一話 嘘と本音
さあ、これから本編だ。
桜の舞うこの季節。僕は、高校生になった。
そして一ヶ月後
さあ今日はどんな噂ができるかな~。
ん?あそこにいるのは、猫と強面の長谷君・・・。
じゃれ合っているのか、これはいい物を見た。
今日はこれをネタにしよう。
でも、これじゃあちょっとつまんないかな?
じゃあ盛らないと。そうか、猫語を使っていたとか。
よし、これにしよう。誰に広めてもらおうか。
僕には、上辺だけの友達がいる。だっていきなり知らない人に
「今さっき長谷君が猫をみて「可愛いにゃあ」って言ってたよ」
なんて言っても、まず先にこの人誰?ってなる。
できることなら友達なんていらない。必要がない。
でも、噂を広げるのに必要不可欠だから。僕は作る。
「おーーい透ーー面白い事聞いた!」
一番口が軽い半崎透
「え?何~?」
よし息を吸って、
「さっき、長谷が猫に向かって、可愛いですにゃあって言ってたらしい」
‘らしい’自分が見たわけじゃないって嘘をつく道具
「へえー猫好きなんだ長谷くん。意外だね」
「ああ、そうだな。」
え?嘘だろ興味がないし、みたいな顔してる。
「チッ」
使えない。他をあたろう。次は、話が大好きな大谷拓馬に
「おい拓馬さっき聞いたんだけど、長谷が「猫を見てじゃれてた」」
拓馬?なんで知ってるんだ?
「今さっき高井が教えてくれた。流行ってんのかその話」
僕より先に?ありえない。高井・・・。確か隣のクラス。
くそっ 今日はついてない。透にしても、拓馬にしても、高井ってのは、誰なんだ?
「うん!それでね、なんかいつもの長谷君って感じじゃ無かったんだ!」
こいつか?僕が広める前に・・・。ん?高井がこっちに気付いたな。
「あ~君隣のクラスのえーーと、波津連君?」
僕は、滅茶苦茶腹が立っていたけど、微笑んだ。
「うん!そうだよ!良かった高井くんに聞きたい事があったんだ~」
聞きたい事・・・。別にあるわけじゃないけど。
「みんな、先にクラスに帰ってて」
高井は自分の友達に言い、こっちに近づいてきた。
「波津君~、噂にするのは良いけど嘘を付いたらダメだよ?」
ゾクッ僕は、初めて鳥肌が立った。