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魔宝石物語  作者: かうる
魔女と塔の騎士団
246/497

トアル侯爵の甥の天敵1

※東の塔の騎士団編※

 これまでの人生で自分の思う通りにならなかった事など一度もなかったベントレンにとって、何故、このように自分の要求が通らぬのかが不可解だった。


 不当な解雇を通告した『塔の騎士団』の騎士団長、解雇通告の撤回を取り下げない軍務省長官、再雇用を認めようとしない近衛騎士団長、まるで邪魔者のように役所をたらい回しにする貴族官吏たち……その全てが気に入らなかった。ベントレンは『何故、自分の要求を無碍になどできるのだろうか?』と内心、本気で嘆いていたのだ。

 自分は父親からの命令に従事しただけなのだ。そもそも発端となった『塔の魔女』はシスティナに於いて重要な役割を担っているとはいえ、その者はただの平民出身の魔導士。貴族子息の自分が平民魔導士になどに何故、礼を持って接さねばならぬのか。上司や上官であろうと自分よりも爵位が低い者からの命令には常々、虫酸が疾る思いを持っていたベントレンにとって、自分の置かれた状況は許し難い屈辱のように感じていたのだ。

 今もこうして下げたくもない頭を下げ続けているにも関わらず、近衛騎士団長は自分ベントレンの要求を飲もうとしないばかりか、説教を含む叱責を投げかけてくる始末。『規則とは俺の都合の良いように利用するモノ』だと疑わないベントレンにとって、近衛騎士団長の言う『騎士たちに規則を守らせる事が己の仕事』との言葉には何ら共感出来ずにいた。

 胸のムカつきに耐えながらベントレンが近衛騎士団長に懇願していたその時、正面扉が開かれた。



 ※※※



 ザワザワと正面扉から数人の青年騎士が手に訓練用の長剣を携えて鍛錬場へと入って来た。青年騎士たちは近衛騎士団長を目に留めるや立ち止まり脚を揃えると最敬礼を持って礼を示した。


「おう。お前らも鍛錬か?」

「ええ。久方ぶりに旧友が東方より帰ってきていたので鍛錬に誘った次第であります。それにしても、このような時間に騎士団長が此処におられる事の方が驚きましたよ」

「ああ、今日は珍しく会議が入ってないんでな。王宮アチラには副団長あいつを置いてきた」

「なるほど……。で、そちらの御仁は?」


 近衛騎士団長は青年騎士の一人ーー金髪碧眼のやたらと容姿カオの整った男に話しかける。王子様と言っても過言ではないほど容姿端麗な青年騎士は近衛騎士団長と一通り話し終えると、その涼やかな目線を動かして未だ近衛騎士団長の足下に這い蹲っている青年ベントレンへと視線を落とした。


「団長、こちらで処理しましょうか?」


 イケメン騎士は爽やかな王子顔を1ミリも変化させずに問う。近衛騎士団長はイケメン騎士の完璧な微笑を目に留め、『おっかねぇヤツだ』と内心苦笑した。どう処理をするのか知れたものではないが、確実にベントレンには死よりも屈辱的な未来が待っているように思えてならなかったのだ。


 ーまぁ、コイツの未来なんか知ったこっちゃないがなー


 近衛騎士団長の憂いを取り払おうと提案してくれる部下の思いを有難く頂戴し、この機会に部下たちに羽虫ベントレンを押しつけても良いものか思案していたその時、イケメン騎士の背後から一人の青年騎士が進み出てきた。すると、青年騎士は羽虫ベントレンを繁々と見定めると「あぁ!」と素っ頓狂な声を出したのだ。


「あ〜〜キミ、どっかで見た顔だと思ったら、アーリアにコナかけて来た騎士くんじゃん。ーーあ、今は無職ニートだから『元』騎士くんかな?」


 その言葉にバッと顔を上げたベントレンはそこにある顔を見て、目を見開いた。


「てめぇは!」


 猫の毛のように柔らかな茶髪、猫のように闇夜に光る琥珀色の瞳、内心を読ませる事のないニヤついた微笑み、一見チャラついて見えるがその実は一切の隙を見せぬ物腰。アルカードに於いて『塔の魔女』の側で護衛する姿を幾度となく見てきたベントレンは、この青年騎士の事が嫌いで嫌いで仕方がなかった。


「はーろー?元気してた?」


 青年騎士はニヤニヤと口元に不適な笑みを浮かべながらベントレンを見下ろし、ヒラヒラと手を振ってきた。まるで親しい旧友にバッタリ出会った時のような所作だが、実際にはベントレンを小馬鹿にしているのは確実だった。それが分からぬ程の馬鹿ではなかったベントレンの頭にカッと血が昇った。


「元気なワケねぇだろうが!テメェらの所為せいで俺は騎士団をクビになったんだ!どーしてくれるんだ、この落とし前⁉︎」

「君の勤務態度が最悪だったからクビにされたんでしょ?それを僕たちの所為にするなんて、全く御門違いだよ」


 一問一答のようにズバズバと斬られていく己の言葉にベントレンは冷静さを欠いていた。それどころか事ここに来て、これまで受けた様々な屈辱と溜まっていた怒りとが一気に吹き出し始めたのだ。ベントレンは沸騰した血が駆け足で指先から頭まで駆け上がっていく感覚に囚われた。全身が燃え上がる程に暑く、血が瞬く間に沸騰して汗と共に蒸発するのではないかとまで思えた。そうなればもう、ベントレンには己の感情の爆発を止める術などありはしなかった。


「魔女の腰巾着風情が生意気な!ハンっ。元を正せばテメェのような平民が騎士だと言うのが全く持ってオカシイじゃねぇか?どんな汚ねえを使ったのかは知らないが、お前の方こそサッサと職を辞して平民世界へ帰るんだな!このドブネズミがッ」 

「何の事言ってるのかサッパリ分かんないなぁ〜〜。だって、僕は汚いなんて何にも使ってないからね。僕は宰相閣下にお願いされたからアーリアの護衛を引き受けた。ただそれだけだよ。まぁでも、僕はそんなお願いなんてなくったって、彼女の事は守るつもりではいたんだけど」


「アーヤダヤダ」と首と手を同時に振る猫目の青年騎士。全身から出るベントレンへの嫌悪感を隠そうともせず、挑発とも取れる言動でベントレンの精神をチクリチクリと刺激してくる。


 ープツリー


 何か糸のような物が切れる音がした。すると、青年騎士の言動に肩をプルプル震わせていたベントレンの身震いがピタリと止まったのだ。


「護衛が護衛なら魔女も魔女だな。宰相閣下に取り入ろうなど、とんだ売女ばいただ」

「ーーハァ?」

「何だ?平民風情が貴族様に文句でもあるのか?」


 ゆらりと首を上げたベントレンの瞳の色は黒く濁っており、青年騎士に対しての明確な殺意が込められていた。燻っていた怒りは燃え上がりジワリジワリと憎しみへと変わり、憎しみは殺意へと移行する。今、ベントレンの中にあるのは焦燥感ではなく、目の前の青年騎士に対しての殺意のみ。己の意思通りに動かぬ者たちへの怒りはそのまま全て、眼前の青年騎士への殺意へと変わり果てたのだ。


「そうだろう?平民魔女の後見に王太子殿下と宰相閣下がつかれるなど、俺じゃなくともオカシイと感じているさ。となれば、魔女が魔術をもってお二人を誘惑したか、それとも色仕掛けでもして取り入ったか……ハハハ!あの魔女、顔に似合わず股の方は緩いんだなぁ?」

「…………」


 ベントレンの口から紡がれる妄言虚言に、猫目の青年騎士の表情から笑みが消えていた。無表情。但し、その虚無の中を覗こうと思わぬ方が良い。そこには誰も見た事のない程の闇が渦巻いているのだから。


「ーーへぇ。いいのかな?そんな事言っちゃって。ソレって、アーリアを貶めると同時にアルヴァンド宰相閣下とウィリアム殿下をも貶める事になってるって、君は気付いてる?」


 やや俯き加減の青年騎士の表情は門から差し込む逆光によって、ベントレンからは正確に視覚する事はできなかった。出来ていたなら、彼はこれ以上の暴言を止めていたかも知れない。

 青年騎士はその口元さえ笑んでいた。一方でその瞳は、獲物を見つけた蛇が長い尾を使ってそろりそろりと囲い込んでいく時のような鈍い輝いを浴びていた。


「あん?どういう意味だ?」


 ベントレンは己の持つ殺意の感情にのみ支配されていて、青年騎士から放たれ始めた威圧には未だ気づく事はない。


「だってそうでしょ?キミは『アーリアがお二人を籠絡した』って言ったんだよ?」

「その通りだろうが」

「ふーん。その言葉を認めるんだね?ーーじゃあ、お二人は魔女の魔術や甘いお誘いを受けて籠絡されちゃったワケだ?って事は、この国の王子様や宰相閣下はハニートラップに簡単に引っかかっちゃうほど能無しだって事なんだね?」

「なッーーーー⁉︎」


 ベントレンは青年騎士の言葉に口を大きく開けて絶句した。この時になって己の放った言葉の意味を漸く理解し始めたのだ。


「何をそんなに驚いているのさ?キミが言った言葉でしょ?」

「俺はそんな事は……」

「股が緩い女、ねぇ?キミの言い分が正しいなら、この国の王族も貴族も股が緩い事になるよね。あぁそれに、もし、本当にお二人がアーリアに誘惑されているのなら、彼らの周囲にいた人たちはそれを許した事になる。側近や近衛の皆様は主君を嗜める事もなかったと?ふーん、そーなんだー、へぇ〜〜」

「いや、ちが、それは、それはッーー!」

「違うの?僕にはキミの言葉がそのように聞こえたんだけど……」


 感情に支配されていたと言ってしまえばそれまでだ。しかし、それは貴族にとっては最も恥ずべき行為と言えた。感情に身を任せ、とてつも無いミスをしでかしてしまった事に気づいたベントレンは、これまでにない程の焦りを覚えた。

 憎き魔女と護衛騎士とを貶める為に放った言葉が、裏を返せば王太子殿下と宰相閣下をも貶めていたのだ。平民出身である魔女や護衛騎士を貴族であるベントレンがどれだけ貶めようが罰せられる事はない。しかし、ハーベスト侯爵家と言えども分家の出身でしかないベントレンがアルヴァンド公爵家当主をーー更には王太子殿下を貶める事などあってはならない。

 これまでの会話を振り返ってみれば、ベントレンが宰相閣下と王太子殿下を貶した事は明確。しかも、ベントレンの言葉を眼前の青年騎士だけではなく、事の成り行きを冷めた目で見守っていた近衛騎士たちがバッチリ目撃しているこの状況。この場には近衛騎士団長も混ざっており、彼ら近衛騎士から放たれる威圧感オーラからはベントレンに対する嫌悪感と殺意とが視覚できる程であったのだ。

 近衛騎士とは王家に認められた精鋭集団。実力は勿論のこと、国と国王、そして王家に対する鋼の忠誠心は疑いようもない。そんな彼らが心より忠誠を誓う王太子殿下を貶める言葉を聞かされたのだ。しかも、その言葉が『元』騎士から齎されたものならば、その怒りも如何許りになるか計り知れない。


 この場で近衛騎士たちに叩き斬られても文句など言えない状況を作り出したベントレンは、周囲から向けられるキツイ視線に身震いを起こし始めたその時、先程、近衛騎士団長アレクシスと会話を交わしていた金髪碧眼イケメン騎士が猫目の青年騎士の肩をトントンと叩いた。


「オイ、リュゼ。この男とは知り合いなのか?」


 金髪碧眼イケメンの騎士に問われた猫目の青年騎士ーーリュゼは、肩越しに振り返りながら頭を振った。


「ん?知り合いたくて知り合ったワケじゃないよ。彼がアーリアにチョッカイかけて来たから知ってるダケ」

「ああ。あの馬鹿共の一人か」


 金髪碧眼の騎士ーージークフリードは王太子ウィリアム殿下の護衛の一人としてアルカード視察へと追随していた為、『塔の魔女』アーリアが巻き込まれた騎士団の綱紀粛正の現場に居合わせていた。その為、リュゼから齎された少ない情報だけで眼前の青年が『誰』なのかを即座に理解するに至った。


「そ。あ、ちょーど良いや。獅子くんさ、僕たちの話聞いてたよね?」

「まぁな」

「獅子くんはどう聞こえた?彼の言葉」

「俺には『魔女が売女ばいたで魔術を使って宰相閣下と王太子殿下を籠絡』、『王太子殿下と宰相閣下は判断能力皆無の尻軽』、『側近、並びに近衛は無能者の集まり』と聞こえたが?」


 ーヒュウゥゥゥゥゥウウウー


 春も盛りだと言うのにもう木枯らしが吹く。


 ズバリそう言い切ったジークフリード。なまじ顔が整っているだけに、その冷めた無表情には妙な迫力があった。背景は差し詰め猛吹雪ブリザード。アイスブルーの瞳には絶対零度の殺意が宿っている。指の先は長剣の鞘に触れたまま。その姿勢からも、彼がどれだけの怒りをその身の内に秘めているのかという事が、誰の目にも理解できた。


「随分と偉そうな物言いだな?貴様」

「ひっ!ジークフリード殿……」


 ズズイと一歩前へ出たジークフリード。ジークフリードの威圧感に押されて知らずの内に詰められた分だけ後退していたベントレン。


「ほう?俺の名を知っているのか?」


 ベントレンは乾いた唇を舌で舐めながら漸くの思いで絞り出すように声を出した。そして、その上擦った声で必死に弁明を紡いでいく。


「勿論ですよ。あぁ、先程の言葉は売り言葉に買い言葉、貴殿の父君に含む所など全く御座いまーー」


 言い切る前にジークフリードはまた一歩、ベントレンとの間を詰めた。


「何を勘違いしているか知らんが、俺は父親を貶された事について憤っている訳ではない。この国で最も尊いお方のお一人、ウィリアム王太子殿下を侮られた件に憤っているのだ!」


 鬼神の如きジークフリードの怒声に、ベントレンはヒュッと息を飲んだ。


「この王城に於いて親子だ血の繋がりだなどと、何の関係があろうか?システィナという国と国王陛下、そして王家の為ならば互いの身さえ利用するのが貴族というもの。我々は国を守る同士なのだ。そこに親子の情などありはせん!」


 ピリピリと肌を刺すような低い声音。ジークフリードが一言発するごとに周囲の温度すら下がっていくような感覚さえした。


「唯一守るべきは国。そしてその礎である王家だ」


 ージリ、ジリ、ジリ……ー


 ジークフリードが一歩また一歩とベントレンを追い詰めていく。


「貴様はこの俺をジークフリード・フォン・アルヴァンドと知っているのだったな?ならば、我がアルヴァンド公爵家が国と国王陛下、そして王家に絶対なる忠誠心を持つ事を知らぬ筈はなかろう?我が家名はソコソコ有名らしいからな」


 ソコソコどころかシスティナに於いてアルヴァンド公爵家を知らぬ者はいない。『アルヴァンド公爵家』の名はシスティナを始め、近隣諸国の貴族社会でも有名であった。何故ならば、ジークフリードの先程の言葉通り、アルヴァンド公爵家がシスティナ王家の最後の砦、アルヴァンド公爵家を倒さずしてシスティナ王家を倒す事など不可能であるからだ。建国より三百五十年。それこそがシスティナ王家を守る為にアルヴァンド公爵家が築いた歴史であり、それはハーベスト侯爵家の歴史とは比ぶるべきもない差であった。


「っ〜〜〜〜‼︎ 貴様の所為だ!」


 追い詰められたベントレンは、追い詰められた獣のような呻き声を上げると、ジークフリードの背後でニヤけた笑みを浮かべてコロコロと変わる自分の顔色を眺めてくるリュゼへと、その怒りの矛先を変えた。リュゼは「ハァ?」と首を捻る。逆ギレを起こして詰め寄ろうとしたベントレンを、身体の大きなジークフリードを盾にして躱す。


「逃げるな、平民!貴様の所為で俺はかかなくても良い恥を掻いてしまったではないかッ!どうしてくれるか、この始末をっ⁉︎」


 ベントレンの怒りは最早もはや、平民騎士リュゼにしか向ける事はできなかったのだ。


「ハァ?どーしてって言われてもさ。キミが勝手にバカやらかしたのに、何で僕がキミをどーにかしなきゃならないワケよ?って言うか、僕とアーリアの方が被害者ヒガイシャなんだけど?」

「言うに事欠いて『被害者』とは!随分と傲岸不遜な平民だな」

「傲岸不遜って意味、分かって言ってる?そりゃ、キミの事じゃないのかなぁ?」

「煩いッ!そもそも、この王城は貴様らのような平民がうろついて良い場所ではないわ。サッサと職を辞して魔女共々に野へと帰るのだな!」


 リュゼの言葉は正論であったのだが、ベントレンは卑しき平民騎士の言葉など聞く耳はなかった。貴族にはその権力を傘に力を振るう事を許された者。その代償として振り分けられた領地を管理する責任を有しているとも言い換えられる。だが、ベントレンは権力に付随する責任を理解せぬままに、その権力のみを行使する事に長けていた。


「うわぁーお。このヒト、ホント〜にバカなんだね?アーリアも僕も、任された仕事をしているだけなんだよ?僕らはキミみたいに責任感皆無の貴族子弟おぼっちゃんじゃないからね。頼まれた仕事は最後までキッチリ熟すのが当然だと思ってるワケ。それに、僕たちの行動が仕事を頼んでくれた人たちの評価に繋がるって事を知ってるから、僕たちは与えられた仕事に手を抜くような半端なコトはできない。つまり、そーゆーコトなんだよ」


 ジークフリードの背後からという少々情けない状態ではあったが、リュゼの言葉は実に理に適ったものだった。その場にいた近衛騎士たちーー近衛騎士団長もベントレンの言葉よりもリュゼの言葉の方に理解を示した。同時に、リュゼとこの場に居らぬ『塔の魔女』アーリアの難しい立場を慮るに至った。


「だからね。君たちみたいなボンボンに何を言われても気にしない、気にならない、気にする必要がないの。キミがその少ない脳味噌で少しでも理解してくれると嬉しいんだけどなぁ〜〜」

「なんだとォッ!」

「僕の方こそキミに忠告してあげる。今のキミは此処に居るべきじゃない。サッサとお家へ帰りなよ。ベントレン・フォス・ハーベスト殿」


 リュゼの本音トークにベントレンのその顔色を益々赤くさせた。そして遂に、リュゼの嘲笑を受けて炒った乾燥玉蜀黍ポップコーンのようにベントレンの理性は弾けて飛んだ。


「ーーーーッ⁉︎ 決闘だ!貴様に決闘を申し込む!」



お読み頂きまして、ありがとうございます!

ブックマーク登録、感想、評価など、とてもとても嬉しいです!ありがとうございます‼︎


※もし宜しければ、誤字脱字等を教えて頂ければ幸いです(*'▽'*)


東の塔の騎士団編『トアル侯爵の甥の天敵1』をお送りしました。

ベントレンVSリュゼの闘いが火蓋が切りました。

自分の思い通りに事が運ぶと信じて疑わないベントレンには最も憎むべき平民騎士リュゼの言葉など、いくらそれが正しい言葉であったとしても受け入れる事などあり得ません。受け入れた瞬間、ベントレンの中でこれまで培われてきたアイデンティティの崩壊へと繋がるからです。

しかし、そのような事情などリュゼにはーーそして近衛騎士たちにも何ら関係のないこと。彼ら騎士にとって、己の事情よりも仕えるべき大切なあるじの存在の方が何より大切であって、その大切なあるじを貶められた事は決して許せる事ではないのです。


次話『トアル侯爵の甥の天敵2』も是非、ご覧ください!

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