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4話 フィルム

4話 フィルム


またしてもこの夢だ。

明らかにノバクという少年を探しに行く旅の途中で野営をしていた時、私はただ眠りについただけだったのに…

しかし今日の夢は少し違っていた。

不思議な色が奇妙に組み合わさっていた。

ドルフスを殺せば、この夢から少しは抜け出せるだろうという傲慢な考えを抱いた。

一瞬だけ、

自分が人間だと錯覚した。


「ルーク!」

「ここにいたんだね..?」

「どうしたの.. 表情が.. 悪いけど..」


「ファム..」

「私……精鋭騎士候補から外されたの……」


ああ…初めて見る場面だ。

おそらく…ジャックの記憶だ…

能力を覚醒させてから8年間、私は多くの動物たちとコミュニケーションを取ってきたが、この日だけジャックの視界を共有したことがあった。

教会内部にはファムとルークが向かい合っており、

ジャックは窓枠の外から二人を見つめていた。

毎回ファムを送り出す時点で夢が終わっていたなら、これはその後のシーンのようだった。


「突然なぜ…?」

「何かあったの?何か間違ったの…?」


「いいえ…」

「教皇様が私があまりにも弱すぎると」

「必要ないとおっしゃった…」


ファムは心配そうに言いながらルークに近づいた。

いつも通りの姿で、ファムなら当然するような平凡な行動だった。

するとルークは顔を上げ、ファムを見つめた。

彼の表情は何か歪んでおり、怒りや絶望とは異なる表情だった。


「その…大丈夫か、ルーク…?」

「もう少し努力すれば認められるよ…」


「いや…」

「私なんて……教皇様に見捨てられたんだ……」

「あなたたちは捨てないよね…?」


ファムは慰めの言葉をかけ、ルークは依存的な姿だった。

ルークがファムを殺したことは確実だったが、

彼がファムを殺した理由は分からなかった。

ただ、この日を境にルークの力と地位が急上昇したということだけだった。

私が知らなかったパズルが少しずつ組み合わさっていくような感覚だった。

教皇ノルカンはルークにとって父親のような存在であり、承認欲求の強いルークは他の対象を探しているようだった。


「なぜ私たちはお前を捨てたのか…?」

「友達だろ…」


「そうか…?」

「良かった… お前たちならそうすると思った」

「教皇様とは違うだろ…」


「プヨオ!プイ!!」


違和感が…

ルークがパムにゆっくりと近づくと、違和感を覚えたジャックが反応し始めた。

ジャックは窓を嘴で叩いたり、翼をばたつかせた。

ファムは驚いて後ずさった。

この瞬間、

この場面が私とジャックの視界が共有された短い瞬間だった。


「ルーク..?」

「なぜ.. そう.. 私は怖い..」


「行かないで」

「私と一緒にいて」


自分の力では足りないと感じたジャックは翼を広げて飛び始め、

私の名前を呼びながら泣いた。

ジャックは狂ったように助けてくれる人を探し、彼の視界にジェフが現れた。


「マルキオン!!!! マルキオン!!」

「プヨオオ!!」


明らかに鷲の鳴き声だが、私の耳にははっきりと聞こえる言葉…

当時の若い私もジャックの泣き声を聞いた。

突然共有された視界に驚いて街に出たが、私は圧倒的に遅かった。

ファムはルークの表情を見て凍りつき、夢の中でようやく彼の表情をきちんと見ることができた。

まるで幼い子供が駄々をこねるように、目からは涙を流し、

口元には好奇心と期待の笑みが浮かんでいた


「来ないで…」

「ルーク… あなた今おかしい…」

「少し落ち着いて…話をしよう、ルーク…」


「お前も私を捨てようとしているのか?」

「一緒にいることになったじゃないか」


ルークが彼女を殺した理由は常に謎だったが、

このように見ることは拷問と変わらなかった。

私たち5人は同じ戦争の被害で孤児となり、互いを頼り合った同じ苦しみがあったが、

ルークだけは少し違っていた。

戦場当時、飢饉に苦しんでいたルークの親は、一人でも口を減らすためにルークとルークの兄のどちらかを捨てようと決めた。

幼かったルークは荷物と変わらなかったため、結局ルークが捨てられた。

私はこの話をルークの口から聞き、わずかな違和感を無理に無視していた。


「マルキオンのせいなのか?」

「私よりあの男の方が重要なの…?」


「……」


そうか… ファムはそんな気持ちだったのか…

私は夢の中に現れ、初めて体を動かし、ファムを見つめた。

ルークの質問に答えられない彼女は、どこか穏やかなような感じだった。

ファムの目からは涙が少し流れ落ち、

ルークの狂気のような表情は、真剣な表情と共に歪み始めた。


「同じだ!全部同じだ!!」

「お前も母も教皇も全部だ!!」


「くっ!… ぐっ…うっ..」

「ルーク… そんなことしないで… そんなことが…」

「いやだ…」


ルークは目を剥き、ファムムの首を絞め始めた。

ファムムは必死に抵抗しようとしたが、彼女の力は到底及ばなかった。


「ガシャン!!」


「ドスン!!」


「ルーク、何をしているんだ!!」


その瞬間、窓を破ってジャックが飛び込んできた。

若い頃の私よりも先に到着したのはジェフだった。

おそらく比較的近かったジェフをジャックが連れてきたようだった。

ジェフとジャックは同時にルークに襲いかかり始めた。


「やっぱりそうか。」

「みんな同じだ。」


「ドスン!! ガシャン!!」

「プヨオ!!」

「トク..」


夢だと分かっていても、一瞬だけ彼らが対抗できるかもしれないと期待していた。

ルークは右手でファムの首を掴んだまま、左手だけを使い、

駆け寄ってくるジェフに向かって拳を上にから下に突き刺すと、ジェフは抵抗なく地面に顔を叩きつけた。

ジャックは空を飛び、爪を突き出して機会を伺ったが、無残にもルークに捕まり投げ飛ばされた。


「プシュッ!!」

「クッ…」


「ファム!!」


「ハハ.. ハハ!! ハ..」

「力が…力が湧き上がるようだ、ジェフ..」

「私はもっと強くなれるんだ!」

「私はもっともっと強くなれたんだ…」


ルークの左手がパムムの腹部を貫くと、血が噴き出し、

ファムは意識を失いかけ、声も出せなかった。

ジェフはルークに頭を踏みつけられ、怒りに燃え、

ルークは…

歓喜に浸っていた。

ファムは床に倒れ血を流しており、色盲の私の目にはそれが次第に無彩色に覆われていった。


「また…また教皇様に会いに行けば受け入れてくれるだろう。」

「強ければまた精鋭騎士になれる…」


「ファム…!ファム!意識を取り戻せ…」

「お願い…」


ルークはもはや興味がないかのように後ろも振り返らず、教会を出て行こうとし、

ジェフは急いでファムムの生死を確認しようとした。


若かった頃、私が遅れて教会に到着した時には、冷たくなったファムだけが残っていた。

この日を境に、ジェフは姿を消した。

ドルフスを殺したことが引き金になったのだろうか…

私がこれまで知ってしまった以上…

もう止める気は消え去った。


「マルキオン!マルキオン!」

「起きろ!」

「いつまで寝ているんだ、到着まであと少しだ。」


「あんなに平然と寝ている奴だと事前に知っていたら」

「確実に逃げるべきだったのに。」


「あ…」


どれほど深く夢に浸っていたのか、テントの中で眠りについたが、目を覚ました時は馬車の中だった。

エルノールとサミールが眠る私を移動させたようだった。

エルノールは私の代わりに馬車を引いており、

サミールは不機嫌そうに私を見下ろしていた。


「また夢を見たのか?」

「水も飲んで、気を引き締めろ。」

「もうカルフィン領地だ、あそこに村が見える。」


「いつから出発したんだ?」


「3時間ほど前かな?」

「食料も馬の餌もないから」

「途中で目覚めるかと思ったけど」

「動かないで到着するまで起きないとは思わなかった。」


体を起こして頭を出し、周囲を見回すと、村の入り口が目の前にあった。

エルノールは馬車をゆっくりと止めながら心配そうに説明し、

サミールはぶっきらぼうに説明した。


「ここか?あの悪魔の少年が住んでいる場所?」


「書類にはここが正しいんだけど…」

「何かおかしいな…」

「何だろう?」


サミールは馬車から降りて村全体をざっと見渡し、

エルノールは地図と村を交互に見ながら言った。

私も後を追って降りて村を見回し、エルノールが言う「おかしい」点がすぐに分かった。

村と呼ぶにはあまりにも静かで、通りかかる人はいたが、私たちには目もくれなかった。

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