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青という色

明けましておめでとうございました。

今年もどうぞよろしくお願いします。

「へぇ、これが街か・・・」

「エイル街だ。この辺では中規模くらいの街で、まぁそこそこ発展してる」

『・・・ヒトの香りで溢れてますね』


草木が茂る森を抜けて見えたのは活気溢れた街の姿。

行き交う人々が笑いあい、慈しみながら進んでいく街道はとても賑わっていた。

手前の方には門のような何かがある。関所だろう。

ちなみになぜ関所があるのに街の姿がみえるのかというと。


「・・・それはいいんだけどもこっからどうやって行くの?」


私達が今崖の上にいるからだ。

いや。もうそろそろ付くって言ってたから関所につくのだと思ったんだけど、どうやら私の常識とジンの常識はかけ離れているらしい。

それとももうすぐ街が全貌できる場所に付くってことだったんだろうか。ならばジンにはまったくもって言葉が足りていないと私は思う。


「ここから降りればいいだろう」


前言撤回。まだ此処は道の途中のようです。

降りるって言っても軽く二十メートルはある。まさか飛び降りる気なんだろうか。

不安だ。いくら私であろうともここから落ちて無傷で済む確率はほぼない。どうする気なんだろう。


「セツ、舌噛むなよ」

「へ?・・・ひ、・・・・・!」


いきなり抱きかかえられたかと思ったら浮遊感が私を覆う。

いや待とうか!もう待ったできない状況だけどもこれはかなりまずいと思う!

こっから二人で落ちて、二人の重力分ダメージ食らったら砕け散る。つまり死ぬ。


『セツ様ー!?』


カナリアの悲鳴がかなり上から聞こえてくる。

グングンと高度は下がっていき、衝突しそうになる少し前でいきなり止まった。


「・・・・・・は?」

「俺としてはこのまま落ちても良かったが、お前が怪我しないとは限らないからな」

「うん・・・・え?」


少し上を見上げると崖に思い切り突き刺さる少し短めの剣。

その剣はジンの片手で握られている。どうやら落下中に突き刺したらしい。

強いとは思ってたけどコレはすごい。ってか正直人外じみてる。

こんな芸当一般人では到底できそうにない。自信と実力がこんなに釣り合う人はじめてだ。


そのままひょいっと降りて剣を回収したジンは街へと歩みを進める。

未だ呆然としてる私をニヤリと笑い、声をかけつつ。


「びびったか」

「・・・気が利かないなぁ。怖がってる女の子には優しい言葉をかけるべきだよ」

「生憎怖がってる女の子はどこにも見えないんでな」

『せ、セツ様ー!ご無事で何よりですぅ・・・!』

「カナリアはノーカン?」

「精霊だからな」


軽口の応酬はいつもの私を呼び起こしてくれた。

平静になった私は一呼吸するとジンのそばに走る。手の中には少し震えたカナリア。

そういえば思ったんだけど。


「身分証って必要だよね。関所渡るんだから」

「持ってねぇ奴は少し事情聞かれてギルドから発行してもらう。そこまで手間じゃねぇし、お前は俺といるから疑われることは殆ど無いはず」

「カナリアは?」

「精霊が人間に姿を表わすことはない。そいつはお前という主がいるから尚更」


ふーん。そこまで厳重じゃないんだね。

近づいていくたびに門が大きくなって、人の顔も見えてくる。

なんだか少しワクワクして、ジンの後ろからそぉっとついていった。


「おい門番。身分証の新発行できるか」

「はい。できま・・・光星!?」


コウセイ?なにそれ二つ名か何か?

確かにジンは星みたいな見た目してるし、キラキラしてるから光っぽいかもしれない。

でもどっちかってと月のイメージがあるんだよね。


「貴方様はもう登録してあるんじゃっ、なっないんでしょうか」

「連れだ」

「お、お連れ様でございますねぇぇぇ!どうぞこちらへ・・・うっ」


というかちょっと厨二っぽい。ファンタジーだから仕方ないのかな?

警備員さんすっごく怯えてるし。コレはさっさといってあげるべきだよね?


「ジン」

「ひぃっ!」

「何だ」

「ついて行けばいいの?」

「ああ。俺も行くべきか?」

「大丈夫。一人で行く」


小刻みに震える警備員さんについていく。

なにこれマナーモード?とも思わなくもないが、ジンが怖いらしいから仕方ない。

席に案内されて、私は簡単な問題に答えていく。


「お名前は?」

「セツ」

「セツ様ですね・・・はい。次に歳は?」

「17」

「17歳と。特記事項はありますか?」

「一応戦闘はできる」

「戦闘可能ですね、分かりました」


書き込まれてたカードが一瞬光って、青色に染まる。

警備員さんも少し驚いたような顔でカードを食い入るように見つめる。

それから少し経って、顔を上げ、私を見る。


「・・・青持ち」

「青はなにか特別な色なのですか?」

「わかりません。詳しいことは何一つ。ただ貴方様が光星殿のそばにいる理由がわかりました」


さっきまでの怯えはなかった。

真摯に私を見てくる彼は、どこか私の身を案じている用に見えた。


「どうか、その目を隠してください」

「なぜ?」

「貴方は青持ちについても知りませんでした。身分証も持っていない。きっとここからの情報が全く届かないどこかにいたのでしょう。だから青についても何も知らない」

「・・・・・・・・・」


彼は優秀だった。ただ少し警戒心が強いだけの優秀な人間。

私の動きだけでそこまでの情報がわかるってのは、愚かな人間にはできないだろうから。


「青はこの世の理を歪められる力。貴方の青はどこまでも濃い藍に近い青。青の限界度ギリギリを保つ貴方はどこまで歪めてしまうかわかりません。お気をつけ下さい」

「・・・・・・はい」


そう言って彼は私に藍色のベールをくれた。

カードを持ち、ベールをかぶり、ジンのもとに戻ると彼は薄い笑みで言った。


「気づかれたか」

「さっさと教えて欲しかったよ。私が青持ちっていうなんだかわからない人間のこと」

「言ってなかったか。悪かった」

「うん」


関所を抜けて行く時、ぽつりとジンの声が聞こえた。


「俺は自分よりお前の眼のほうが美しいと思うがな」


その声には、答えなかった。

※良い子も悪い子も真似しないでください

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