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異世界魔法は電気でも動く  作者: めのです。
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第二話

まぁ、これぐらいの執筆スピードで行けたらなと

シャイアン共和国 首都 某所



「んっ……え……?」


 森の中で意識を失ったはずのエレナはここで目を覚ました。周りを見渡すと、窓が一切無い見知らぬ薄暗い部屋にたくさんの男達がいるのがわかった。次に自分の手首を拘束され、身につけているものがボロ布一枚だけである事に気付いた。


「おや、目覚めてしまいましたか」


 そう言ったのは1人だけイスに座っている男だった。


「あ、あなた達は誰でここはどこなの?私は森にいたはずなんだけど?」


 ここで怯えてはいけない、そう思って強気を装い質問をするエレナ。


「ここはシャイアン共和国首都。私達は過激派と呼ばれる者である……ことぐらいは教えてあげてもいいでしょう、プリンセス・エレナ」


「なっ……!」


 シャイアンの過激派といえば王国でも警戒対象にも指定されている。それ故に自分の正体が知られていることはもう驚きはしない。だが、これは明らかに……

 殺される…っ!

 何か少しでも抵抗を!


「手首を拘束したぐらいで私が大人しくなるわけないでしょっ!」


 エレナは咄嗟に解放魔法(リリース)で手首の縄を解き、イスに座っている男に手を向けて魔法を放った。


風斬魔法(ウィンドカッター)!」


 彼女は魔術師としての才能には自信があった。王女という身分であるが故に、幼い頃から両親や高位魔術師達による指導を受けていたから。現に魔法によって拘束されていたはずの手首は既に自由になっている。


 しかし。


 放った魔法は男に届くことなくスッと消滅した。


「えっ」


 思わず素っ頓狂な声を出してしまう。


「残念ながらプリンセスの魔法力は把握済みです。あなたも知っているでしょう、魔法学においては我々の国の方が上を行く事を」


 男はこう言いながら、隣に立っている魔術師と思われる男に指示を出した。


 エレナは恐怖した。途端に魔法陣が展開されるような音が耳に届いた。恐る恐る足元を見る。案の定そこには青白く強烈な光を放つ一つの魔法陣が展開されていた。


「さようなら」


 イスに座った男はひと言、そう言った。周りの男達もそれぞれ皆笑みを浮かべている気がした。


 エレナは、絶句した。

 見覚えのある魔法陣。

 転移魔法のそれと似ているが、違う。

 1度だけ、書物で見かけただけの模様。

 しかし、エレナはそれを忘れることはない。

 なぜならこれは…


「まさかっ、異世界転移魔法(ラストテレポート)……!」


 これの対象者となり、異世界へ飛んだ者達はその後この世界への帰還が確認されていないと言われ、「ラスト」テレポートたる所以である。対象者の何もかもがこの世から抹消される。もはや死である。

 残るのは絶対に発見されない「行方不明」という事実だけ。


 いやだ。それだけはいやだ。家族、友人、誰にも知られないまま死体も残らずただ「行方不明」となるなんて。あ、そうだ…


「ひとつだけお願い、訊かせて。私と一緒にいた仲間達はどうなっ…」


 しかしその願いも虚しくオーガスタ王国王女、エレナ・オーガスタはこの世から消えた……



□□□□□□□□



 桜木和也(さくらぎかずや)は自分の目を疑うよりほか無かった。朝起きたらめっちゃエロい格好をした金髪の美少女が目の前にいたからである。


バタバタッ


 思わず布団から飛び起きる。するとその美少女もこちらに気付き、目を丸くしてから警戒心をあらわにした。

 だがこのままいた所で何にもならない。そう思い、和也は恐る恐る問いかけてみた。


「えっと…どちら様?」


「あ…え、エレナ、よ…」


 彼女はそう答えた。やっぱ外国人…なのかな?日本語分かるんだ…よし、この調子で次行ってみよう…和也は続けて問いかけた。


「どこから僕の部屋に入ってきたの?」


「あ…あそこよ」


 エレナと名乗る少女が指さした方を見ると、そこには直径1m程の魔法陣があった。


「え、何あれ……」


「その…信じて貰えないかもしれないけど…私多分異世界…から来たみたいなのよ」


 和也の頭にはただ、「マジかよww」とだけ浮かんだ。



 さて、和也は一般的な男子である。故にボロ布一枚だけ羽織った、か弱そうな女の子の言葉を頭から否定することは出来なかった。そこで疑ってかかるのではなく、エレナの話す言葉を本物と仮定して話を進めることにした。


「魔法とかって使えるの?」


 和也は一番気になっていたことを訊いてみた。現代の高校生にとって、魔法はひとつの憧れでもあるものだ。


「え、ええ」


 そう言ってエレナは右手の人差し指を天井に向けて「照明魔法(ライト)」と唱えた。するとその人差し指を中心にして朝の薄暗かった部屋が明るくなり、今まで見えていなかったエレナの際どい部分までもが明らかに……


「うん、わかったわかったもういいよ、凄いなぁ」


「あら、そう?」


 エレナはその明かりを消した。和也がオドオドしはじめたのを切り口に今度はエレナが喋り始めた。


「次はあなたが名前を答えてくれない?」


「え、あぁ、桜木和也だよ」


「サクラギ、と呼べばいいの?」


「あ〜、桜木が苗字で和也が僕の名前なんだ」


「あ、そっ。カズヤと呼べば良いのね」


 和也は固まった。今まで女子から名前で呼ばれたことなど……無かった。いつもクラスの女子からは苗字で呼ばれている和也にとってこれは、初体験だった。そんな感動に和也が浸っていると、エレナがこんな質問を投げかけてきた……



「カズヤ、その、私はこれからどうすれば良いの?」


「え?」


「だから、私はこれから…」


「……知らないよそんなの」


























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