第1話 不思議な出会い1
道端に3人並んでいます。
背の高さが凸凹な彼らは、儚くも空を見上げながらあられもない呟きをしていました。
「ねぇさくやんとスッチー、空が綺麗だね」
儚げそうに問いかける安杜敦に対し、爽やかな笑顔で返すさくやん こと小和祢左久。
「そうだな」
「………」
三人共顔は微動だに動かない。
「ねぇさくやんとスッチー。あそこに外国人のおじさんがいるよ」
「そうだな」
「………」
おじさんは段々と近づいてきており、ハッキリと見える頃にはたいそうぽっちゃりとした外国人のおじさんだったのでした。
「「!?」」
「肉ーーー!」
今まで無言だったスッチー こと鈴木知景が興奮した様子で鼻息を荒くし、2人が止めにかかろうとする前にはもうすでに、彼の魔の手が差し伸べられていた……
「ぽよんぽよんっ」
肉は左右へと激しい運動をしているかのごとく揺れている。
鈴木の手は後ろまでは回らず、触れる、というよりも押し付ける頬から伝わる肉々しさが2人にまで伝わる。
((おー、NI・KU!))
「Oh!no~~~!!」
おじさんは悶える様に後ろにゆっくりと倒れこみ、気を失った。まぁ、ゆっくり倒れてる風に見えたのは、体積の広い肉厚の体で倒れていたからだけど。
「お~い」
ペチペチとおじさんの頬を容赦なく叩く安杜の隣で、哀れんだ目で見る小和祢をよそに腹をいまだにツンツンと、少女のように頬を紅く染めながら満足げな顔でつつき続ける鈴木。
「HA!」
おじさんは気がつくと重たそうな(むしろ重すぎる)上半身をゆっくり起こし、擬視していた3人を見て突然興奮した口調で話し始めた。
「ワタシイケメン!ツケメン!オソシダイスキヨ!トクニカッパネ!」
カタコトに話す言葉には、かなりおかしなことばかりでツッコミどころが満載だった。
むしろなぜそれを興奮して話しだしたのかも謎だ。
「オソシジャナクテーオスシダヨ。オレモタベルホウノカッパマキスキネェ」
安杜がおじさんと同じ様に不自然なカタコトの言葉を話す疑問については置いといて、なぜ話のツッコミどころがそこなんだろう。
「おれ、俺…おじさんの肉すきだよ!」
そして話に混ざりたいのかまだ興奮が醒めず会話に混ざろうとする鈴木。しかも恐ろしいほど一言一句話が噛み合ってない。
(うわー、なんでボケが二人もいるんだろう。しかも天然無垢すぎて突っ込めないし。あとで二人共、泣かすしかないね)
二人が喋っている傍ら、そんなことを平然とした笑みで考えている小和祢というドSの悪魔が降臨していた。
「で?おじさんはどこの国から来た不法侵入者なの?」