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終焉の魔法少女 ~ひび割れた13のウィッチ~  作者: キハ
Fate1 少女は微笑み返した
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第10話 少女への見送り

「ヒカリちゃん?」


 そこへ、ヒカリに声をかけた、紙を二つ結びした少女が。


「あーカノンちゃん! 久しぶり~!」


「か、カノンさんですか!?」


 ヒカリと恵麻の声が被る。それを見て、カノンと呼ばれた少女はふふ、と柔らかく微笑んだ。


「どうやら私も有名人ですか?」


「カノンちゃん良かったねー! この子は恵麻ちゃん。前の桜岡高校で怪物に襲われてて、そこで知り合ったの」


 まあ……! とカノンが目を丸くする。


「よ、よろしくお願いします……」


「ヒカリさんから話は聞いてました! すっごい私たちのファンだって!」


「いえ……いえ、そう……ファンです……」


 ぎこちなく、口ごもる恵麻にカノンが微笑みかける。


「いつも私たちを応援してくれてありがとうね」


「い、いえそんな礼なんて……」


 あ、と声を漏らしたカノンが自己紹介がまだでしたねと続ける。


「私、カノンです。魔法少女カノンっていうのはなんだか気恥ずかしいですね。よろしくね、恵麻さん」


「は、はい……よろしくお願いします……!」


「ねー? 可愛い子でしょ? カノン」


 ヒカリが恵麻の肩をたたきながら言う。

 カノンは女神様かのような微笑を浮かべた。


「めっちゃ可愛い子ですね」


 その笑顔を見た恵麻がまた直視できずに俯いてしまう。

 その様子を微笑ましくカノンは見つめた。


 と、その時カノンとヒカリのスマホが振動した。


「あら」


「一緒ってすごいね……あ、ちょっと待って」


 ヒカリがスマホの操作を早める。そして、先程とは打って変わった深刻そうな表情でスマホの画面を恵麻とカノンに突きつけた。


「ミライからのライン。公園に怪物出現。緊急で全員招集だってさ。今のところサラはいるらしい」


「ミライさんが仲間集めようとするの珍しくないですか?」


「確かにね……」


 カノンの指摘に、ヒカリが考え込む。


「公園だしミライちゃん全然戦えると思うんだけどな。前も植物園でユイカちゃんいたけど一人で戦ってたらしいし? ミライちゃんが誰か呼ぼうとするのってあんまりないよね」


「もしかしたら、メルルがそう判断したのかもしれないです。とにかく急ぎましょう」


 うんうん、と頷きながら残りの紅茶を飲み干す。


「恵麻ちゃん、ごめんね。カラオケ、今度にしよ。あと、今日はありがとうね。また会おうね」


「えっ、あの」


「恵麻さん。今日のところは帰った方がいいですよ。公園には近寄らないでください、絶対」


「そうそう。恵麻ちゃん、家まで送れなくてごめんね」


 わたしも、その場に行けませんか──と言いかけたところで恵麻はやめた。

 魔法少女二人に一般人がついていくのは厚かましいにも程にもある。


 それに、魔法少女に詳しい恵麻ならわかっていた。

 この全員招集。13人を集めるということは、13人が居てやって完成する、13人全員の力を合わせた魔法発動のためだろう。


 本来、魔法少女は一人でも怪物討伐をやってのける。

 しかし、どうしても格上の怪物が現れた場合。13人の魔法少女が集結すれば13人全員で初めて魔法陣が出来上がる特殊魔法を発動することができる。

 その魔法で倒せなかった怪物は今までも存在しない。


 つまりその特殊魔法を使うべきだと判断した、格上の怪物。

 それが公園に出現しミライとサラが戦っている最中だというのだ。


 恵麻の持つスマホも振動した。ニュースだ。

 当たり前すぎて、普段あまり取り上げられない怪物の出現情報。場所は公園。


 不満を飲み込み、恵麻は言葉を絞り出す。


「ヒカリちゃん。今日はありがとう……。楽しかったです。カノンさん。応援しています」


 微笑みを浮かべる二人に。

 その微笑みの裏に、これから恐ろしい怪物と戦いに行く、魔法少女に。


「二人とも……頑張ってください!」


 せめてもの、一般人としてせめてもの出来るもの。

 精一杯の笑顔を浮かべて、手を振る二人を、見送った。





 幸いなことに、喫茶店から公園への距離はさほどなかった。

 すぐ向かうことができた二人であったが、公園に駆け付けるころには、数人の魔法少女が既に怪物と対峙していた。

 その傍らには手のひらサイズのメルルが浮遊している。


 怪物は、黒をまとった人のような影の頭上に、まるで天使の輪のような漆黒の輪を宿し、爛々と妖しげに輝く一つだけの目を大きく、顔らしき部位に張り付けたかのような姿をしていた。


 また、脚があるべき部位は、尾のような太いしっぽがそのままつながっていた。背中には、細長い突起のようなものが左右三本ずつ、天使の羽のように羽ばたいている。


 もっとも天使からかけ離れたような姿の怪物が綺麗な人間と似た手を大きく広げた。

 突如、轟々と燃え盛る炎が出現する。


「なんなのあいつ……」


 魔法少女の誰かだろう。ポツリとつぶやいた言葉が、いつしか彼女たちへ恐怖と広がっていく。


 周囲の草や木、そして遊具までも炎に飲み込まれていく。

 この驚異的な能力に手も足も出ず、サラが時間を止めその間にミライが一般市民を避難を完了させた。

 サラの時間停止魔法も無限に使える訳ではない。

 援助の魔法少女たちが到着したため時間を動き始めたが、怪物を止めるすべはなかった。


 最初に動いたのは、ヒカリだった。

 こちらに向けて放たれる炎を光の壁を形成して防ぐ。


「みんな! 13人揃うまで耐えよう!」


 その声と同時に魔法少女が動き始める。各々の魔法を、展開する。


 そう、13人揃えば。

 13人さえ揃ってしまえば怪物を闇に放り去ることができる。


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― 新着の感想 ―
想像しただけで恐ろしい敵ですね。 ネギまに登場した秘密結社コズモ・エンテレケイア関連の魔法使いのようなプレッシャーを感じます。 いや私はちゃんと読んでないんですがこんなプレッシャーを感じる魔法使い(…
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