登場人物4ーネタバレありー
◆人物紹介『第4部:魔女と狂気の王子(上)』
《ストーリー》
軍事都市アルカード。その地は隣国ライザタニアからの侵攻に対応すべく国境警備のエキスパートたちがいた。その際たるが『東の塔の魔女』であり、『東の塔の騎士団』に属する騎士たちであった。
そんな重役ーー『塔の魔女』にうっかり席を置いてしまったアーリアは、必然的に『塔の騎士団』からの忠誠を受ける事になった。だが、パッと出の平民魔導士を主君とする事を善とせぬ若手騎士たちからの猛バッシングに遭う。アーリア自身は『これも仕事のうち』と割り切るものの、騎士団内にある空気にゲッソリした日々を送る事となった。
その後、騎士団内の綱紀粛正が行われ、漸く平和な日々が……と思った矢先、事件は起きる。アルカードが何者かの手によって火に巻かれたのだ。
夜半過ぎ、アーリアは騎士団一真面目騎士ナイルによってアルカードの異変を知る。その直後、部屋を訪れたナイルは背後から現れた刺客によって刺されてしまう。その刺客とはなんと、後輩騎士セイであった。
突然の変貌を遂げたセイに驚くアーリアを他所に、自らを『襲撃者』と称するセイ。セイたち襲撃者の目的こそ、『東の塔の魔女』を誘拐する事にあったのだ。
折り悪く王都へ召喚されていたリュゼが急ぎアルカードへ帰還するも、襲撃者たちの人間離れした攻撃に苦戦を強いられ、とうとうその生命を失うという場面にまで逼迫。
そして遂に、アーリアは最悪の選択を行う。それは、自身の守りである護衛騎士を強制的に逃すというものでーー……
襲撃者たちに囚われたアーリア。囚われのアーリアを追うリュゼ。果たして彼らの運命は……?
◆side:Sistina◆
【アーリア】
※年齢:18歳
※職業:魔導士、魔宝具職人、東の塔の魔女
※容姿:雪のような白髪、虹彩色の瞳、実年齢より幼く見られがち
※性格:基本的に温和で温厚、恋愛的思考は停止状態
※備考:魔宝具作りに喜びを見出す引き籠り魔女。当然人見知り。他者と関わりを持つ事に苦手意識を持っている。親しくなれば好意的。素直な性格が災いして、他者から騙され易く押しに弱い一面がある。敵対心を抱かせぬ雰囲気から侮れがちだが、その見た目に反して『愛でお腹は膨れない』との現実主義者。奉仕精神はなく、『お給料の分だけ働く』をモットーにしている。しばらく恋愛的思考が停止状態にあったが、性別不明の美麗治療士から恋愛指南(?)を受けた事により、徐々に年頃の娘らしい感性が芽生え始める。しかし、もともと『自分には恋愛とは程遠い』と考えていた為、信頼を寄せるリュゼからの好意にどう対応して良いのかとお悩み中。
【リュゼ】
※年齢:21歳
※職業:専属護衛、護衛騎士
※容姿:茶色の髪、琥珀色の瞳、ニヤついた笑顔が標準装備
※性格:自他共に認める『長い物に巻かれる』気質、気まぐれ、気の赴くまま、初恋を拗らせ中
※備考:自己の存在意義や存在理由を見出せずフラフラと生きてきたが、アーリアとの出会いによって、生きる事への執着を得た。その為、アーリアへの愛着は深く重い。宰相閣下により『塔の魔女』の専属護衛騎士に命ぜられた。アーリアに対しての恋心を自覚して以降、アーリアを『唯一の主君』にして『唯一の存在』に位置付け護衛業務に邁進中。魔女の護衛だと理解していてもアーリアに纏わり付く騎士どもへの牽制は当然とし、更には飼犬にまで嫉妬する始末。また、魔女の身の回りの世話は譲らぬとばかりに他者を寄せ付けぬ徹底ぶり。過保護(意訳)も此処に極まれり。最近になって乙女心(?)を勉強し始めたアーリアから何処となく避けられる場面もあり、嬉しさ反面寂しさ反面という複雑な心境に囚われている。
【ナイル】
※年齢:29歳
※職業:塔の騎士、第二小隊隊長、侯爵家出身
※容姿:黒髪黒目、切れ長の瞳、童顔
※性格:生真面目を絵に描いたような性格、苦労性
※備考:『東の塔の騎士団』所属の騎士。第二小隊隊長。騎士団の良人。前任の魔女の頃から騎士団に所属する古参騎士。国境を守る重責を担う『塔の魔女』に対して、常に礼節と規律を重んじた態度を持って尽くしている。生真面目さを買われて、専属護衛騎士リュゼに次いでアーリアからの信頼を得る事になり、遂にはその行き過ぎた忠誠心からアーリア個人に生涯の忠誠を誓ってしまった。その為、襲撃者たちに拉致されたアーリアを追って、リュゼと共にライザタニアへ向かうのは『当然の選択』であった。
【リンク】
※年齢:11歳
※職業:下町少年、ライザタニアからの移民の子
※容姿:焦げ茶の髪、赤茶の瞳。頬にそばかす
※性格:基本的に素直、純朴
※備考:アルカードの下町に住む不良少年。ライザタニアからの移民二世。システィナ人の母親有り(死別)。脚を悪くして働けぬ父親に代わりスリで日銭を稼いでいた。悪徳高利貸しに追われていた所をカモにようとしていたアーリアに逆に救われ、以降、アーリアに弟のように可愛がれ魔術を教わる事になる。基本的に素朴で素直な性格。律儀。恩を返そうと厚生中。年上の女性に憧れる年頃で、アーリアに淡い恋心を抱いている。アルカードを襲った襲撃者に拐われたアーリアを救い出す為、リュゼたちと共にライザタニア入りを果たした。
◆side:Raizatania◆
【第二王子シュバルツェ】
※年齢:不詳(見た目年齢二十代前半)
※職業:ライザタニア国第二王子
※容姿:薄銀色の髪、蜂蜜色の瞳、氷の美貌
※性格:高圧的な言動、怜悧な思考、ドS
※備考:病床の現王に代わり王宮を掌握し、王国を統治し始める。王宮掌握にあたっては、実の兄である第一王子を王城から追い出し、気に入らぬ者、反発する者を容赦なくその手にかけ、王宮を血の海にした。以降、『狂気の王子』との異名を持つ。高圧的な態度と狂気を宿した思考は他者からの畏怖を恣にしている。『己が言動をもって相手を痛ぶり、相手が苦痛を受ける顔を見て喜ぶ』というどうしようもない性癖の持ち主。他者を痛ぶる事に喜びを感じる変態王子(アーリア談)だが、その実、政治に於いてはマトモな判断力と感性とを併せ持つ。それ故皮肉にも、ライザタニアには現王時代よりも善政が布かれている。
【ゼネンスキー侯爵リヒャルト】
※年齢:不詳(見た目年齢三十代前半)
※職業:軍務省長官、宰相(兼務)
※容姿:黒髪、灰緑色の瞳、眼鏡
※性格:冷静沈着、打算的、眼鏡で実力を隠し相手の出方をジッと待つ狩人
※備考:第二王子シュバルツェ殿下の有能なる部下であり右腕。ライザタニアの軍事面を掌握する切れ物長官。第二王子による王宮掌握の際、当時の軍務長官だった父親を殺害し、軍部と長官の座を簒奪した。打算的で、物事には白とも黒ともつかぬ場合がある事を知っている。制服軍人と侮られがちだが、将軍らと張り合える程の剣技の持ち主であり、簒奪した立場にありながら軍人たちからの信頼を得ている。傲慢で高圧的とも思える態度とその冷徹な指揮から『鬼長官』との渾名を持つが、一方で愛妻家であり、愛する妻の忘形見である息子と娘を何よりも大切にしている。
【レオニード】
※年齢:不詳
※職業:特殊工作部隊『月影』隊長
※容姿:黒髪長髪、真紅の瞳、彫り深い顔立ち
※性格:冷静冷徹な思考、ヤンチャな部下を複数持つ苦労人
※備考:特殊工作部隊『月影』の隊長。長命長寿。亜人部隊を率いる事から、自身もライザタニア最古の妖精族の血を持つ。隊員から一途に慕われている。アルカード攻略作戦にあたりライザタニア側から未踏の地を通りシスティナ入りを果たしたが、その際、魔獣用の罠にかかり、生命の危機に陥った際、偶然、通りかかった少女に助けられた経緯を持つ。少女が『塔の魔女』当人だと知った後に、『魔女の飼犬』として騎士団内へ侵入する。しかし思いの外、飼犬生活が幸福なものであった事から、飼主に対して恩を仇で返した事に罪悪感を覚えている。
【セイ】
※年齢:23歳(自称)
※職業:特殊工作部隊『月影』の隊員、亜人(黒竜)
※容姿:赤茶毛、黒に近い濃紺の瞳、左目の下に泣き黒子
※性格:軽薄、女好き、都合の良い性格
※備考:女好きを絵に描いたような男。自身にとって都合の良い解釈をするどうしようもない男。ある意味でポジティブ。元、『東の塔の騎士団』所属の騎士。元、ナイルの後輩にして相棒。工作員としてシスティナへ侵入していたライザタニア軍人。妖精族の血を持つ者だけで構成された特殊工作部隊『月影』のメンバーのひとり。黒竜の血を引く。故に好戦的で、一度箍が外れると女・子ども相手であっても容赦なく手を振り下ろす事ができる。『塔の魔女』を拉致する為だけにアルカードに火を放ち、心を折る為だけにアーリアをボロ雑巾のように攻撃した張本人。アーリアの背に消えぬ傷を残した。
《SS:雑談という名のショートショート》
「オイ、俺の紹介がないぞ?どういう事だ、バカ猫」
「アハハ!獅子くん、近頃存在感がないから忘れられたんじゃないの?」
「なにぃ⁉︎」
「だって、最近めっきり登場回数減ったじゃん?ま、君のジゴージトクなんだケドさ」
「くっ!アルヴァンド家の忠誠心がこの様な弊害を生むとは……!」
「忠誠心ねぇ?君のその歪んだ性格が原因じゃないかな?」
「は?俺の性格のドコが歪んでいると……?」
「うわぁ……この人、自覚ないし……」
「リュゼ、そもそも貴様の方が矯正しようのない程、歪んだ性格をしているじゃないか?」
「ハハ!それ、知ってる。僕には自覚あるから」
「くそっ!何故、こんなチャラ男がアーリアの専属護衛なんだ!父上は一体、何をお考えなのか?」
「ルイスさんは君より僕の方が『向いてる』って考えたんじゃない?ほら、僕、こう見えても優秀だし」
「バカも休みやすみ言え!貴様のドコが優秀なんだ?」
「融通が効くトコロ、とか?」
「ならば俺は『融通の効かない朴念仁』とでも言うのか?」
「なーんだ!自覚あるじゃん、ジーク」
「ーー!」
「そんなんだから、キャラクター紹介にも出して貰えないんだよ」
「……俺だって……」
「なぁに?不貞腐れちゃってさ。ーーアッ。最近チョロチョロ出てたのって、もしかしてアーリアの高感度でも上げようとしていたのかな?」
「そっ……んな、コト、は……」
「ははーん、成る程成る程。だけど、僕と君とじゃ、高感度数に山ほどの差がついちゃってると思うんだよねぇ〜〜。ほら、僕、彼女の側にずっといるし」
「……。リュゼ、側に居るからとタカを括ると痛い目に遭うぞ?」
「え……?」
「俺がそうだ。第一部じゃあ第二の主人公とまで言われた俺が、今じゃこの扱いだ。お前だってこの先どうなるか……」
「ーー!そ、それは……って、なんて目で見てんの⁉︎ 公爵子息がする目じゃないよ?」
「ハハッ。気のせいだ。いや、気にするな」
「ちぇ。経験者の言葉は重みが違うなぁ……」
「ま、俺はボチボチいくさ。アーリアも急に押されたら引くに違いないからな……」
「うっ……!」
「迂闊にドン引きされたらこちらの心が持たない。……ん?どうしたリュゼ。顔色が悪いぞ?」
「う、煩いよ、ジーク。僕だって、ソレは分かってるケドさ……こう、ムラムラっとくると、どーしよーもない衝動が……」
「リュゼ、お前……」
「何よ?ジーク……」
「……」
「……」
「……。そろそろ引き上げるか。ほら、彼方でアーリアが待っているぞ?」
「チッ!今日のトコロは勝ちを譲ってあげるよ。ーーアーリア!待って、僕も一緒にいくよ〜〜」




