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クイーン・オブ・アニマル  作者: 樹恵流
2/2

不思議の国・大逃走


アドファルガー王国の極東にある、イーストレリィ。



その街の中を走り回る二人の女と、二人を追いかける集団があった。







「お妃様!お早く!」






一人の女…ガルシアが、もう一人の女の手を引く。




しかし、『お妃様』と呼ばれた女は、面食らった表情をし、あらんかぎりの声で叫び返した。




「ちょっと!だからお妃様ってなんのことよ!

あたしは普通の学生なんだってば!!

しかも、ここどこ!?

あんた誰!?

あいつらはなんなのよ!!?」






矢継ぎ早に質問してくる彼女の怒りをスルーして、ガルシアは走った。




「後でお話しします!ですが、今は走って下さい!!

あいつ等に捕まれば、厄介なことになりますから!」






『厄介なこと』…。その言葉を聞いた女は、口をつぐんだ。



仕方ない、と言わんばかりに首をふると、女はガルシアの後を追った。







しかし、イーストレリィの街は狭い。




しかも、相手はゆうに20人近く。




城へと走っていたはずのガルシアだったが、先回りをされ続け、しまいには路地裏に追い込まれてしまった。


そして、目の前には壁が…。



「私だけなら飛べる、けど…」





ガルシアはそう呟いて、チラリと女を見た。

そう。獣人(けものびと)であるガルシアにとって、壁を飛び越えるくらいワケはない。



しかし、今は『お妃』がおり、ガルシアは二人同時に壁を飛び越えたことがなかった。



つまり、『お妃』が居る以上、壁を飛び越えることができないのである。



(いっそのこと、この女を彼奴等に渡そうか…)とも考えたガルシアだったが、その考えを消すかのように(かぶり)を振った。




(致し方無い)と思ったガルシアは、自前の樫の杖を振るった。






実は、ガルシアには壁を飛び越えるやり方が二通りある。





1つは普通に飛び越えるやり方。もう1つは、魔法陣を形成し、魔法を駆使して飛び越えるやり方である。





しかし、お妃が居るため、前者は使えない…。



となれば、必然的に後者になるわけだが…。









「っ、ハァ……ハァ……」




魔法陣を形成する事は、ガルシアにとって過大な負荷をかけることに繋がるのだ。




しかし、迷っている暇はなかった。


急がなければ、追っ手が来てしまう…。






「っ、お妃様!私にお掴まり下さい!!この壁を飛び越えます!」






ガルシアの叫びが、尋常でないことを悟った女は、直ぐ様ガルシアに掴まった。




直後、浮遊感が二人を包み込んだ。














壁を飛び越えた二人は、直ぐ様駆け出した。





しかし、ガルシアの足取りは重い…。





遂に、ガルシアは膝をついてしまった。




「ちょっと、大丈夫!?」





少し前を走っていた女は、すぐに駆け寄る。





ガルシアの額には、大粒の汗が光っていた。




手は震え、顔は苦痛を我慢するかの如く歪んでいる。




ガルシアの様子から、尋常でないことを悟った女は、直ぐ様ガルシアをおぶった。





「!お妃様!?」




突然のことに、驚愕するガルシアだったが、女が発した次の言葉に強く頷き返すのだった。







「アンタが『後で説明する』って言ったんでしょうが!

それ以前に、『どんなことがあっても守り通す』って言ったじゃない!

…胸くそ悪いけど…あたしが信用できんのはアンタだけなんだから、置いて行けるわけないでしょ!?」






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