第13話 正体不明
魔法少女ユキが操るのは、氷。
その証拠に、今も怪物が発生させる炎を全て指先一つで凍らせている。
「はいはい、みんな、安心して! 私が来たから大丈夫だ!」
あっけにとられている魔法少女たちに向かって、ユキはあっけらかんと笑ってみせた。
「ちっ。自分だけ活躍するとか可愛くない」
傍らから走り出たヒメカが斧を振り上げる。
その目の前で、怪物の足元が凍り始めた。
『縺ッ?』
目玉が、足元へと動く。炎が強まるものの、ユキが手を伸ばすとそれさえも氷に飲まれていく。
「さあさあヒメカちゃん~出番だよ!」
「言われなくても分かってるわよ!」
ついにヒメカの目の前の怪物が、全身から完全に凍てつき、身動きが取れなくなった。
「これでおわりねー!」
その声とともに、斧が、氷の塊を切り裂き、爆ぜた。
「おー怪物さんやっつけちゃった」
「あたしがとどめさしたんだからあたしのおかげよ!」
ヒメカが自信満々に高笑いする。
氷ごと粉々に爆発した怪物の破片は二度と再生することがない。
ユキが来たからこその逆転だった。
「んじゃあ、今回は、ヒメカちゃんの手柄でもいいよ?」
余裕の笑みを浮かべてユキは受け流すと、魔法少女を見渡した。
「なんかみんな集まってるねーそんだけこの怪物くそ強かったんだね〜。おや」
ユキは首を傾げ、
「ユイカは遅れてくるのかな? もう倒しちゃったけどさ」
「そういやユイカちゃんまだ来てない……」
ヒカリはスマホを取り出すと連絡を確認し始めた。
全員集合の号令がかかったものの、ユイカからは遅れる等の連絡一つもなかった。
エルザに裏切り疑惑を打ち明けた、メルルとルイが表情を曇らせた。
「まあまあ! 怪物は倒したし、結果オーライ!」
ユキが一件落着だねーと明るく言ったその時、彼女のそばを素早い”何か”が駆け抜けた。
「まだ生きて──」
「死んだよ、この子は」
ユキの問いに、地面に降り立った誰かが口を開いた。
「君が殺したんだよ、魔法少女ユキ。それより、気を付けなよ」
肩より長い白銀の髪を持つ人間は、振り向くとユキの方を見ずに言う。
「君の首が、僕の間合いだ」
青い光を帯びた鋭い刃が、まるで首輪のようにぐるりとユキの首を囲んでいた。
──同刻。
魔法少女ユイカは、戦況から離れた場所にいた。
エルザがつきとめた、工事中の札がたてられたままのビルだ。
このビルは外から見ると現場シートで覆われ、本当に工事中に見える。
しかし、それはこのビルにかけられた”結界”の作用であり、中はただの寂れたビルだ。
認められた者のみを入れるビル。そのため、エルザの影ははじかれたのだろう。
先程からしきりと、ユイカはスマホで何度も再読み込みの表示を押すものの、画面は「読み込み中」と表示されるばかり。
「……やはり、仲間が気になるのか」
向かい側の椅子に座る何者かに声を掛けられるとユイカはもちろん、と答えた。
「私の、大事な仲間だから」
「……そうか、安心しろ。怪物は倒されたぞ」
ユイカの画面はミライの「怪物が公園に現れてどうにもならないから全員来てほしい!」という画面のまま止まっている。
返信をしようとするものの、「送信できません」の文字が何度も表示されるだけだった。
「ほんとに? 貴方を信じていいの?」
「ああ。全員くるほどの強い怪物ではない、といった通りだろう」
何者かは、指を鳴らした。その瞬間空中に半透明の画面が浮かび上がる。
そこには、爆発後の残った地面でヒメカが高笑いしている姿が映っていた。
「言っただろう?魔法少女に、危害は与えない。そして、お前の望むとおりに、怪物と共生できる方法を教えてやる」
ユイカの瞳が見開かれる。
「さあ始めよう。新しい未来の話を──」
先日は、作者の生活リズムの狂いにより投稿をすることが叶いませんでした。
今日の午後に、今日分の話はしっかり投稿させていただきます。一日開けてしまい申し訳ございませんでした。
自身も、毎日投稿の連続が途切れてしまってとても悔しいです。
ストックがあるうちはしっかり投稿していきたいと思います。




