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魔宝石物語  作者: かうる
幕間4《誘拐編》
285/497

※裏舞台5※ みんなで楽しく報復計画

 

「あぁそうですね。ソレも良いかも知れません」

「ですが、ソレでは生温いのでは?こちらの方が斬新な驚きがあり……」

「ハハハ。貴方は良い策を考えつきますね?」

「いやいや、副団長こそお人が悪い。これ以上の策をお持ちでしょうに……」


 笑い声と共に巻き起こる爽やかな会話。談笑。そう言い表せばなかなかに良い光景にも見える。しかし、会話の議題が『如何に報復するか』であるならば、笑えない状況であった。


 立て続けに二度もあるじを守り切れなかった『東の塔の騎士団』。騎士団の評価は既に底辺を這っている。だが、騎士たちによる自己評価は更に低い。

 後悔先に立たず。後悔は自己弁護の手段なのだ。嘆いていても先には進めない。元来、脳筋な騎士たちに後悔などといった殊勝な態度は似合わず、当初は自己嫌悪に陥っていた騎士たちも時間が経つごとに立ち直りを見せた。だが、その立ち直り方が斜め上に向いていたとしても、仕方のない事であった。なんと、騎士たちの心の根底に残ったのは屈辱、怒り、後悔……その想いを超越した先にある『復讐心』一択であったのだ。

 どんなを持ってでも襲撃者を陥れてやる。地面に這いつくばらせ、屈辱感を味合わせてやる。死より恐ろしいモノがあると言うことを教えてやる。

 そんな負の感情を胸に秘めーーきれてはおらず、外にダダ漏れ状態。口元に爽やかな笑みが浮かんではいるが、その瞳にはギラついた怒りが滲み出ている。これは本気と書いてマジと読むソレであった。

 胸には国王と国家へ対する熱い忠誠心。道徳性と騎士道精神を重んじ、システィナ紳士としての誇りを持つ騎士団員たち。アルカード領民たちからは『力強い存在』、女子どもからは『心優しいお兄さん』との評価を持つ彼らだが、心の奥底には『堪忍袋』という物を持っている。『普段、優しい人ほど怒らせると怖い』とは言うが、今の彼らの正にその状態であった。

 身に纏う空気から爽やかさが抜け落ち、ドロドロとした粘着質な威圧感オーラを放っている。小さな子どもなら目を合わせただけで一発で泣くだろう。


 その日、『塔の騎士団』基地内の執務室では、多くの騎士が入れ代わり立ち代わり、入退室を繰り返していた。彼らの手にあるのは報告書。その内容とは、国境線ラインを挟んだ先にある『悪の巣窟』を斥候調査した結果であった。

 彼ら騎士団員は『悪の巣窟』と呼んではいるが、国境線を越えた先にある隣国には『ライザタニア』との名がある。ライザタニアには妖精族の住まいこそあるものの、悪魔の城などない。いにしえの魔王の住む地でもない。なのに、彼らは『勝手』にそう呼んでいるのだ。その事からも、騎士たちの心情を推し量る事が出来るだろ。


 矜持を傷つけられた騎士。自己に対する情けなさや不甲斐なさ、襲撃者に対する怒りや憎しみ。事件直後は絶望感に苛まれ落ち込んでいた騎士たちもドン底まで落ちた後は自然と浮上するもので、内包した様々な感情を『ヤる気』に変えて、現在は襲撃者への『報復』に燃えて一直線なのであった。


 方向性を間違えている等とは言ってはいけない。あるじが害されて怒りを持たない騎士など存在しないのだから。まして、あるじを拉致されたとなれば、どんなを使ってでも取り返そうとするのは『当たり前の行為』であり、その『ついで』に報復する事を思い至ったのだとしても、それは何ら不思議な現象ではなかった。

 そんな騎士たちの『熱い想い』を知った同志たちも自ら復讐戦への参加を表明し、復讐者の数は今や総勢五百余名。現在、騎士団はこれまでになく一致団結していたのであった。


「ーー失礼します。領主館からの資料をお持ちしました……ヒィィ⁉︎」


 たまたま、騎士団を訪れていた領主館職員が彼ら騎士たちのドス黒い顔色を見るや否や、スゴスゴとその場から引き下がったのは、人として『正しい行動』であった。誰しも蜂の巣を突いて怪我を負いたくはないものだ。藪を突いて蛇や虎を出させんとするも同様、怒り狂っている騎士に藪蛇な真似など出来はしない。


「やはり、現在、威力偵察を行なっている部隊は襲撃者ヤツらとは別の部隊だと思われます」


 騎士たちの威圧に顔を痙攣らせた役人は、扉近くの騎士に資料を引ったくられると、別の騎士に背を押されて退室させられていく。そんな状況を横目に、副団長を囲む騎士たちの会話は淡々と進められていった。


「その根拠は?」

「砦にマッカラン一佐の顔が見えました」

「第二師団ですか?」

「はい。彼は常識人との噂ですが、第二師団は宰相派閥ーー国王派との情報もありますから……」


 国境戦の偵察を行っている部隊の騎士から齎された報告にアーネスト副団長が頷きかけたとき、側に控えていた副官ライナスから訂正が述べられた。


「いや、その情報は古い。宰相は既に殺害され、全ての部隊を動かしているのは軍務省長官の筈です」

「軍務省長官が宰相府の判断抜きで独断で動いている可能性があると?」

「はい。その後、新しい宰相が立ったとの話がない事から、軍務の独断は確かかと……」

「現軍務省長官の名は……」

「不明です。内乱の折に宰相以下、多数の官吏の入れ替えがあったとの事ですが、その内情までは調べがついておりません」


 襲撃者に負わされた傷が癒えぬまま、騎士たちはそれぞれの業務へと戻っていた。余程の大怪我でもない限り療養につく騎士など居らず、退団を願い出た騎士は皆無であった。それは一騎士に限らず、基地で騎士団の指揮を受け持つ副団長アーネストもまた重傷者の一人であり、腹の風穴が治りきらぬまま病床を抜け出して来ている事を、この場の誰もが知っていた。


「もし、第二師団が今回のアルカード襲撃を知っていたならば、このような中途半端な威力偵察などにはなりますまい」


 アーネスト副団長は自身の副官ライナスの言葉に一つ頷くと、調査用紙の一枚に目線を落とした。


「そうですね。もし、現王がアルカードの事態を知っていたならば、このような生温い攻撃などしないでしょう」

「ええ。後先考えず、それはバカみたいに打ってきましょうよ」


 およそ三年前のシスティナ侵攻を知る古参騎士たちは、ライザタニアがどのような戦略を使ってきたかを鮮明に覚えている。軍事用に改良を施した魔宝具を使い火力重視の広範囲攻撃で森を焼き払い、奴隷兵を使って捨て身の攻撃を仕掛けさせ、その隙をついて仲間諸共に殺戮用魔宝具で殲滅を計ってきたのだ。

 戦争に善道など存在しない。どちらが買っても負けても、そこには人間ヒトの死はつきもの。どちらがどちらの国民をどれだけ多く殺したか、それが勝敗を別つと云っても過言ではない。『死体の上にある勝利』。それが目の逸らしようもない現実。

 特に、現ライザタニア国王ーー通称『現王』指揮下でのライザタニア国軍の攻撃は残忍さが抜きん出ていた。自国民を道具と見做す遣り方は、システィナでは賛否を呼んでいた程であった。

 システィナでは、いくら戦争であろうと、無辜の民を矢面に立たせる事はまず無いと断言できる。だが、ライザタニアはーーいや、現王アレクサンドルは違う。悍しいとハッキリ口にできる程の残忍さを持ち合わせており、前回の戦争時には、人間ヒト人間ヒトとも思わぬ残忍さを塔の騎士たちに見せつけた。

 休戦後アルカードへ赴任してきたアーネスト副団長は、実際にその現場を目の当たりしにた訳ではない。古参騎士からの話と報告書で見聞きした程度だが、それでも、現王の残忍さを理解するに至っていた。


「ライザタニアには……っ……!」


 言葉に詰まったアーネスト副団長は眉を顰めると片手を机のにつき、脇腹を押さえて苦しげに呻いた。


「副団長。やはり、あの魔宝具をお使いになられても宜しいのでは……?」


 顔に苦い物を浮かべながらアーネスト副団長の身体を支えようと手を差し伸べてきた副官ライナスを、額に汗を浮かべたアーネスト副団長は手で制しつつ答えた。


「私がアレを使う訳にはまいりません。廃棄を決めた魔宝具です。あの時、内密にアーリア様をお叱りしてまで決定した事を、私用で破るなど……」

「私用などと、誰が思われますか⁉︎ アーリア様は傷ついた騎士の為を思ってアレをお作りになられたのです。副団長が使って悪い事などありますまい!」

「ですが……」

「非常時なのです。今、貴方に倒れられた方が我が騎士団の損失になります」


 彼らの話している『あの魔宝具』とは、彼らの主アーリアが製作した治癒の魔宝具の事であった。試験運用として暫く前にアーネスト副団長が預かっていた物であり、『東の塔』が建つ東の森を警備していた折、亜竜ワイバーンに襲われ傷ついた騎士の生命を救った魔宝具でもある。その効果は著しく、なんと、千切れかけた腕まで一瞬の内に再生してしまうという威力を有していた。しかし、その魔宝具は将来争いの火種になると予感したアーネスト副団長は、その魔宝具の封印、破棄の決定を下した。

 だが、直後アルカード襲撃騒動が起こったゴタゴタで未だ魔宝具の廃棄はなされておらず、保管庫に入れっぱなしである事を副官ライナスは知っていた。


「いいえ。何と言われようとも、あの魔宝具は使いません」


 アーネスト副団長は部下たちの心配と助言を強固に押し留めた。傷の痛みから額から脂汗が流れていくのを自覚しながら、それでも彼は頑なに拒絶感を表したのだ。


「ならば副団長。今少し、ご自身の身体を労ってやってはくださいませんか?」


 これは何を言っても動かぬと悟った副官ライナスはふぅと息を吐くと、脂汗を流す副団長の為に手ずから椅子を用意した。そして、僅かに顔を痙攣らせつつ嫌がる副団長を視線で黙らせると、椅子にアーネスト副団長を座らせた。


「ハァ……貴方は融通の効かぬ時がありますね?ライナス」

「副団長に言われたくはございませんよ」


 面と向かって嫌味を言う副団長アーネスト。副官ライナスも負けじと副団長を睨むと、ツンと顔を晒す。今はこのように反発し合っているが、副官ライナスがアーネスト副団長を尊敬している事、今も体調を慮っている事は、どの騎士から見ても明らかだった。


「お使いください」

「これはどうも」


 副官から差し出されたハンカチで汗を拭うと、アーネスト副団長は話を元に戻した。


「兎に角!何をするにしても今は情報が不足しています。隣国でありながらライザタニア国の情報が著しく欠如している。これでは対策を練る事すら叶わない」


 副団長と大きな机を囲んでいた騎士たちが大きく頷いた。


「我々、騎士団は国境線の維持ーー国防を主な任務としています。これまでは対外諸国との外交は王宮の官吏の仕事と割り切って考えておりましたが、その事が今回のーーいいえ、三年前からの悲劇を繰り返す所以となっているのです」


 システィナの東の国境を守る《結界》。その《結界》を施す魔女を守護する事。国境線ラインを監視し、隣国ライザタニアの動向を見張り、侵攻して来ようとする不審者たちを討伐する事。それが『塔の騎士団』に課せられた任務。対人戦に重きを置いた騎士団は、これまで課せられた命令を忠実に守り、任務に従事してきた。しかし、逆を言えば『それだけ』の事にしか目を向けては来なかったのだ。

 何故、ライザタニアはシスティナへ侵攻しようとするのか、何の思惑があってライザタニアはシスティナを欲しているのか等々、ライザタニアが戦争を起こす国情については、騎士団員たちも知る由はなく、ただ淡々と『東の塔』と『塔の魔女』、そして『東の国境』を守護してきたに過ぎなかった。

 しかし、今回の襲撃を受け、アーネスト副団長は自分たちの『無関心』こそが、二度に渡る失敗を生んだのだと気づかされた。


 システィナを守る。

 システィナを守る魔女を守る。


 ーーとは、実に結構な任務だ。また、『正義を胸に抱き、剣を掲げ、国家に忠誠を誓う騎士』とは、実に響きが良い。如何にも万人受けしそうで、英雄譚の表題タイトルにも起用されていそうな雰囲気をも醸し出している。が、しかし……


 ー『正義感』が一体何だと言うのです?ー


 国内向きのアピールなどに何の意味があるのか。アーネスト副団長は騎士団の意義について内心、強く毒づいていた。


「我々が必要とするのは『確かな情報』です。それも生の情報が必要なのです」


 情報と一口に言っても、ピンからキリまである。虚実塗れのものも多い。王宮から降りてくる情報を鵜呑みにするなど愚の骨頂。情報が真実であるか虚偽であるかを裏づける為、自らも情報収集を行う事は必須なのだ。


「情報とは生物ナマモノなのです。しかも、その賞味期限は非常に短い。現に、ライザタニアの内情は刻一刻と変化しています。もう、3年前(以前)の情報を当てにしていてはなりません」


 副団長の意味深な微笑みに騎士たちは深く頷いた。

 国内情勢の変動は激しい。システィナ国内に於いてもこの一年で国内の内情が大きく動いた。王宮で一大勢力を築いていたサリアン公爵が反逆罪により捕らえられて以降、現宰相アルヴァンド公爵の指揮下に於いて制度の見直しや官吏の入れ替え、部署移動、サリアン公爵の反逆行為に同調した貴族の粛清などが粛々と行われている。また、王宮の組織編成も大きな動きを見せた昨今、貴族社会でも勢力構成が水面下で動きを見せ始めている。

 目に見える水面上ならば兎も角、目に見えぬ暗い水底を無闇にかき混ぜて泥を巻き上げるは危険極まりない行為だ。それを身をもって知るからこそ、高位官僚ーーそれも筆頭であるアルヴァンド宰相閣下であったとしても、未だ、システィナ国内の全貴族の状態把握には至ってはいない。


「ライザタニアとの繋がりを持つシスティナ貴族を現在、ウィリアム殿下が洗い出しに掛かっておられますね?」

「はい。名簿の提出は済んでおります。もう間も無く特定できるかと」


 騎士団の中にも襲撃者が紛れていた。あの夜以降、騎士団の駐屯基地から行方を晦ました者は、騎士は5名、治療士1名、料理人1名、馬房の管理人1名、薬室管理人1名、侍従1名。何と、内部には10名もの襲撃者ーー敵国ライザタニアの内通者がいたのだ。しかも、その内の5名が騎士であった。騎士団の内部は彼ら10名の手によって混乱状態を作り出され、見事に翻弄されてしまった。一般の職員には平民出身の者も多いが、兵士なら兎も角、騎士は貴族にしかなれない。だからこそ、彼らの背景バックヤードを探れば必ず、システィナの貴族にぶち当たる筈であった。


「ならば、我々は国外のーーライザタニアの内情を探る必要がありますね。正確な情報を出来るだけ多く収集し、綿密な対策を練らねばなりません」


 ーー全てはアーリア様をお救いする為に。


 アーネスト副団長の言葉に、その場に集まる騎士たちは重い表情で頷いた。どの騎士の瞳にも拐われた魔女をーー自分たちの主君あるじを救いたいという『強い意思』が込められていた。


「正義感などイヌにでも食わせてしまいなさい。瞳を曇らせるモノならば、我ら『塔の騎士団』には不要です」


 アーネスト副団長の苛烈な言葉は止まない。


「我々はこれ以上、同じ轍は踏む訳には参りません」


 指を咥えて待ってなどいれない。こうしている間にも、誘拐された魔女の生命が危険に晒され続けているのだ。


「しかし、副団長。我々が話している『計画』そのものが王宮から認められる可能性は低いのではありませんか?」

「ええ。それは元より理解しています。そもそも、このように我々が勝手に『計画』を練る事さえ、騎士団に課せられた任務からは大きく逸脱した行為ーー叛乱行為だと見做される可能性があります」

「ウィリアム殿下により情報統制が敷かれた事によって、本来問われるべき罪が放置されているに過ぎないのが、騎士団の実情ですからね?」


 ー嫌な事を思い出させてくれますね?ー


 副官ライナスの言葉を受けて頭痛がぶり返したアーネスト副団長は、額を親指の指先で軽く押した。


 アルカード急襲を受けた後、ウィリアム殿下より国内向けに情報が発信された。曰く、『塔の魔女の生命は無事であり、システィナを守る《結界》も健在である』という報だった。

 ウィリアム殿下の言葉はシスティナ国民をーーいや、アルカードの領民を安心させる為の措置であり、同時に、無用な争いや暴動等を防ぐ為の措置でもあった。

 仮にも一国の王太子殿下から齎された報に不服を申し立てる者などない。それでも、実際に目にするまでは気が気でないのも確かであり、太陽が登るや否や東の空に輝く《結界》を目にした領民たちは皆、ホッと胸を撫で下ろしたという。

 国境が無事であり、加えて『塔の魔女』が無事であるならば、『塔の騎士団』が咎められる事はない。いや、咎める事など出来ない。

 本来ならば、団長か副団長かーーいや、その両方のクビが切られるべき案件なのだが、現在も見逃されているのはその為であったのだ。


「そのような情勢下にありながら、我々はアーリア様を救い出す為の計画を立てている。ーー貴方たちはその意味を、その先にある未来を想像できているのですね?」


 王宮から『塔の騎士団』自体が叛逆者のレッテルを貼られるかも知れないという未来を。騎士団は王宮からの処罰対象になり、最悪の場合、騎士としての名誉も資格も失うかも知れないという未来を……。

 肘を机の上に乗せ、長い指を絡め合わせたアーネスト副団長は、指の間に口元を隠すように押し付けた。美しい容貌に影が落ちる。輝く双眸は執務室内の騎士たちを鋭く睨め据えた。


「副団長。この場にそれが分からぬ阿呆などおりません」


 ザァァァ……と降り始めた雨が窓枠を叩き始めた頃、副官ライナスは他の騎士の言葉を代弁するように答えた。


「そうですか。ーーでは、もしも、この場に『魔女は交換が可能だ』と考える騎士モノが居るならば、早々に名乗り出なさい。私自らがお相手して差し上げますよ?」

「……副団長。それこそ杞憂というものです」


 額に指を置くとハァと溜息を吐く副官ライナス。ライナスに同調するかのように、騎士たちの顔には次第に苦笑が浮かんでいった。そして、騎士たちの誰もが強く頷き合うと、アーネスト副団長へと視線を投げかけてきた。対するアーネスト副団長も騎士たちの視線を受けて満足げに頷いた。


「申し訳ございません。貴方たちを少々見縊っていたようですね」


 謝罪の言葉を口の端に乗せるアーネスト副団長。しかし、副団長の顔には最近では一番とも思える穏やかな微笑みが浮かんでいた。




お読み頂きまして、ありがとうございます!

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『裏舞台5:みんなで楽しく報復計画』をお送りしました。

アーネスト副団長を含めた騎士のお兄さんたちは自身の傷が癒えるや否や、みんなで楽しく報復計画を立て始めました。『転んでもタダでは起きない』をモットーに、彼らは隣国へと一矢報いる為の行動を起こす予定なのです。


次話、裏舞台6も是非ご覧ください!

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