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3【産まれる前から】

()()()()に何してやがる!」


二人に取ってはこれ以上ない、感動の再開のシーンに…不躾な乱入者が一人。


前回、教会で運命的な再開を果たした二人の元に不躾な乱入者が現れた。


身なりの綺麗な…しかし使い込まれていることが伺える服を着ている、少し大きな子供がムードなど知った事かと言わんばかりにがズカズカ開きで大股で近続いて来たのだ!


二人が泣きながら抱きしめあった時点で、教会の敷地内という事もあって、かなり人目を引いており、周囲の大人達がどうしたいものかと困惑に包まれて居るうちに急にやった途端にこれである、周囲の大人達が諌める隙などなかった。


たとえ隙があったとしても村長の孫である、この乱入者を止めたかいえば疑問は残るが……現状この村で唯一の【ユニークスキル】保有者であり、激情に駆り立てられる乱入者を止められる者などいなかった事だろう。


しかし、乱入者である男ににとっては残念かな。完全に二人だけの世界に入り込んでしまっている。乱入者があげた的外れな叫びもまるで届いていない。

しかし、無視された経験など生まれてこの方一度も無かった少年は暫くその事に気が付かず……


「⬛︎⬛︎⬛︎……あ、そうだ、今の名前はオーエンて言うだ」


「……そうなんだ、素敵な名前。私はカトレアなの。」


「カトレアか、いい名前だ」


「……でしょ?私も結構気に入っている」


互いに体を抱きしめあって、イチャイチャしながら名前を教え合うというだいぶおかしな光景よりも、乱入者は無視されたという事実に放心し、直ぐに怒りが湧き上がってくる。


(こ、この俺様を無視しやがった!ふざけるなよ!昨日まで散々媚びて来てた癖に!!)


カトレアは、罪作りな女の子だった。

カトレアは、村の外れに住むオーエンと異なり村の中心の教会に住む神父夫妻の子供として産まれた。情報の速さや量は言うに及ばず、縁も広く()()もオーエンは違って施されていた。そして、オーエンと同じく、この世界の何処かに自分と同じように最愛の彼も転生しているかもしれないと考えて居た、だからオーエンをさがすための旅に出るとずっと決めていて……強力な【ユニークスキル】を持ち、村長の孫という事で手厚い支援が期待出来る彼を旅の()にしようと画策していたのだ。


如何に村長家の子供と言えども、前世を含めて30年以上生きている彼女にとってはただの生意気なガキに過ぎす、手玉に取って倍率がとても高い選考を無視して仲間に捩じ込ませるぐらいは容易かった。


その過程で惚れらてしまったのは、彼女にとって不愉快極まりなかったが、同時に想定の範囲内ではあった。大の大人の転生者であり、彼に自分の事をより好きになって貰うために、その手の修練に一切手を抜いて来なかった彼女の魅力が、ただの子供に負ける方が問題だろう。


今世の種族が人間では無く、花人という容姿に優れ、特別な種族スキルをもった種族だった事も相まってその効果は絶大だったのだ。


そして……それ故にこの状況は必然だった。どんなに遅くても…例えばあのまま村の中で合わなかったとしても、互いに探し合い、愛し合っているのだろから旅の中で遠からず巡り合い…そしてこうなって居ただろう。


そう考えると、こうして成長する前に問題が顕在化したのは幸運であったのだろう。


村長の孫……ヴァン。彼の心境は煮え滾るような怒りに支配されている。それらの源泉はカトレアの裏切と、とても偉いにも関わらず無視され続けて居ること。そして何よりヴァンからすれば、カトレアをNTR(寝取)てるように見えるオーエンだ!


その激情を、甘やかされて育ったクソガキに抑え切れるはずもなく……激情のままに殴り掛かった!


「無視してんじゃねぇ!!」


「カトレア!」


「きゃ♡」


ーーードガァン!!


暴力沙汰に発展し、ここに来て流石気が付いたオーエンはびっくりしながらも、慌ててカトレアを庇うように抱えて回避した。


オーエン的には余裕をもって回避したつもりだった。不躾な乱入者の攻撃は想定の何倍も早く…そして力強かった!空ぶったヴァンの拳は教会の石造りの塀をいとも容易く粉砕した。


見た目に反する予想外の怪力に、慄いていると、抱えている。カトレアがそっと囁いて教えてくれた。


「……()()はヴァン、村長の孫で…典型的なクソガキ。【怪力】のユニークスキルを持っているから、殴り合いはおすすめ出来ない。あと…」


「そこまで言ってくれれば大丈夫だ。」


そう言ってオーエンがカトレアの唇にシーと指を立てるとちゃんと察して、怪しげに笑って「期待してるわ」そう答え離れてくれた。


「死ねっ!」


「可愛いカトレアの期待に答えなきゃな!」


可愛げなど全く無い鋭さと力強くが込められた一撃が、俺目掛けて振るわれようとしている。ここまで身体能力に差があると、まともにやれば敗北必至だろう。だが、動きは素人に毛が生えた程度、そこに付け入る隙はあるはずだ。


オーエンは現代生まれの転生者としてはそれなり喧嘩なれしている方だろう。元の世界でも彼女を狙う連中は結構いた、当然その中には暴力に訴える野蛮な連中も居た、だから…それを退け彼女を守るために鍛えて居た。


柔よく剛を制す。オーエンはそうして勝ちをもぎ取る積もりだった。


一方ヴァンは将来の為に戦闘の訓練を積んで来ていた。しかし生来のわがままぶりと、甘やかしもあって身が入っているのと言い難い状態であり、ユニークスキルが発現してから輪にかけて酷い有様だった。

当然だろう、如何に村としては発展していると言ってもユニークスキルもちと、まともにやりやって勝てるような人材はこの村には居ないのだから、ヴァンがより増長するのは当然のことだった。


俺様が一番強い、俺様が絶対に正しい、俺様は何をしてもいい。


それが、ヴァンの基本的な思考回路だった。


繰り出された、ヴァンの拳はその体の動かし方や体格から想像も付かない程に鋭く、強靭だった。しかし、それでも風を切る拳をオーエンは掴んで、その勢いを活かして遠くに投げ飛ばし手見せた!!

鍛え抜かれた技と積み重ねられ経験があったからこそ成せた事であり、転生者としての面目躍如と言ったところだろう。


「ぐっ!」


しかし、その筋力の差は圧倒的であった事に変わりは無く、オーエンは体を痛めてしまったのか苦悶の表情を浮かべる。


「オーエン!大丈夫!?」


邪魔にならないよう少しだけ離れていたカトレアが慌てた様子でオーエンに駆け寄けよってくる。

顔色を青くしてゾッとしたようなカトレアの表情からは、俺のことをとても良く心配してくれている事が伝わって来て凄く嬉しい。あの子供の力を知っているらしいカトレアからすれば、幾ら信頼しているとは言え生きた心地がしなかったんだろう。……実際少しでもタイミングと力加減を間違えていたら怪我所ではすまなかっただろうし、普通に殺されていただろう。


実際にそうはならなかったが、そうなっていてもおかしくはなかった。


「ぜ、全然大丈夫だ。これぐらい余裕だっ!?」


カトレアを安心させるため無事だし怪我なんてしてない。と告げようとした所でぎゅぅぅと痛めた腕を掴まれて思わず言葉に詰まってしまった。


「……全然大丈夫じゃなでしょ。ほら、手当するから着いてきてね?」


「…わかった」


「そ、それと……カッコよかったよ、オーエン♪」


「お、おう!」


赤い目を細め、頬をあからてはずかしそうにカトレアはそう言ってオーエンの手を優しく取った。


野次馬達は呆気にとられたままで、俺はカトレアに手を引かれて教会の中に入った。教会の中は先程までの喧騒が嘘の様に静寂に包まれており、広い空間に整然と並べられた、複数の木製の長椅子とその奥に飾れた祭壇は、この場所が神聖な場所である事を感じさせる。


そんな礼拝場を通り抜けて、ひとつの部屋に案内された。部屋にはしっかりとした作りの机、椅子、ベットなどの家具が置かれており、タンスの上には可愛らしい人形が幾つか置かれている。


カトレアは俺のことをベットに座らせると、手馴れた様子でタンスを漁り始めた。おそらくここはカトレアの部屋なのだろう。


「……あった、オーエンこれ飲んで」


そう言ってカトレアは、タンスから一つの小瓶を取り出した。小瓶は青色の液体で満たされていて、薄っすら光っているようにも見える。


「……あ、オーエンは知らない?。これはね、ゲームでよくある回復のポーション、そこそこの怪我までなら直ぐに治る。」


「そうなのか?あーでもこういうのって高いんじゃ?」


ゲームだと下級のポーションなんて基本的に大した値段じゃ無いことが多いが、異世界転生物のお話だと高い事が多い気がする。


「……ん、両親がそれなりに高いって言ってたけど気にしなくて良い」


そう言ってカトレアは、グイッと口元にポーションを押し付けてくる。それでもまだ俺が戸惑っている事に気がついたカトレアは、ポーションを押し付けるのを止めるとなんと自分で飲んで……


「あっ」


ーーーチュ♡


「…んくっ♡ふぅ……口移し」


「お、おおぉ…カトレア」


頬を赤らめ、くちびるを指先でゆっくりと…キスをした事を強調するようになぞるカトレアの仕草に、堪えきれずに抱き寄せて、手を頬に添えてこっちを向かせてキスを返す。


「んっ...もぅ///♡」


そうして互いにだしめあって……離れ離れになっていた年月を埋める用に強く抱き締めあって……そしどうやって生きて来たのかを語り合おうとしたところで……


ーーーガチャリ


部屋の扉が開かれた。

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