表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/26

第24話 折れた刀

前回のあらすじ

飛んできた弾の方向を見ていると、急に紗夜が走ってきて愛を斬ろうとしてきた。洩夜は自分の刀で愛を守り、紗夜と洩夜の刀による攻防戦が始まった。

洩夜「はあ・・・はあ・・・。」

紗夜「はあはあ。」

互角に戦い結果は、2人の声が荒くなっただけであった。しかし、刀の斬り合いはそれと真逆で、激しさを増すばかりであった。どんどん刀の刃のぶつかる音が、大きくなっていった。

愛「ここまで来たら、もうどちらかの刀が折れるまで、終わりませんね。」

翔子「えぇ。」

美歌「私達も手伝った方が・・・。」

翔子「いや。邪魔しない方が良いかも。ヘタしたら、洩夜が死ぬかもしれないから。」

簡単に言うと、何もしないのが1番。という事だ。しかし、現在洩夜が押されている状況であった。

洩夜(このままだと・・・負け・・・ん?これは!)

紗夜の刀を押し切り、最初の距離に戻った。

洩夜(このまま上手くいけば、勝てるかもしれない!!)

紗夜(何?あの顔。何か確信した様な顔をして・・・。まさか!)

自分の刀の刃の部分を見ると、ヒビが入っていた。しかも、かなり大きなヒビであった。

紗夜(こっこのままだと。)

洩夜(あいつの刀は。)

紗・洩(折れる!!)

隙を狙って紗夜を斬ろうとした。

紗夜「ぐっ!」

避けようとしたが、間に合わないと思い刀でガードした。その時だった。まるで何も無い所を斬ったかの様な感覚になった。そして、妙に手が軽くなった。そう、刀が遂に折れてしまったのだ。

紗夜「マズイ!」

離れ様としたが、足を滑らせ転んでしまった。右の腰に掛けてあった、ハンドガンを掴んだが、ホルスターから出そうとした時刀を首元に当てられた。2人は息を大きく吸って吐くの繰り返しで、何とか呼吸が落ち着いた。呼吸が完全に落ち着くと、洩夜が口を開いた。

洩夜「さあお前の負けだ。死んでもらおう。」

紗夜はこんな時に、左腕に付けてある腕輪を見た。

紗夜「残り30を超えたわ。もうすぐでゲームが終わるのに、私は死ぬのね。さあ殺したら?」

殺したら?と言われても、斬ろうとしたら銃を撃ってくる。刀で手は出せず、刀を振った時の勢いで弾を避ける事が出来ない。簡単に言うと、紗夜を殺そうとすると、逆に殺されるという事だ。

洩夜(かといって、刀を離すとどんな方法で攻撃してくるかわからない。銃なら避けれるかもしれんが、手榴弾となったら死は、十中八九避けられない。どうすれば・・・。)

悩んでいる時だった。パンッ!と音がして、紗夜のこめかみに何かが当たり、そのまま貫通していった。ビクッとして、弾の音と飛んできた方向を振り向いた。そこには、銃を震わせながら構えている愛が居た。愛は目からは涙を流して、手の力を抜き銃を落とした。すると突然、両手で頭を抱え込んだ。

洩・翔・美「愛!」

愛「2人も殺した・・・。私も人殺し・・・。犯罪者・・・。」

2人も殺した事によって、これまでに無い恐怖が愛に襲ってきた。この島に来て、人が死んでいくのを何度も見た愛だったが、その恐怖は洩夜や翔子が居た御陰で、そこまで恐怖というものは感じなかった。しかし殺したとなれば、どうしても恐怖を感じてしまう。やはり恐怖と一言で言っても、別の種類の恐怖なのであろう。人を殺した者にしか味合わない恐怖。この恐怖が愛を襲った。

愛「怖い・・・2人が私の周りに・・・。」

美歌「2人?」

洩夜「多分銃撃戦の時に殺した奴と、今の奴の残像が見えているんだろう。」

翔子が愛の背中を撫でながら

翔子「でも仕方のない事よ。この子は無実の罪でここに連れて来られたんだから、人を殺した事も無い。私も始めて人を殺した時は、吐き気や目眩に襲われたわ。」

皆は座ってまたこの場所で、休憩をする事になった。そしてその日の夜、翔子と美歌はぐっすり眠ったが、愛は眠れず起きていた。

洩夜「寝なくていいのか?」

愛の側に近寄って言った。愛は洩夜に凭れ掛かり、顔を肩に当てて

愛「私は人を殺してしまいました。その所為か寝れないんです。銃撃戦が終わった時は、疲れが溜まっていて、何も考えず寝る事が出来ましたが、今日一気にその日の恐怖と、今日の恐怖が襲ってきて、とても・・・。」

洩夜「じゃあ起きてろ。」

愛と顔を合わせず、優しい声でそう言った。

洩夜「無理に寝ようとしなくても、自然にいつか眠くなる時がある。その時寝れば良い。無理に寝ようとしたら、余計に眠れなくなるからな。」

この日は起きたまま過ごそうと思った。静かな時が過ぎていた。2人は何も喋らずに夜を過ごした。

〜翌朝(16日23:49:58)〜

いつの間にか愛は寝ていた。洩夜が言った通り眠くなって、自然に寝ていたのだ。洩夜も隣で寝ていた。ここまでほぼ一睡もしなかった洩夜は、かなり深い眠りについていた。

翔子「ううん!ふぅよく眠れた。ほら起きなさいよ。」

パチンと美歌の頬をビンタした。

美歌「痛!!もっとマシな起こし方は無かったの?」

翔子「ごめんごめん。さて今度はリア充を起こしましょうか。」

美歌「そうね。」

せーのと声を合わせて、同時に2人を叩いた。2人は倒れて頬を抑えながら、周りをキョロキョロ見ていた。

愛「え?え?何ですか!?」

洩夜「敵でも居たか!?」

翔子「違うわよ。2人共。」

美歌「私達あの時寝た振りをして、聞いてたのよ話を。ラブラブな雰囲気を出していたから、殺そうかなと思ったけどね。」

そんな雰囲気だった事に両方気付かなかった。そんなほのぼのとした空間を、打ち消すように腕輪が締め付けてきた。

現在状況


[愛・生存][洩夜・生存][翔子・生存][巽・生存][紗夜・死亡][美歌・生存]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ