだ。

 私は幼いリンクを守り、怪我を負った。

 その怪我は何時迄も治る事なく、長らく私を苦しめた。

 治療士に頼る他ないほどの深傷。けれど金銭的余裕のない私には治療士を訪ねる事はできず放置し、結果、仕事を失った。その内食うにも困り、万策尽き、ついに闇金にまで手を出した。その浅はかな行動は幼いリンクにまで飛び火した。闇金を商う商人、その手下に命じられて、リンクはスリに手を染めたのだ。


 あの時ほど、己の行動を後悔した事はない。


 スリを覚えたての子どもが、毎度毎度スムーズな仕事ができる訳がない。これまで命があったのは、単に運が良かったとしか言いようがないのだ。

 なのに私はリンクにスリを辞めさせられなかった。私の為だと薬代を差し出すリンクの手を、払い除ける事が出来なかった。


『親父のためじゃねぇよ!』


 破落戸ごろつきに捕まってボコボコに殴られてさえそう言うリンクを、私は叱れなかった。犯罪に手を染める息子を、守ってやれなかったのだ。

 にっちもさっちも首が回らず、もう首を括るしかない所まで追い詰められてなお、私は妻の下へ向かう事は出来なかった。死んでお終いにするには、この世に未練があり過ぎた。そんな時だった。


 魔女様に会えたのは、単純にリンクの運が良かったとしか思えない。


 リンクは魔女様を良いカモだと思いスリを働いた。それをリュゼ殿に阻止された。

 本来なら、そこでリンクの命運も尽きていた。

 例えスリが軽犯罪であっても犯罪には違いなく、犯罪者は須く刑務に着くのが慣わし。スリ小僧など憲兵に突き出されて終わりだ。なのに、魔女様はそうなさらなかった。

 魔女様はそれを『気まぐれ』だと仰った。気まぐれでリンクを見逃し、気まぐれで破落戸を叩きのめし、気まぐれで私の脚を治したのだと。


『すげーんだぜ?こうパァッとしてさ、キラキラってなるんだ!』


 恐れ多くも魔女様に魔術を習い始めたリンクは、ずっと生き生きしていた。これまで付き纏っていた影は消えて、太陽のようにキラキラとした笑顔を見せるようになった。彼女に似た、あの笑顔を。

 魔女様の側にありながら魔女様の正体に気づく事のないリンクに呆れはしたが、その方がリンクの為であり、また、魔女様の為でもあると考え、私もリンクの言葉に言及する事はしなかった。

 どうも魔女様はこれまでの『塔の魔女』様とは異なるようだ。それは、アルカード領民の共通認識ではあったが、それをまざまざと見せつけられた。塔へ引き篭もる事もなく街へプラプラなど、これまでの魔女様では考えられないこと。それをやってのける技量が、この魔女様にはある。

 魔女様は私の脚を簡単に治した。もう治らないと諦めた怪我を、易々と、実験と称して。魔女様の技量を測るには、それだけで十分。しかし、それを置いても魔女様は規格外に違いない。


「うーん。きっと恩返しなんて望んでないと思うんだけどなぁ……」


 誰の事とは言わず語り始めるリュゼ殿。声の方へ視線を向ければ、リュゼ殿は頬を掻きつつリンクの様子を見ている。どこか困ったような表情だ。


「言い方が悪いけど、リンクを助けたのだってたまたまだし、バイゼンさんの怪我を治したのだって気まぐれだよ。心置きなくリンクを構うのに父親の怪我が邪魔だっただけだって」

「それはいくらなんでも言い過ぎでは……」

「みんなさ、彼女の言動を良い様に捉え過ぎてるんだよ。女神みたいに崇めちゃってさ。正直、迷惑だと思うよ〜」

「それは……」


 困惑しつつもリュゼ殿の言葉を否定できない。何故なら、リュゼ殿は私などよりずっと魔女様の性格を熟知なさっている。それが分かるからこそ、言い返す言葉を持たないのだ。


「気負い過ぎだってバイゼンさん。それにリンクも。君たちが怪我でも負ったら、彼女は自分を許せない。それじゃあ本末転倒でしょ?」


 魔女様の心情を慮るリュゼ殿の言葉は温かく、緊張でガチガチに固まった心を溶かす。


「あーあ、それよりも僕たちがココにいる事を知ったら、彼女、どう思うだろう?素直に喜んで……はナイだろうなぁ」


 アハハと乾いた笑いを見せる彼の、その横顔は、あの日彼女に焦がれた私の横顔とまるで同じに見えて、私は、私はーー……


「ええ、そうですね。あの魔女様ならばきっと、素直に喜んではくださりますまい」


 そう軽口を叩けば、彼はこの時初めてこちらを向いてふわりと笑った。それはこの国に来て初めて見た、彼の心からの笑顔だった。



 ※※※


 

 その後、愚息リンクは口が酸っぱくなるほど、騎士たちから注意事項を刷り込まれていた。


「リンク、ヤバイと思ったらすぐに引き返せ」

「深追いはするな。これより先は敵地なのだから」

「大丈夫だよ。オレ、これでも逃げ足には自信があるんだ」


 軽口を叩く愚息の額に軽い衝撃音。リュゼ殿が愚息の頭を軽く小突いたのだ。


「油断禁物。何処に何があるか、誰がどう出てくるか分かんないでしょーが?」

「リンク、お前の失敗は私たちの失敗にも直結する。その事を忘れてはならない」

「うん、気をつけるよ。ムリはしない。ヤバイと思ったらすぐに引き返す」


 漸く素直に頷いた愚息の言葉に、2人は一つ頷くと、ポンと愚息の左右の肩を叩く。いや、掴んだ。


「そう気負わずに。『見つけられたらラッキー』ぐらいで良いからさっ」

「そうだぞ、リンク。欲を出すと足許を掬われるからな」


 凄みを増した二人の騎士、愚息の肩が跳ねる。愚息はまるでブリキの人形のようにカクカクと何度も顎を下げる。

 しかし、彼らのそれは愛情の裏返し。彼らがリンクを『道具』だと思っていない証拠なのだ。甘んじて諫言を受け入れようではないか。なぁ?リンク。




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『神殿侵入2』をお送りしました。

【裏設定】

※リンク父二十四歳、リンク母十六歳。歳の差八歳。出会いから二年後に交際をスタートし、その後結婚。リンクが生まれました。

※バイゼンは口数も少なく、道中騎士たちに何言う事もありませんでしたが、彼はずっと犯罪者へと堕ちてゆく息子を救えなかった事を悔いていました。だからこそ、そこから引っ張り上げてくれたアーリアとリュゼに対し大きな恩を感じていたのです。その事は自身の負った怪我の回復よりも、ずっと大きな事でした。


次話『神殿侵入3』も是非ご覧ください!

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