表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒイラギさんの物語  作者: デク
第零章 『始まり』
1/3

第一話 「ちょっと怖がりなだけ」



とっても、怖い。


私は、一昔前にこの世界に生まれて伸び伸びと生きてきた。しかし、常々思うのです。


私は。


この世界に。


生まれるべきではなかった、と。


村の周りに森があり、その向こうに恐ろしい生き物たちが住まう山があります。この名もない村で生まれた人たちは10を超える頃には森に入り、狩りをして暮らして生きていくのです。私も、本来はそうすべきだと、分かってはいるのです。でも、どうしても。私には森に入るなんてこと、出来ないのです。


幸いなことに、私は産んでくれた人や、育ててくれた人に恵まれていたようで、言ってくれるのです。


『出来ると思った時にすれば良いんだよ』

『怖いまますること無い』

『自信が出てきたら、一緒に行こう』


と。私は、その言葉に安堵しながらも、焦りを感じて、昼は街で出来ることをしながら、夜、皆が寝静まった頃に弓を引く。こんなことじゃあ、いけないことくらい、私には分かっているのです。唐突に寂しくなり、怖くなる。笑顔を心がけて馬鹿みたいに振る舞うのです。


それでも。


『逃げてるだけじゃない』

『出来るくせにやらねぇなんてタダの穀潰しじゃねぇか』

『何もしないのに守られて、恥ずかしくないのかしら』


村の人か、私の心の中に住まう誰かが言ったのか。私は、その言葉に何も言い返せない。心中では考えてるのに、それを、言い返せない。その度に、震えて泣いてしまう。


私は、怖くて、逃げ続けるのだ。


狩りから。


人から。


外の世界から。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ