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第三話 『名も無き村』
私の孫は四人いる。
一人は都に住むじいさんの所に。後の三人は同じ家に住んでいる。一人は生まれて間もない子。一人は九つという若さで娘と同じくらいしっかりとした子。あとの一人が、私達の力を継いでしまった子。
生まれて間もない頃は、とても明るく活発な子だった。しかし、年を重ねるにつれ、何かに怯えるようになってしまった。
怖い。
怖い。
怖い。
何が怖いかもわからない恐怖に怯えていた。村の同い年の子は、外に出て元気に動いていたが、その子だけは、怯えて外に出なかった。出れなかった。
その子を家の外に出そうとすれば、息切れを起こし、顔色を悪くさせ、汗が吹き出ていた。
一緒に出ようとしていた娘の服をギュッと掴んで離そうとしない。そして、一歩、家から出れば、あまりの恐怖に倒れてしまうほど。
その子は恐怖に囚われていた。
何がそうなるのかは分からない。
分からないけれど、その子の恐怖は伝わってきた。
それは、見て伝わるわけではない。
実際に、伝わってくる。
ヒイラギの恐怖が、周りに共有される。