孤独意識 序
―――――――夜。
それは、様々なモノを無意識に抱擁する”泥沼”のような闇である。
――――――だが。
鉄筋コンクリートの廃墟から、かつん。かつん。と足音のような音が聴こえた。
――――――錆びついた階段。
――――――人気のない部屋。
――――――ひとりの少女はその錆びついた階段を上っていく。
・・・その足取りは何かに導かれるように、
・・・まるで、飛ぶことを望んでいるかのように、
・・・少女は、屋上に足を進めた。
「――――――――――――」
廃墟の屋上に出る。
その少女は、まだ歩みを止めなかった。
・・・この屋上からアスファルトの地面まで、一体どのくらいの高さがあるのだろうか。
・・・普通に考えても相当高い。
―――――――だが、少女はそれでも歩みを止めるつもりはなかった。
「――――――――――――」
――――――少女の歩みが止まる。
――――――屋上の端にある、膝丈ほどのブロック塀。
――――――少女はそこに乗り、ある詩を詠った――――――
”――――――I always did it arlone.(私はいつも独りでした)
―――――――My heart always has companions.(私のココロはいつも孤独で)
―――――――My heart is always lonley,(私のココロは誰にも判らず、)
―――――――Still I did it alove.(それでも私は独りでした)
―――――――My consciousness has died,(私の意識は宙を飛んで、)
―――――――I will fly my dead body.(貴方のもとに逢いに行きます)
―――――――My consciousness is always lonely,(私の意識は常に孤独りで、)
―――――――So,I am,
―――――――I’m didad―――――――”
――――――背中から落ちる少女。
――――――この姿勢であれば、後頭部から全身を強打し、死に至るだろう。
――――――瞬間。
くちゃ。と、肉体が死ぬ音がした。
「――――――――――――」
―――――――飛び散る鮮血。
―――――――アスファルトの黒い色を朱色に染めていく。
・・・・・・その姿はまるで、人形のような美しさがあった。
――――――少女の意識は深い泥沼の闇のナカへと吸い込まれていく。
――――――少女は最期、その細い両腕を伸ばした。
――――――”ああ、お友達が出来た!”と云うかのように微笑み――――――
――――――少女の意識は、深い泥沼の闇にのまれていった。