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聖女様は挨拶中

 エリーに先生やらないとさそわれて、やるやる!と応えた翌日、ミリーは学校の教壇に立っていた。ただ今絶賛紹介中である。


「はい、ではグレン先生の変わりに、皆さんを教えてくださるミリー先生です。ミリー先生は、校長先生のお友達で、おうちに泊まりに来てたのよ。巫女さんだから、色々面白い話が聴けるわよ」


 というエリーの紹介をはたして生徒達はわかっているのだろうか。どうみても10年生きてないだろうという子ども達が6人、ミリーを興味津々で見ている。


「はーい、こうちょーせんせー。グレンせんせーのぎっくり腰長引きそう?」


 一番年長らしき男の子の質問にエリーが答える。


「今回はかなり長引きそうなのよ。早くても一月ね」


「もう年だもんね~」


「おい、それグレン先生の前で言うなよ」


 エリーの答えに子ども達がワイワイしゃべり出した。かしましいことこの上ない。エリーがパンパンと手を叩く。


「はい!おしゃべりはそこまでよ。さぁ、ミリー先生にご挨拶しましょう」


「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」


「よ、よろしくね」


 子ども達に押され気味のミリーであった。



 続いて、子ども達の紹介が始まった。


 一番年長らしき男の子は、マック9歳。父が辺境伯の私兵で本人もがっちりした体つき。将来は傭兵になるという頭より体で勝負のタイプ。辺境伯フィルと同じ脳筋だとミリーは思った。


 次いで8歳のベンジャミン(ベン)。彼はマックとは正反対の頭脳派だ。フィルの家の執事の息子で、弁もたちマックをうまく操縦している。


 クレア8歳は、仕切り屋の女の子。なんだかエリーに通じるものがあるとミリーはみた。家は結構大きな商家。


 ヒュー6歳。マックの弟で脳筋2号。夢は辺境伯領の騎士団員。制服がかっこいいからだそうだ。


 ローラ5歳。ふわふわの髪の毛のみんなの妹。なんとローランド領ここの騎士団長の娘だという。かつて紹介された騎士団長の顔を思いだし、奥さんに似てよかったなとミリーは心から思った。


 最後にノア5歳。クレアの弟で、ベンに憧れている。すでにヒューの抑え役。


 エリーによる紹介と、その後の話から、ミリーはあっという間に子供達の個性をつかんだ。伊達に長い間神殿の幼い子の面倒を見ていたわけではない。

 じゃあ、後はよろしくと帰っていったエリーを見送ると、ミリーは子供達に振り返った。


「さあ、いつもグレン先生とどんなことしているのか、教えてね?」


 ミリーがにっこりと笑うと、緊張していた子供達もほっとしたようだ。わっとしゃべり始めた。


「はいは~い!外で木の実拾ってきた!」


「それを使って計算しました」


 マックの発言にはもれなくベンの解説が入るようだ。ミリーに聞いて欲しくて服をつかまんばかりのヒューは、クレアに差し向けられたノアに押しとどめられ、しぶしぶ元の位置に戻った。


「お絵かきもするの」


 と、ローラが天使の笑みをみせれば、クレアがいい子いい子と頭をなでて、書き方もですと補足した。


 なんとまあ、うまくバランスの取れたクラスだこと。それが、ミリーの第一印象だった。まるで、仲間達をみているみたいだ。

 グレン先生は、うまく身の回りのものを使って学習を進めていたので、ミリーもそれを踏襲することにする。頭の中で、学習計画を練りながら、ミリーは色々と教えてくれる6人を見渡した。


 元気なマックとヒュー兄妹。頭脳派のベンにまとめ役のクレア。かわいいローラに一生懸命なノア。この6人との授業は楽しくなりそうだ。


 ミリーは、明日からの毎日を考えてわくわくするのだった。







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