プロローグ:かんたんなしょうかい
彼女は考え付く限りの「優秀ではないけど食えない子」を考えました。
彼氏はモデルがいます。多分。
彼女の真昼は超能力者だ。
「千歳くん!おはよーはよはよー」なんて、間の抜けた挨拶を毎日飽きもせずに投げかけてくる。それに対して俺が手を振って微笑むのが2人の挨拶なのだが、その様子がどうも兄妹に見えるらしく、高校へ登校する際には俺の名字で「川西兄妹」なんて呼ばれたりもする。すると決まって真昼は俺の方を向き、にっこり笑って
「相変わらずわかりやすいねー^^」といった風に俺を煽ってくる。普段は幼稚園児のように鈍くて、運動が苦手で(そういうところも可愛いんだけど)、「携帯の充電がないー!」くらいで俺をよびつけたりするのに、人の隠していることはすぐに読み取ってしまう。
「うんうん、わかるわかる。大人になったらお嫁にもらってねー^^」と軽口を叩く。(そうできるならそうしたいけど!)恥ずかしいじゃないか!読むのやめてくれよ!というと真昼は少し首を傾けて困った顔で
「うーん、千歳くんはそう言うけどさあ。」読まなくても顔に書いてるから誰でも分かると思うよ^^とにっこり笑う。この笑顔が好きで好きになったこともあり、こう言われるのは恥ずかしいけど嫌いってわけではなかったから、自分は真昼に甘いのだろうな、と思う。
真昼が言うには、使える超能力は限られていて、不便、らしい。主に心理系に特化されているため本人は「しんりがくしゃのえんちょうだよー」とよく言っている。それだけでも人の心が読めない俺からしたら充分だと感じるのだが「もっと派手なのがよかったー!」らしい。
真昼は運動も苦手だが、理系科目の勉強も苦手で、来年ちゃんと大学に行けるのか、大変心配している。もし無理だったら、もし無理だったら俺が彼女を養えばいいか。なんて
「千歳くーん^^結婚はまだ早いし、私も頑張って勉強するから、安心して?」突然の登場に驚き、わっ!と声を出してしまう。まったく、真昼には敵わないなーと言いながらも、満更でもない。こんな風に見透かされるのも、悪くはないかなって思ってしまう。もしかしたら俺は相当飼いならされているのかもしれない。
…これから話すのは、俺と、真昼のぬるま湯な日常の話。何でもない話。
次回は本編なので今回より内容を濃くします。
頑張ります。