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終焉の魔法少女 ~ひび割れた13のウィッチ~  作者: キハ
Fate1 少女は微笑み返した
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第15話 時間稼ぎ

 いつの間にか、男の後ろに萌黄色の髪をした少女が立っていた。ハンナだ。

 彼女は華やかな装飾の銃を構える。震える手で引き金を引く。しかし、男の出現させた刃によって銃弾が切断された。


「それで僕の不意をとったつもりなの? もっと有効活用しなよ、魔法少女ハンナ」


 彼女の魔法は瞬間移動。

 しかし、その力をもってしてもなお不意打ちは不成功。


「やっぱり……私はだめ……っ」


 震える彼女へ向かって刃が向かう。

 その時、彼女の影が伸びて彼女を守るように立ち上がった。

 影が刃を吸収する。


「ハンナ! 危なかったわね」


 エルザがそばに降り立つと、案じるように声をかける。


「やっとあたしの出番ね!」


 男の頭上に影。跳躍したヒメカによって斧が振り下ろされた。

 男は身体を反転させ避ける。


「物騒な武器だね」


「あんたには言われたくないわよ! あたしの可愛い武器が可哀想でしょ!」


 軽口をたたく男を巻き込んで周囲が爆発。

 数メートル先に男は吹き飛ばされた。


「あはは! 吹っ飛んでやんの!」


「まだ生きてるわよ。油断は良くないわね」


「あ゛ー? そんなこと言うならあんたが戦いなさいよ!」


 エルザの一言に眉間のしわを寄せるヒメカ。

 案の定、男は体勢を立て直したのか、傷一つなくその場に立っていた。

 そこへ向かう者が二人。


「てめぇ! あたしのことを舐めやがってよ」


「レン先輩! あいつに一撃食らわしてやりましょう!」


 重力を重くした拳が、男をとらえる。

 一発目は避けるものの、二発目は顔面に的中。

 拳に神経が向いた時、隣にいた少女、魔法少女ルナの風の魔法が発動。空気の刃が男を襲う。


「君の魔法は僕と相性がよさそうだ」


 軽口を叩く余裕があるのか、男はルナの攻撃を避けると、レンの拳に手を添えて流す。

 そして、そのまま腕をつかみ、後方に投げ飛ばした。


「先輩!?」


 今度は動揺するルナに向かって刃が迫る。

 しかし、それは駆け寄ってきたヒカリの光が防いだ。


 ヒカリは手元に光を帯びた剣を形成すると男へ向かって振りかぶる。


「光の魔法か。これは珍しいね」


 そう言いながら振り下ろされた剣を身をねじるだけで回避。


 後ろに殺気。男は慌てて振り向き、ユキの指先から貫こうと伸びた氷から逃れる。


「やっぱ君、強いんだねー」


「君もなかなかイカれているとは思うけど」


「誉め言葉として受け取っておくね」


 口を開きながらも手は止めずに氷が地面に迸る。

 足元を凍結されぬように跳躍して避ける。そこへ、「援護します」というカノンの声とともに、その場に不釣り合いな穏やかな音楽が、男の耳に入った。


 どうやら聴こえているのは男のみのようである。

 それを自覚した瞬間に、男は自身の体が重くなるような、錯覚に襲われた。


 魔法少女カノンの能力は音に関する何かだろうと男は推測。

 またも襲ってくる魔法少女たちをいなす動作が、なんだか遅く感じる。


「魔法少女カノン。君の魔法は面白いね」


 気づけば男はカノンの目前に迫っていた。しかし、そこの間に入り込んだ者が一人。橙色の髪をした少女が手をかざす。

 そこから炎が出現し、男に向かって放たれる。


 火を使う魔法少女なんて今はいないはずだ、身をひねらせ回避すると男は首を傾げた。

 そして、すぐに答えが出る。


「魔法少女アオイだね」


「だからなんでうちらの名前を知っているの!?」


 アオイが距離を詰めながら手を突き出していた。男に向けて発する炎。


 彼女の力は、模倣。おそらく先程の炎を吐く怪物の力をコピーしたのだろう。男は、コピー条件までは知らないとはいえ事前に言われたとおりだと冷静に見極める。


 アオイの攻撃を回避しながら、男は端にいる紫色の髪色をした少女を一瞥した。

 魔法少女ルイ。彼女の動きはないようだ。何かを企んでいるというよりただ静観しているに近い。


 男は両隣からレンとユキが踏み込んだのを確認した。


 いつもの手つきで手を振る。その何気ない身振り。

 されど、男にとっては重要であるかのように口の端をゆがませた。


 魔法の発動と読んだ二人が魔法の発動を早めようと表情を変えたのが見えた。


「僕がなぜ、本気を出さなかったのかわかる?」


 男の口調が先程とは打って変わったかのように憐れみを含んだ蔑む口調へと変わった。


「時間稼ぎだよ。おかげで、発動条件はそろった。愚かだね君たちは」


「さっきから随分口が達者だねー」


 ユキが軽口を叩きながら手を突き出す。その指先から凍りながら氷が迫る、しかし、そこからは何も生まれない。目を見開く彼女の目の前でレンが男へ向かって重力を重くしたはずの拳を繰り出す。しかし、それは難なく手のひらで受け止められた。


 レンの目が見開かれる。打撃がこもっていない。軽い。拳が軽いのだ。違和感を覚え二人が身を引こうとしたその時。


 二人は気づけば地面に膝をついていた。二人だけでない、魔法少女全員が、その場に平伏するかのように膝をついた。


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― 新着の感想 ―
援助? 援護? それはそうと映像にしたらとんでもない事になりそうですね。 制作を頼むならユーフォーテーブルかマッパか。 そんで……あらかじめその場に罠を張っていたか現着してから張り始めたか。 なん…
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