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魔宝石物語  作者: かうる
魔女と塔の騎士団
258/498

※裏舞台10※ 月夜に笑む

※争乱編※

 中天には満月。常闇の世界に眩い光を放ちながら生者たちの夢を見守っている。月が傾き始めた深夜に於いて灯りの漏れる窓は殆どない。


 魔導国家システィナの南部に位置するラスティ。魔宝具都市とも呼ばれるラスティには有能な魔宝具職人マギクラフトが多く集う。職人たちは日々、新たな魔宝具を生み出し、生産し、国家と国民の暮らしに富を齎していた。


 そのラスティに於いて一際注目を集める屋敷がある。


 その屋敷には一人の優れた師を慕い、多くの才能ある弟子たちが集っていた。弟子入りを認められた者は各々が屋敷内に個室を与えられ、互いに切磋琢磨しながら己の技能と技術を磨いているという。

 しかし、秀でた才能を持つと言う事は即ち『常識に囚われない者』だという事だ。

 魔導士で有りながら魔宝具職人マギクラフトでもあるという師匠を始め、弟子たちも皆、『時間』という感覚は薄い。彼らは作業に熱中し過ぎると昼夜を忘れーーそれどころか周囲の変化すら気づかず作業に没頭するという、ある種の才能を持っていたのだ。


 ーウィィィィイン……ー

 ーギッガガガガガ……ー

 ーいやぁあぁぁうぉぉおおおお……ー


 金属の削れる音、魔宝具が作動する音、苦しげな呻き声などが屋敷の其処彼処から発せられている。連続的な金属音の響きは、人の神経を逆撫でする効果が十分あった。しかし、それもこの者にとっては子守唄のようなもの……


「ーーししょ……師匠!」


 読書に没頭していた青年は自分を呼ぶ声に気づくと手を止め、持っていた書籍を下ろした。


「……ん?ああ、君か。何か用かい?」

「師匠、そろそろ時間っすよ」

「え?もうそんな時間なのかい?」


 師匠は扉の前に佇む弟子その1の言葉に小さな驚きを見せると、大窓から外へと視線を向けた。大窓から見える景色は暗闇。微かに開いた窓の隙間から入る夜風が肌に心地好い。

 この部屋は屋敷の最上階にあるため、天井に面した場所に大きな飾り窓がある。灯りが必要な時には魔術を用いるのだが、天気の良い昼間には、この飾り窓からだけの光だけで十分部屋の中を光で満たす事ができた。現在いま、その飾り窓から注ぐ光は柔らかな月光つきひかり月光げっこうに照らされた飾り窓の美しい影が部屋の床、一面に映し出されていた。

 部屋の主である師匠はふと足下の模様に目を留めてから、視線を弟子その1へと移した。


「……もう少し早く声をかけてくれたら良かったのに」

「何度も呼びかけましたよ。そのたびに生返事だったのは師匠じゃないっすか?」


 弟子その1は溜息混じりにツッコミを入れると、師匠は僅かに首を傾げた。その仕草と表情が実年齢よりもずっと幼く見えて、弟子その1はハァァと溜息を吐いた。


「……本当に?」

「本当っす」


 「ウソなんかつく必要、ないっしょ?」と呆れ顔の弟子その1に、師匠は苦笑すると机に書籍を置いて立ち上がった。


「仕方ないね。じゃあ、行こうか?」

「はい」


 師匠が重い腰を上げた。すると控えていた弟子その1は手に持っていたローブを師匠の肩へとかけた。


「お客様がお待ちかねっスよ?」

「ふふ。それはいけない。我が屋敷の作法を持って丁重にもてなさなければいけないね?」


 スルリとローブに腕を通すと師匠は裾を翻した。



 ※※※



「ーーくそッ!なんなんだ、コレは⁉︎」

「こんな事になるなど、事前に聞いていないぞ⁉︎」


 闇に紛れるような全身黒装束。手には鉤爪、短刀、弓矢など。どう見てもカタギには思えない男たちは、息も絶え絶えに呻いた。

 眼前に見えるは一軒の屋敷。システィナの多くの屋敷は木材をふんだんに使った温もりある建物が多いのだが、この屋敷はその真逆であった。屋敷の外壁には岩から削り出した砂や砂利を原料にした液体を固めた特殊なレンガを使用してあり、ともすれば敵の侵入を阻む為の堅牢な城壁のような佇まいすらある。見る者を一目で圧倒する屋敷だが、細部に施された彫刻や飾り窓は、歴史ある教会のような様式美を持ち合わせていた。

 屋敷の正門と門扉を隔てる庭園。この季節ならば色とりどりの薔薇の花を咲かせているのが一般的なのだが、この屋敷はおよそ一般的ではなかった。木々の植え込みこそあるが後は一面の芝生のみであり、殺風景なほど季節の花々は植えられていなかったのだ。

 門扉を目前にして、黒装束の男たちは一向に前へは進めてはいなかった。何故なら、そこで思わぬ待ち伏せを喰らってしまったからだ。満を辞して実行された襲撃。緻密に練られた計画、入念に準備された襲撃は脆くも初撃から崩れ果てたのだ。


「どういう事だ?この屋敷の者たちは皆、ただの技術者ではなかったのか⁉︎」


 この言葉こそが彼らの敗因である事を、この時は誰ひとり理解してはいなかった。


 容易な任務ではない事は承知していた。しかし、相手はたかが技術者ーー魔宝具職人マギクラフトだ。魔術を操る事しか能のない『引きこもり』。そんな引きこもり集団を闇に紛れて暗殺するなど造作も無い事だと、彼らはタカを括っていたのだ。

 しかし、実際に襲撃を行った結果は散々たるもの。襲撃者の誰一人として目的を遂行するどころか、門扉を目前として、屋敷への侵入さえ果たせぬという有り様。暗殺を生業にする『プロ集団』との誇りを持つ彼らだが、これまで、このようなマヌケな失態を経験した事はなく、事実、驚愕の事態でしかなかった。


「隊長。裏門からの侵入を試みた班が全滅しました」

「なにぃ⁉︎」

「何故か緑色の液体に塗れた状態で簀巻きにされており、状況を聞こうにもワケの分からぬ事を喚くばかりで……」

「くそッ……」


 隊長と呼ばれた襲撃者のリーダーは、憎々しげに顔を歪めた。

 彼ら襲撃者も、何も成功法のみで対処しようとは初めから考えてはいなかった。目的はこの屋敷の主人である魔導士を秘密裏に抹殺する事にあり、その為には暗殺、密殺、毒殺、絞殺、刺殺……どんな手を使おうと構いはしなかった。要は結果として魔導士をこの世から抹殺する事ができれば、仕事として完遂となるのだ。騎士道よろしく『正々堂々』とは言わぬ。背後を取ろうが寝込みを襲おうがーーその方法はどれでも良かった。

 しかし、そのどれもが失敗に終わっている現在に於いて、最早、『秘密裏に』などと自分たち襲撃者のスタイルすら構ってはいられなくなっていたのだ。


 ー我々の沽券に関わる!ー


 ぐっと奥歯を噛み締め、拳を握ると隊長は背後に佇む部下に問うた。


「厨房からの侵入を指示していたカルネはどうなった?」

「……。なます斬りにされた状態で発見されたと報告が……」

「なん、だと……!奴の剣技は騎士並みだった筈だ!それが……⁉︎」


 ーこの屋敷には剣の道に通じた達人でもいると言うのか⁉︎ー


 隊長は今度こそ言葉を失いつつあった。襲撃者じぶんたちはプロの暗殺者集団。金さえ積まれればどのような仕事でも完遂する。その信頼度はこの世界に於いて同族たちから一目を置かれる程の実力を有していた。

 今回はトアル貴族からの暗殺依頼。ターゲットは片田舎に住まう一人の魔導士。魔宝具職人マギクラフトとして弟子を指導しながら工房を構える魔導士の命を、その貴族は御所望だった。

 ただ、依頼内容とその条件は少し変わっていた。トアル貴族とのやり取りは書簡でのみ。依頼人が己の正体を晒す事はついになかった。暗殺者集団に暗殺依頼するのだから、依頼人が正体を晒さない事はまま有る事であり、実に些細な事だとも言えた。しかしそれよりも異様だと感じた事は、暗殺予定のターゲットの正体すら最後まで明かされなかった事だ。依頼人からはただ襲撃の日にち、時間、場所を指定されたのみで、後の始末を含め、事前準備は全て暗殺者集団に一任された。

 それでも彼らがこの依頼を断らなかったただ理由は一つ。『依頼料が破格だったから』に他ならない。それに加えて、事前準備にかかる必要経費すら支払われるとのこと。いくら怪しげな依頼であろうと、最早この依頼を断る選択肢は彼らにはなかった。だが……


「……これならば、あの破格な依頼料にも納得というものだな」


 乾く口内には水分は既になく、飲み込む唾のない喉を鳴らしながら、隊長は額から汗を流しながら眼前に聳え立つ屋敷を見上げた。



 一方その頃……



「お疲れ様っす、エン兄。どんな塩梅っすか?」


 弟子その1は屋上に続く扉を開け、屋上の端に腰掛けながら庭園を見下ろしている一人の青年に声をかけた。

 月光に照らされる髪色は深緑。頸から耳の下辺りまで剃り込みを入れ、上部を少し長めに切り揃えた髪型が如何にもチャラい。歳の頃は二十歳前半。野性味のある横顔には、金の耳管ピアスが輝いていた。


「ーーあぁ。……ア、師匠、お疲れ様デス!」


 『エン兄』と呼ばれた青年は、弟子その1の背後に師匠が現れたのを見留めると、ハッと表情を明るくさせた。


「エルンスト、お疲れ様。どう?下の様子は」

「ボチボチですわ。ーー師匠、こちらへどうぞ」


 青年ーーエルンストは半笑いしながらも、予め用意してあった椅子の方へ師匠を案内すると、進捗状況の説明に入った。


「裏門にいた奴らはナットのエサになりました。正門にいた奴らはジョシュとハーネスが相手してマス」

「あ〜〜と、勝手口付近にいた奴らは姉貴がなます斬りにしたらしいっス」


 弟子たちの報告に、師匠は苦笑しながら耳を傾けている。


「どこのアホか知りませんがねぇ。魔宝具マジックアイテムの性能を試せると知るや否や、皆、浮かれておりましたワ。いやぁ〜〜この時期の襲撃者じっけんたい来訪は、我々、魔宝具職人マギクラフトにとっては有難い限りデス!」


 ナハハハハハハ!と乾いた笑いを上げる弟子エルンスト。その顔には満面の笑みが浮かべられており、襲撃者たちの来訪を心より喜んでいる事が見て取れた。

 春から夏に掛けて、システィナ各所で魔宝具の新作発表会や品評会が行われるこの業界に於いて、魔宝具の性能をテストする実験台の確保は急務なのだ。

 魔宝具は発案し製作するまでは簡単だ。だが、それがこの世界の人間に適正であるか、人々の暮らしの助けとなるか、需要があるか、生産性があるか等、審査に通過する方が重要で難しい。

 魔宝具の実験台。言葉の響きからして『ソレって大丈夫なやつ?』と聞いてしまいそうになるが、そのカンは当たりだ。実験には危険が伴うたぐいのものが大半なのだから。特に、この師匠の下に集う弟子たちの創る魔宝具の実験には……


「今回、少々、刺激的な魔宝具が多かったようでしてネ。実験体のなり手が不足していたんですワ!いやぁ、実に良いタイミングでした!」


 屋敷の周囲で作戦行動中の襲撃者たちが聞けば卒倒してしまいそうな台詞セリフが、笑顔の弟子から飛び出した。だが、この弟子の言葉が『異常』でなく、この屋敷に住まう弟子たちにとっては『正常』であり、そして『総意』だった。現に、この場に居らぬ弟子たちは嬉々として襲撃者じっけんたいたちと戯れている。


「ハハハ!皆、楽しそうで何よりだね」

「はい〜〜ナハハハハ!」


 笑顔浮かぶ師匠に対して弟子エルンストも実に良い笑顔だ。エルンストは顔の作りがなまじ良い所為で、その馬鹿笑いが容姿から齎される雰囲気と全く合わないのが残念だった。


「あーー師匠、エン兄。先ほど姉貴から連絡がありましたっす。『手筈は全て整いました』とのこと」


 やや引き気味の弟子その1。盛り上がる師弟に割って入るのには勇気が必要なのだ。

 しかし、弟子その1から齎された情報に対して、師匠と弟子その2はそれまでの笑みを消して真面目な表情を作った。


「そう。『ご苦労様』と伝えて」

「はい」

「それと、皆に『屋敷の中へ入るように』とも……」


 弟子たちが日々を楽しく過ごしている事が何より重要だと言って憚らない師匠。そんな親バカな師匠からすれば、自分の命を狙う襲撃者は弟子こどもたちへ与える玩具としての価値しかない。


 ーでも、そろそろお遊びも終いにしなければねー


 師匠は自分の命が狙われる事に対して疑問はなかった。これまでも大なり小なり、定期的にこのような襲撃はあったのだ。今更驚きもない。等級10の称号を持つ魔導士ともなればーーしかも、それがタダの民間人から輩出された魔導士ともなれば、知らぬうちに貴族連中からの恨みも買ってしまうというもの。表面的には潔癖クリーン印象イメージのあるシスティナに於いても、少し背面に視線を向ければ、自己の利益や思惑の為に人命すら利用しようとする者の企みを知ることができる。

 しかし、師匠にとっては国がーー貴族が潔癖クリーンであろうが無かろうが、何方どちらでも構いはしない。何よりも大切な事は『家族の平穏』なのだ。


「さぁ、お片付けといこうか?」


 立ち上がると同時にカツンと足裏から乾いた音が響いた。師匠は白いローブを翻しながら屋上の中央から庭園に面したふちの方へと歩みゆく。


 ーカツン、カツン、カツン、カツンー


 夜風によって師匠の黒髪がサラサラと流れていく。白いローブと黒い髪とが絡まるように背後へと流れ、美しい軌跡を作り出していた。すると次第に師匠から柔らかな光が滲み出し、その光はやがて淡い輝きとなって揺らめき出した。


「ーー君たちもプロだから捕まえても情報は漏らさないでしょう?だからね、私は初めから君たちには何の期待していないんだよ」


 襲撃者に求めたのは弟子たちの遊び相手。それ以上でも以下でもない。だからこそ、弟子たちが遊びを堪能するまで放っておいたのだ。ズボラな師匠からすれば、後片付けまで弟子たちに任せてしまいたかったくらいだった。しかし、それでは監督不届きになってしまうと思い直し、こうして重い腰を上げて現れた次第だった。


「これでも一応、彼らの師匠おやだからね」


 ーーカッコイイところを見せようじゃないか?


 そう、誰にいう事なく語る師匠。


 ーカツンッ!ー


 師匠は右足をやや強く打ち鳴らした。その途端、ブワッと足下から赤い光が立ち昇った。

 広がる大円の魔術方陣。魔力によって描かれる幾何学模様。描かれていく術式。まるで大輪の華のように美しい方陣は一人の魔導士の魔力を介して、架空から現実へと現象が可視化されていく。


「な、な、な、なんだ……⁉︎」


 屋敷の屋上に展開されゆく魔術方陣は、正門前に佇む襲撃者たちの目にも留まっていた。

 屋上から立ち昇る赤い光が、まるで月に吸い上げられていくかのよう。幻想的でありながら同時に恐怖感をも抱く光に、襲撃者たちは身体を震えさせた。


「夜も更けた。子どもたちはもう眠る時間だよ」


 ブワリと広がる光の輪は《結界》。予め屋敷を囲むように仕掛けられていた《結界》が可視化される。《結界》は屋敷を囲む物と屋敷の敷地内全てを囲む物と、二重に施されていたのだ。内側の《結界》は屋敷の中の住人を守る為の物。外側の《結界》は襲撃者たちを内へ留める為の物だ。そしてこれらは新しい術式によって、組み立て、変わる。


「遊び疲れたでしょう?早く雇い主の元へお帰り」


 まるで大人が子どもに言い聞かせるような口調で、師匠は襲撃者たちに言い放った。


「《転移》」


 《力ある言葉》に呼応し術は発動した。その瞬間、赤い光が屋敷を中心にして広がり、一瞬で二重の結界内全てを包み込んだ。


「俺たちは一体、何に手を出ーーーー」


 襲撃者の言葉はそこで途切れる。襲撃者たちは強制退場させられ、この屋敷から離れざるを得なくなったからだ。

 しかし、自分の身体が溶けるように他の空間に投げ出される瞬間、襲撃者の隊長は屋敷の屋上にいる人物を包む衣ーー白いローブをハッキリと目に留めた。純白のローブは月光に照らされ、金糸がキラキラと輝きを浴びていた。


『国家魔導士』


 その単語が脳裏を焼く。しかし、その事実の正否がどうであれ、自分たち襲撃者が魔導士に敗れ、任務遂行ならず退場させられたのは事実であった。



 ※※※



「では師匠。後は我々にお任せください」


 ゴミ掃除を終えた師匠に、弟子その2ーーエルンストは軽く頭を下げた。


「じゃあ、お言葉に甘えて休むとしようかな?」

「そうなさってください」


 エルンストは弟子その1に目配らしせすると、師匠を屋上から自室へと案内するように指示した。親バカな師匠だが、弟子たちもまた、師匠を敬愛してならなかったのだ。師匠はそんな弟子たちの気遣いに小さな笑みを浮かべ頷くと、屋上と階下を繋ぐ扉へ向かい足を踏み出した。その時……


「ーーあ、でも、小腹が空いたかも。だから……」


 弟子その1がふと上げた視界の中には、ワザトラシク目線をウロウロと動かしている師匠の姿が。その姿を見た弟子その1は、それまで何処か硬かった表情が緩めた。フッと笑うと軽い口調で了解を示した。


「あーハイハイ。夜食っスね?」

「君は本当に察しが良いねぇ〜〜」

「ふふふ、イイ弟子っしょ?」

「ああ。良い弟子たちだよ」


 弟子その1と弟子その2は師匠からの褒め言葉のみで顔を緩ませ、胸を暖かくさせられるほど、師匠の事を敬愛して止まなかった。


「こんな時間スから、あんましガッツリした物は作らないスよ?」

「大丈夫。そんな事言っても君は私の好物を作ってくれる筈だから……」

「……」

「ハハッ。違いねぇ!ーーあ、俺は麺が食べたいなぁ!」

「私は先ずは暖かいスープを」

「〜〜〜〜分かりました!今夜は何でも食べたいモノを言ってください」

「わーお、太っ腹だわ。そりゃ」

「持つべきものは優秀な弟子だねぇ?」

「あーもー何とでも言ってくださいっす」


 弟子その1は照れた表情を隠すように、師匠を放置して、先に階下へと降りていった。そんな可愛い弟子その1の背を見送りながら、師匠は弟子その2と共に階下へと降りて行くのだった。


 こうして師匠たちの夜長は終わりを告げた。しかしこの日、この時刻、ラスティより遥か東方に位置するアルカードに於いて、大規模な襲撃事件が起きた事を知るのはまだ先の事だった。




お読み頂きまして、ありがとうございます!

ブックマーク登録、感想、評価など、大変嬉しく思います!ありがとうございます(=´∀`)人(´∀`=)


裏舞台10『月光に笑む』をお送りしました。

師匠と愉快な弟子たちの宴。

いかがでしたでしょうか?

アルカード襲撃ーーアーリアと同時に師匠も襲撃を受けていました。しかし、魔王城や伏魔殿とも引けを取らぬ屋敷の住人相手には、プロの暗殺者集団と云えども太刀打ちできず。敢なく、強制退場となりました。

それでも、暗殺者集団を雇った側からすれば、弟子アーリアから師匠の目を晒す至った事だけでその『目的』は達成された事になります。


次話も是非、ご覧ください!

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